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        日記第十回
今回の日記担当:ジークウルネ



そは永久に横たわる死者にあらねど、

測り知れざる永劫のもとに死を超ゆるもの(ハワード=フィルプス=ラヴクラフト))




某月某日 バー「光」

ジークウルネ「一見、ハートフルな雰囲気漂うこの『エミル・クロニクル・オンライン(以下ECO)』の世界。

しかし、一部のマニアックな方はすでにお気づきかもしれませんが……」



ジークウルネ「このECOの世界に、アメリカ原産の恐怖神話……『クトゥルー神話』の要素が含まれているという事を、皆様はご存知でしょうか?

 今宵の日記は、そのクトゥルー神話の要素がちょっとだけ含まれています。 なので、『クトゥルー神話』をご存知無い方は、

グーグル等で『クトゥルー神話』と検索してある程度の知識を得ておくと、より今宵の日記が楽しめるかと思います。

 そしてこれからお話する事は、アクロニア大陸のとあるダンジョンで体験した、その『クトゥルー神話』絡みの奇怪な出来事です……」



数日前 『フレイヤ』厨房

ジークウルネ「よし……出来た出来た」

 ホワイトデー期間の始まりの日、私はちょっとしたお菓子を作るために、フレイヤの厨房にいました。

声「あら、ジーク。こんな所にいたのね」


ジークウルネ「あ、姉さん。 いつ戻ってきたんですか?」

 振り向くと、そこには私の姉、フロースヒルデの姿がありました。

フロースヒルデ「ついさっきよ。 ちょっと、ファーイースト方面で修行していたわ」

ジークウルネ「そうですか……」


ジークウルネ「それにしても姉さん……その装備から見るに、やっとL55になったんですね。

ミューさんはもうレベル53になったというのに…… うかうかしてると追い抜かれちゃいますよ、Lv」

フロースヒルデ「……頼むからそれだけは言わないで頂戴、ジーク。 で、そのミューは今どこにいるの?」

ジークウルネ「ミューさんは本国で定期報告会なる物があるらしくて…… 今、この星自体にいません。

2〜3日したら戻ると言っていました」

フロースヒルデ「なるほど……。 ちょっと金属修理キットを作ってもらいたかったんだけど、いないものはしょうがないわね。

で、ジーク。話は飛ぶけど……一つ相談があるんだけど、いいかしら?」

ジークウルネ「相談ですか……構いませんが、一体何ですか?」

フロースヒルデ「実はね……知人から……」



フロースヒルデ「こんな物もらったのだけど……」

ジークウルネ「夜になると、ディバックに入れておいたこの魚から、妙なうめき声がするのよ。

確か……『ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん……』といった文句を、一晩中念仏のように繰り返しているの。

おかげで、ここの所あんまり寝ていないのよね……」

ジークウルネ「この呪文……もしや……」

 姉さんの話した『ふんぐるい(以下略)』という呪文には、私には心当たりがありました。



ジークウルネ「姉さん。その文句……私には聞き覚えがあります」

フロースヒルデ「え?本当?」

ジークウルネ「ええ。 文献によるとその文句は『ルルイエ語』と呼ばれる、この星の外で使われている言語です。

意味としては『ルルイエの館にて、死せるクトゥルー夢見るままに待ちいたり』……といった所でしょうか。

確かとある邪神を信仰する者が、決まり文句のように唱える呪文と聞き及んでおります」


フロースヒルデ「……流石ジークね。語学関連の事に関しては、やっぱりジークには敵わないわね」

ジークウルネ「い、いえ、姉さん。私はこの『ルルイエ語』はあんまり得意じゃないんです。

せいぜい、ちょっとした読み書きが出来る程度ですから」

フロースヒルデ「そう…… で、さっき言ったとある邪神って……一体何?」

ジークウルネ「さっき姉さんが言った呪文の中に、『くとぅるう』という単語があったでしょう。 それが……かの邪神の名前です」

フロースヒルデ「その『くとぅるう』という邪神、一体どんな邪神なの?」

ジークウルネ「『クトゥルー』というのは、水属性の邪神……専門用語で言うところの『旧支配者』であると聞き及んでおります。

何でも、この邪神に関わった物は発狂するか……『深き者ども』とよばれる、クトゥルーの手下の半漁人に消されるかの

いずれかの運命を辿っているそうです。

そのお魚がもし『深き者ども』の仲間だとすると……いずれ、姉さんに害を及ぼすかもしれません」


フロース「なるほど…… 夜ウルサイったらありゃしないから、いずれ処分したいとは思っていたけど……

そんなにヤバイ代物だとすると、今すぐにでも処理してしまった方がいいわね」

ジークウルネ「でも姉さん……だからといってこういうのを下手にポイすると、後で祟りが起こる可能性が高いですよ」

フロースヒルデ「そうそう、それも問題なのよね。 でも、この魚の処理の仕方について知っている人に心当たりは無いし……どうしたもんだか」


茜少佐「艦長。それでしたら……私に一つ心当たりがあります」

いままで黙っていた茜少佐が、姉さんに話しかけてきた。

フロースヒルデ「心当たり?」

茜少佐「はい。 まずはギルド元宮5Fのインスマウス族の大使、ギニョン殿を訪ねるのがいいでしょう。

水の眷属の事は水の眷属に聞くのが、一番かと……」

フロースヒルデ「なるほど……わかったわ。そうしましょう」

ジークウルネ「あ、姉さん。私も一緒に行ってもいいですか?

もし大陸D5Fに行く事になったら、私の『アクアラング』が役に立つと思いますので」

フロースヒルデ「ええ、いいわよ」

ジークウルネ「ありがとうございます、姉さん。 では、私は体力の消耗を防ぐため、姉さんの胸アクセサリーに憑依して行きたいと思います」

フロースヒルデ「そうね……そうした方がいいわ。 じゃあ、早速ギルド元宮までいきましょうか、みんな」

 私は姉さんの胸アクセサリに憑依し、アクロポリスへと向かいました。



ギルド元宮5F 少数民族代表の部屋



フロースヒルデ「お邪魔します。 すこし、相談事があってきたのですが」

ギョニン「な、なんだお前達、ここはよそ者が来るところじゃないぞ。 とっととかえれ!」

モリビト(ピーノ)「そうだ!」

クーマ「よそ者は帰れ!!」

 少数民族代表の部屋に入るなり、代表さん達は随分と手荒な歓迎をしてくれた。

 こういっては何ですが、随分と礼儀知らずな人たちです。

元帥(あ、フロースちゃん。ウルネちゃん。ここはあたしに任せて)

 が、ここでいつのまにか私達に同行してきた元帥が三人(三匹?)の前に出てきた。



元帥「ギョニンちゃん達……このあたしの顔、よもや忘れたとは言わせないよ」

ギョニン「げ、元帥閣下ではありませんか!! け、敬礼!!」

 元帥の顔を見る限り、三人の代表の態度が一変した。

 どうやら、この三匹は元帥の知り合いらしいです。

ギョニン「それで、元帥閣下……今日は一体何の御用でしょうか?」

元帥「あのね、実は某所から……」



元帥「こんなのもらったんだけど、見覚えあるかな?」


ギョニン「ギョっ!!

 魚を見せられると、ギョニンさんは驚きの余り声を上げました。

ギョニン「おお、同志よ!なんて姿に…… 今、助けてやるぞ!

しかし、どうしたら……」

フロースヒルデ「ど、どうしたんですか?ギョニンさん」

ギョニン「この魚は、干からびたインスマウスなのだ!」

フロースヒルデ(なんだ……このお魚はただのインスマウスだったのか……)

ジークウルネ(憑依中)(姉さん…… その『インスマウス』の語源は、例の『深き者ども』が住んでいるとされる空想上の都市、

『インスマス』にあると言われています。

加えてインスマウス族も、『深き者ども』と同じ水の眷属……

その彼らが、水の神であるクトゥルーを信仰していたとしても何ら不思議ではありません。 ですから、まだ油断は……)

ギョニン「? どうしたのかな?」

フロースヒルデ「いえ、何でもありません」

ギョニン「話を続けるが、元にもどしてやりたいが、特別な場所でないと出来ない……

しかし私には役目があるため、ここから動く事が出来ない……一体どうしたら……」

フロースヒルデ「……ギョニンさん。 私でよければ、助けになりますが?」

 姉さんはギョニンさんに、助力を申し出ました。

ジークウルネ(ね、姉さん……本当にいいんですか?

邪神の手先かも知れないこの干し魚を元に戻したりしたら、後でよからぬ災いが降りかかるかもしれませんし……)

フロースヒルデ(このお魚が邪神の手先なのにせよ、そうで無いにせよ、流石に命の恩人には手向かいはしてこないでしょう。

助けた上で丁重にお別れすれば、ノーリスクでこのお魚を処分できるわ)

ジークウルネ(なるほど……)


ギョニン「そう言ってくれるのを待っておりましたぞ。 

『大陸の洞窟』の奥深くに、我々インスマウス族の隠れ里がある。

そこに住む長老なら、その干し魚を元に戻せるであろう!

……入り口は隠されていて分かりづらい。 頑張って探してくれ」

フロースヒルデ「わかりました。 それでは、早速行って来ます」

姉さんはギョニンさんに礼をすると、一路大陸の洞窟へと向かいました。



大陸D4F

フロースヒルデ「ふう、やっとついたか…… まったく、ここのダンジョンの敵、多すぎるったらありゃしないわ。

おかげでソードマン時代、何度袋叩きに遭ったかわかったもんじゃない……」

 大陸ダンジョン5F入り口を前に、姉さんはなにやら愚痴ってました。

ジークウルネ「姉さん……その…… いくら旋風剣があるからって、むやみやたらと敵集団に突っ込んだりしないでください。

その……貫通ダメージが辛いので」

フロースヒルデ「ああ、ごめんジーク。 でも、このダンジョンの場合、敵の数が尋常が無いから……

ご希望に添えない事もあるわ。 まあ、可能な限り努力はするけど」

ジークウルネ「そうですか……」

 と、その時、唐突に大陸D5Fの方から、なにやら不気味な声がしてきた。

声『ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん……(以下エンドレス)

ジークウルネ「やはり例の呪文ですね、姉さん。 どうします?引き返しますか?」

フロースヒルデ「どうするも何も……」



フロースヒルデ「ここを通ってインスマウスの長老に会わない事には、例の干し魚は安全に処理できないわ。

……このまま突入するわよ。 ジーク、援護お願い」

ジークウルネ「了解です。姉さん」

 姉さんは剣を構え、大陸D5Fへと突入していきました。


大陸D5F

フロースヒルデ「……ぱっと見る限りでは、呪文を唱えている主はここにはいないようね」

ジークウルネ「そうですね…… モンスターの数もそれ程居ないみたいですし、厄介ごとに巻き込まれないうちに、

早く『インスマウスの里』への入り口を探しましょう」

フロースヒルデ「了解。 じゃあ、早いところ……」

声「ギョギョギョ……べっぴんさんな生贄が来たな〜」

 突如、奥の方から不気味な声がしたと思うと……

 


大勢のライギョーと、一匹のモクギョーが現れた。

しかも、そのライギョーの数は尋常ではありません。 あっという間に、私達は囲まれてしまいました。

ジークウルネ「ね、姉さん……」



フロースヒルデ「……大丈夫よ、ジーク。 私もブレイドマスターの端くれ……そう簡単にやられはしないわ」

 姉さんは剣を構え、魚達との戦いに備える。

ジークウルネ「あ、でも姉さんは良くても、私にとっては貫通ダメージが……」


モクギョー「おい、何をコソコソ喋っている?」

 魚達のリーダー各っぽい者が、こっちに話しかけてきました。

モクギョー「お前のような美人の生贄を捧げれば…… 大いなるクトゥルー様もさぞやお喜びになるのである」

ジークウルネ「大いなるクトゥルー……姉さん、やはり彼らは……」

モクギョー「そうなのである。 我輩達は偉大なる神、クトゥルー様を信仰する者…… 専門用語では『深き者ども』と呼ばれる者の仲間である」

 私は小声で姉さんに話しかけたつもりなのだが、魚のリーダーにはしっかり聞かれてしまったようだ。

ジークウルネ「では、やはりインスマウスという種族名は……」

モクギョー「その通り。 我輩達の故郷、地球という星の、アメリカはインスマスという街から来ているのである」

ジークウルネ「……」

 やはり、インスマウスという種族名は、『深き者ども』の故郷である、他所の星の街から来ているそうだ。

 彼らと邪神クトゥルーが一枚噛んでいるとは考えていましたが、『インスマス』という街が実在し、しかもインスマウス達の故郷が

そこにあるというところまでは予想できませんでした。

フロースヒルデ「私にはその手のオカルト絡みの話はよく分からないんだけど……

魚さん、結局の所私を生贄にして一体何をしようっていうの?」

モクギョー「何、簡単な事である。 クトゥルー様がお気に召す生贄を差し出した者だけが、このダンジョンのボスである『ふんどしマン!』

になる事が出来るからである。

稀に新春インスマウス等亜種に変化する事もあるが……どちらにせよ、我々ライギョー&モクギョーにとっては、大変な名誉な事なのである」

フロースヒルデ「ふぅん……なるほどねぇ……」



ライギョー「ちなみに4Fに大量にうろついているアンデッド連中は、生贄になった人間達の成れの果てっすよ、姉ちゃん」

 手下のライギョーがさらに衝撃的な事実を言う。

 大陸D4Fにいるアンデッド達は、実は邪神に捧げられた人間達の成れの果て……

 あの数を見る限り、相当な数の人間が、邪神クトゥルーの生贄にされてしまった模様だ。


フロースヒルデ「……貴方たちの正体、ならびに目的はわかったわ。

だけどね。 貴方達は、一つ重大な事を見落としているの。 それは何だか分かるかしら?」

 姉さん、お魚さんの団体様に絡まれているというのに、少しも動揺している所を見せません

モクギョー「見落とし? それは……」

フロースヒルデ「それはね……」


フロースヒルデ「こんな所(大陸D5F)まで単独でこれる実力を持った女の子が、そう素直に生贄になる訳無いって事。

さ、最下級の寿司ネタになりたい人から、かかってきなさい」

 姉さんが魚達を挑発しました。 でも挑発する時でも、姉さんはあくまで冷静です。

モクギョー「じょ、上等だ!!みんな、やってしまうのである!!」

ライギョー達「おうっ!!」

モクギョーの掛け声とともに、ライギョー達が一斉に襲い掛かってきた。

フロースヒルデ(ジーク、なるべく囲まれないようにはするけど…… 貫通死が嫌なら、死ぬ気で援護しなさい)

ジークウルネ(は、はい。姉さん……)

 ……戦いは、始まりました。



フロースヒルデ「居合い二段!!」


フロースヒルデ「アギト砕き!!」


フロースヒルデ「旋風剣!!」

 姉さんは華麗な剣さばきで、ライギョー達を次々となぎ倒していきました。

 そのあまりの手際のよさに、私は2〜3発、エナジーショックを放つ事くらいしかできませんでした。



フロースヒルデ「……まったく、口ほどにもない。 『烏合の衆』というのは、まさにこの事ね」

 最後のライギョー小隊を旋風剣で沈めると、姉さんは一人呟きました。

 あれだけの数のライギョーを倒しても、姉さんの呼吸は殆ど乱れていません。

フロースヒルデ(ジーク、大丈夫? 生きてる?)

ジークウルネ(ええ、何とか……)

 姉さんは私を気遣って大勢の敵に囲まれないようにしながら戦ってくれましたので、貫通ダメージも思ったほど来ませんでした。


モクギョー「なっ…… 我輩のかわいいしもべ達が……」

 姉さんが積み上げたライギョーの屍の山を見て、魚のリーダーも流石に呆然とした様子です。

モクギョー「だが、お前なんぞ、我輩一人で十分……」


フロースヒルデ「隙ありっ!!」

 姉さんは魚さんが口上を述べている間に、一気に間合いを詰めました。

モクギョー「ギョ……」

 とっさの事に魚のリーダーも反応できていない様子です。 





モクギョー「GYAAAAAAA!!!!」

 姉さんの居合い連携が決まり、魚のリーダーは地面に倒れ伏しました。

 
モクギョー「わ……我輩は……ふんどしマンに……なりたかったので……ある……」

 そういい残すと、魚のリーダーは事切れました。

フロースヒルデ「……随分と無駄な時間を使ってしまったわね。 さ、ジーク。さっさとインスマウスの里に行くわよ」

ジークウルネ「は、はい」

 姉さんはまるで何事もなかったかのごとく、大陸D5Fの奥へと足を進めました。



インスマウスの隠れ里

インスマウス「お。久しぶりのお客さんなんだな。 一体、この里に何の用ですかな?」

 里に入るなり、入り口近くのインスマウスが話しかけてきました。

 その話し方は友好的で、先ほどのライギョー・モクギョー連中とは異なり、襲ってくる気配はありません。

フロースヒルデ「この干し魚を元に戻しに来たのですけど…… 長老は何処ですか?」

インスマウス「ああ、それなら案内するんだな。 ついてきてくれ」

 インスマウスに案内され、私と姉さんは里の奥へと向かいました。


隠れ里・長老の間

フロースヒルデ「あの、すみません。 ギルド元宮のギョニンさんから、長老ならこの干し魚を元に戻せると聞いたのですが……」

長老(画像右のインスマウス)「おおっ!この干し魚は……!!

 干し魚を見せるなり、インスマウス族の長老は驚きの声を上げました。

長老「待ってろ……今助けるからな……」

 干し魚に向かって、長老は名にやら呪文を唱え始めました。

 その呪文は、例によって『ふんぐるい むぐるうなふ(以下略)』という代物でした。

 やがて、干し魚は元の姿……インスマウスに戻りました。

長老「とにかく、同胞を助けてくれてありがとう。 礼といっては何だが、いいものをあげよう」

 長老は姉さんに『ライギョーの汗』を渡しました。


フロースヒルデ「ところで長老……込み入った話を伺ってよろしいでしょうか?」

長老「何ですかな?」

フロースヒルデ「先ほど、長老は『ふんぐるい むぐるうなふ』という呪文を唱えていましたよね。

そして、さっき元に戻した干し魚も、同様の呪文を夜通し唱えていました。

あれの呪文は、確か……」

長老「ああ、それはご推察の通りです。 あの呪文は我々インスマウス族が信仰している神、クトゥルー様に捧げる祈りの呪文です」

 長老は姉さんの言葉を遮り、答えました。

ジークウルネ「クトゥルー様…… という事は、貴方方も、クトゥルー崇拝者の仲間なのですか……?」

 外の凶暴なライギョー達はともかく、温厚そうな里のインスマウス達までもが邪神クトゥルーを信仰していたとは、思いもよりませんでした。

 罠……という可能性が一瞬、頭の中をよぎりました。

長老「ああ、誤解してほしくないのですが……確かに我々はクトゥルー様を信仰してはいます。

していますが、外のライギョー・モクギョー連中とは違い、人間を生贄にする事は絶対に致しません」

 だが、長老はそんな私の考えを見透かしたかのように、そう言った。

長老「そもそもクトゥルー様は、生贄の対象に人間のみを指定している訳ではありません。

その辺の小魚等を生贄にしても、あのお方はちゃんとご加護を与えて下さいますし……」

ジークウルネ「なるほど……」

 彼らはクトゥルー崇拝者ではあるが、かといって人を生贄にする事はしない、いい崇拝者のようです。


長老「ところでお嬢さん。 例の『ふんぐるい むぐるうなふ(以下略)』という呪文には、我々インスマウス族だけに伝わる、

もうひとつの意味があるのはご存知ですかな?」

フロースヒルデ「いえ、存じ上げませんが」

長老「このECOの主人公である、エミルという少年の仲間に、ルルイエ(様)と呼ばれるドミニオンの女性がいらっしゃるでしょう」

←この人

フロースヒルデ「ええ。 でも、それが何か?」

長老「あの呪文のもう一つの意味を単刀直入に申し上げますと……」


長老「ルルイエちゃん萌え〜♪ という意味が込められているのです。

貴女が持っていた干し魚は、実は我々インスマウス族の中でも屈指のルルイエちゃんフリークでしたからな。 

だから、干からびて干し魚になっている間でも…… この意味での呪文を夜通し唱え続けていたのでしょう。

そう……ルルイエちゃんへの愛の為に

フロースヒルデ「……」

ジークウルネ「……」

 しばし、その場に沈黙が流れました。


 どのくらい時間が経ったのでしょうか。 心底あきれ果てた表情で、姉さんがその沈黙を破りました。


フロースヒルデ「……ジーク、帰るわよ

                     日記第十話 完

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