?「おい、ジークウルネ。 いつまで寝てるんだよ」

ジークウルネ「うーん……」


天使長様「見事な戦いぶりだったぜ。 第3試験は文句無しに合格だ」

 目を覚ますと、そこには天使長様の姿がありました。



茜少佐「……天使長様! SU職で、しかも病弱なウルネ様を御前試合に参加させるなどとは……」

天使長様「まあ、さすがのおいらも、あれはやりすぎたとは思ってる。

だがよ、ジークウルネ。 お前さんにとってもあれはいい経験になったんじゃないのか?」


ジークウルネ「ええ……そういえば確かに……

本物のチャンバラがあんなに神経をすり減らす代物だったとは、初めて知りました」

 そして、その『本物のチャンバラ』を日常的にやっている姉さんやミューさんを、今更ながらに尊敬たくなりました。

茜少佐「で、天使長様。 まだ試験はあるんでしょうか?」

天使長様「ああ。あるぜ。 だが、次の試験で最後だ」

茜少佐「次で最終試験ですか…… 次は、どんな無理難題を吹っかけるおつもりで?」

 皮肉をたっぷり込めて、茜少佐は天使長様に問いただしました。

天使長様「何、最終試験といっても、そんなに難しいもんじゃない

最終試験の内容は……」


天使長様「ずばり『ゴルフ』だ。

見事一打でホールインワンすれば、晴れてお前さんはソーサラーだ」

ジークウルネ「……」

茜少佐「……」

 天使長様の言葉に、私も茜少佐も、最早何も突っ込む気が起きませんでした。




ファーイースト共和国某所・ゴルフ場

ジークウルネ「しかし競馬に御前試合、それにゴルフ…… どれもこれも、魔法とは何の関係の無い物ばっかりですね。

天使長様は、私の何を試そうとしているのでしょうか?」

茜少佐「それを私に聞かれても困ります、ウルネ様」

 結局、私達は天使長様に連れられて、ファーイースト共和国の某所にあるゴルフ場までやってきました。

 そして、天使長様は私達をゴルフ場に連れてくるなり、また姿を消してしまいました。



ジークウルネ「それにしてもゴルフなんかやった事ないからな…… とりあえず、あのグリーンの真ん中の穴にボールを入れればいいんですよね?」

茜少佐「はい。 しかし、天使長様は1打で入れろと言っていました。

つまり、一発でボールを穴にいれなければいけないという事です」

ジークウルネ「まあ、ここであれこれ議論しても始まりませんから、とりあえずボールを打ってみましょう。

多少の軌道の修正は、『念力』でどうにかなりますし」

茜少佐「わかりました」

 とりあえず私はゴルフグラブを持って、ボールを打ってみる事にしました。



SE:ファン!!(ゴルフボールを打つ音)

 

茜少佐「ナイスショットです、ウルネ様」

ジークウルネ「よし、上手く飛んだ…… 後は念力で軌道を調整して……」

 しかし、その時突如突風が吹き、私の打ったボールは風に煽られてしまいました。

 慌てて『念力』で軌道修正しようと試みますが、とてもおいつかず……



SE:ガッチャーン!!(窓ガラス割れる音)

 近くにあった民家の窓ガラスを、盛大に割ってしまいました。



ジークウルネ「……!!」

茜少佐「……!!」

 あまりの出来事に、私達は声さえ出ませんでした。

 そして次の瞬間……

女性の声「なんばしよっとか!!!!

 家の中から、訛りの効いた女性の怒鳴り声がしました。

茜少佐「この訛った話し方…… まさか、この家の家主は……」

 茜少佐がそういう傍から、家の玄関が開き……


(※ECO家さんから転載許可をもらっています)

 この家の家主であろう、ECO家の一族の母者さんが姿を現しました。

 全身から発する威圧的な『気』の前に、私や茜少佐は、ただ立ちすくむことしかできませんでした。

母者「……」

 そうしている間にも、母者さんは無言で、こちらに近づいてきました。

 そして、母者さんと私との距離がある程度まで詰まった所で、初めて母者さんは口を開きました。


(※これも、ECO家さんから転載許可をもらっています)

母者「冗談やなかっ!!



ジークウルネ「ご、ごめんなさいごめんなさい!! もうしませんから、三枚に下ろさないでください〜(涙)」

茜少佐「申し訳ありません、申し訳ありません!!」

 必死に謝る私と茜少佐。

 対する母者さんは、暫く何も答えてきませんでした。

 いつ制裁が下るともしれないその沈黙の時間は、私達にとってはあまりにも長すぎました。

 どのくらい、時間が経ったでしょうか。

天使長様の声「おいおいジークウルネよ。 いい加減、頭あげろよ」

 沈黙を破ったのは当の母者さんの声ではなく、天使長様の声でした。


               
天使長様「頭あげろっていってんだろ? あの母者は本物じゃねぇ。 おいらが作った幻影さ。

あの母者が本物だったら、今頃お前は棺桶の中さ」

ジークウルネ「へ……」



ふと辺りを見回してみると、母者さんの姿はどこにもありませんでした。

ジークウルネ「よかった……」

天使長様「で、どうだった? オイラが10日かけてつくったアトラクション(母者幻影)は?

楽しんでいただけたか?」


ジークウルネ「楽しめる訳ないでしょうが!天使長様!!

天使長様「はっはっは……。まあ、そんなに怒るな。

で、試験の件なんだが……」

 天使長様が試験の事に話を戻した時に、初めて私達がソーサラー転職試験中だった事を思い出しました。

 母者さん登場のインパクトが強すぎて、今の今まで忘れていました。

 しかし、ゴルフボールをホールではなく、民家にホールインワンしてしまった以上、試験の結果は明らかです。

ジークウルネ「試験は……やはり……」

 それでも、やはりそう尋ねたくなるのが、心情という物でした。

 折角、天使長様が出してきた無理難題を克服して、ここまで来たというのに……こんな所で……

 しかし、天使長様の次の言葉は、私の予想を大きく裏切る物でした。


天使長様「あー めんどくさいから試験は合格でいいや

ジークウルネ「へ……」

 天使長様の意外な言葉に、私はしばし、唖然とする他ありませんでした。




 まあ、何はともあれ……



 病弱だった私も、無事にニ次職の仲間入りを果たす事が出来ました。

 これからも二次職のJobLvを上げるなど、修行の日々は続きそうですが……

下界に下りてきて以来の大きな目標は、これで達成する事が出来ました。

 ECOネタブログ界の先輩ソーサラーの方々に肩を並べるくらいなれるよう、努力したいと思います。

 
(追伸)
 くどいようですが、実際のゲーム中のソーサラー転職は、アイテム集めだけで全て完了です。

 この日記のように、競馬をやったり、御前試合に強制出場させられたり、ゴルフしたりといった事はありませんので、

これからソーサラーへ転職なされる方はご安心を。

 そしてもちろん、ゴルフの最中に近所の家の窓ガラスを割ると母者様に怒られる……

なんて事もありませんので、ご安心おば。



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