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    日記十三回

本日の日記担当:S・ミュー


某月某日 戦闘庭フレイヤ艦橋

ミュー「よし、これで今日の仕事はお終いっと。 さて、タタラベマスターの所に漂白剤でも届けにいくかな」

ジークウルネの声「ミューさん、ただいま〜」



ミュー「お、お帰りウルネ。一体どこへ……って」



ミュー「……その格好、どうした?」

 艦橋の入り口に、忍装束と黒スターベレー帽でおしゃれ?したウルネの姿があった。

ジークウルネ「どうするも何も、NG(ニンジャギルド)の事務員バイトの試験受けてたんですよ」

ミュー「そうか…… で、試験の結果はどうだった?」


ジークウルネ「なんとか、合格する事ができました!」

 嬉しそうに、ウルネは言った。

 ウルネは前々から、ECO家の一族のメインヒロイン、ル・ティシェ嬢に憧れてるというと公言していた。

 その憧れの人と共に働けるとなると、彼女としては嬉しくないはずがない。

ミュー「そうか……それはよかったな、ウルネ。 ……って」

 
ミュー「ちょっと待て!ウルネ!!

 ここであたしは、ある重大な事に気づいた。

ジークウルネ「な、何ですか?ミューさん」


ミュー「何でも何もない。 お前がNGの事務員になるんだったら……オペレーターとしての仕事はどうするつもりだ?

まさかとは思うが…… 艦を降りるつもりなのか?」

 前回の日記を見ればお分かりのように、ウルネは超能力系のECO未実装スキルを持っている。

 特に『予知』のスキルは、艦の危険回避等に利用価値が高い。

 その彼女に今フレイヤを降りられると、大幅な戦力ダウンは避けられない。


ジークウルネ「み、ミューさん。 私はフレイヤを降りるつもりもありませんし、オペレーターとしての仕事は続けたいと思っています」

ミュー「NG事務員とフレイヤのペレーターと、2足のワラジを履くつもりなのか?」

ジークウルネ「ええ。 ミューさんだって、本国でのお仕事とフレイヤの仕事、二つを掛け持ちしているじゃないですか」

ミュー「あのなぁ、ウルネ。 あたしの本国の仕事なんて、月に一回報告書を送る事と、3ヶ月に一回、本国に戻って定期報告会に出る事くらいしかない。

だが、事務員としてNG入りするとなると、NG本部に常駐しなきゃなんなくなるだろ?

同じく艦に常駐しなきゃなんないフレイヤのオペレーターとの両立は、物理的に不可能じゃ……」

ジークウルネ「いえいえ、ミューさん。 それについての対策は、ちゃんと考えていますよ」

 あたしの指摘を予想していたのか、ウルネは自信たっぷりに答えた。

ミュー「その対策って……一体何だ?」



ジークウルネ「これです」

 というなり、ウルネは呪文の詠唱を始め……



 次の瞬間には、ウルネの小型の分身が現れていた。

ミュー「なるほど……デコイか」

ジークウルネ「はい。 デコイにある種の『念力』を送ると、以後半永久的に自分の分身として働かせる事が出来るんです。

各地にいる『闇の商売人』さんは、実はグレさんの分身であったという話、聞いたことはありませんか?」

ミュー「ああ、それは前に菫少将から聞いた事がある。 要するに、グレさんと同じ手を使うって訳か」

ジークウルネ「ええ、そうです」

ミュー「だが、デコイは普通の人間より大きさが一回り小さいから……一発で分身と気づかれるんじゃないのか?」

ジークウルネ「いえ。『デカデカカード』を使った状態でデコイを使えば、等身大のデコイを発生させる事ができます。

その時に『念力』を送ってしまえば、グレさんの分身と同じような運用が可能となります。

分身の方もしっかり『超能力』は使用可能ですので、能力面でも問題ありません」


ミュー「なるほど……それなら、NG事務員とフレイヤオペレーターの両立は可能になるな」

ジークウルネ「はい。 とりあえず、本物の私は週に2〜3回、NGの方に出ましてあとはフレイヤにいようかと思います。

ル・ティシェ様に明日、事情を説明したいと思います」

ミュー「……わかった。 こっちの仕事に支障が来たさないっていうんなら、あたし個人的には(ウルネがNG事務員になるのに)反対するつもりは無いよ」

ジークウルネ「ありがとうございます、ミューさん」

ミュー「しかしだ……お前のNG入りに、まだ問題がない訳じゃない」

ジークウルネ「まだ……何か問題があるんですか?」

ミュー「その問題は……いわゆる『政治的な問題』って奴だ。

これも菫少将から聞いたことなんだが、NGって組織は、評議会長のルーランさんが各ギルドや混成騎士団の内情を探るために出来た組織。

一方、このフレイヤは傭兵部隊扱いとはいえ、戸籍上は南軍に所属する戦闘庭……つまり、NGとは対立関係にある組織に属している。

この意味……分かるよな」

ジークウルネ「はい。混成騎士団と対立する組織であるNG……

その構成員である私が南軍所属の庭の乗組員に名を連ねているという事は……傍目には、スパイを堂々と入れているように見えますね」


ミュー「その通りだ。万が一でも事が南軍側にバレたら、何かと面倒な事になるぞ。

もっとも、今のところ南軍側では、NGが自分達の持つ情報を狙っている組織である事は、夢にも思っていないようだが……

いつ気がついてもおかしくない」

ジークウルネ「そうですか……」

ミュー「とにかくウルネ、お前がNGに所属している事は絶対に騎士団に感づかれるなよ。

特に、その忍び装束で往来を出歩くのは絶対にやめておけ。

まるで『自分はNG所属です』と、周囲に言っているようなもんだからな」

ジークウルネ「わかりました、ミューさん」

ミュー「そして、もう一つの問題は……フロースの事についてだ」

ジークウルネ「姉さんがどうかしたんですか?」

ミュー「あたしの見た限り、あいつは不正や欺瞞、裏切りといった真似を絶対に許さない、真面目な奴だ。

そのフロースが今や、NGというスパイ組織の一員となったお前を艦においておくのを、許しておくのかどうか……という懸念は残る。

そもそもウルネ。今回のNG入りの一件、あいつの許可はもらったのか?」


ジークウルネ「ええ、姉さんの許可はもらってますよ。 私がNG事務員のバイトしたい、って言ったら、あっさり許可してくれたんです。

もっとも、分身を使うって条件はついていますが」

ミュー「あいつ、何でそんなにあっさりと許可を……

フロースの奴……お前をNGにやる事が、結果的に南軍に対する裏切り行為(敵スパイを堂々と匿う事)になるの、分かっているんだろうか……」

声「ああミュー。その件についてはもう無問題よ」

 突如、居住区の方から声がしたと思うと……



 この艦の艦長である、フロースヒルデが姿を現した。

 ついでに、元帥も一緒だ。

フロースヒルデ「あらジーク。 その忍装束、中々似合っているじゃない」

ジークウルネ「あ、ありがとうございます。姉さん」

ミュー「おい、フロース。ウルネのNG入りが無問題って、一体どういう事だ?」

フロースヒルデ「話すとちょっと長くなるから、順を追って説明する事にするわ」

 そこで彼女は一呼吸置き、続ける。

フロースヒルデ「一週間くらい前の事よ。 私は久しぶりに、評議会長のルーランさんからクリーンアップキャンペーンのクエストを受けたの。

で、クエスト成功を報告してさあ帰ろうという時に、不意にルーランさんに呼び止められて……」




ルーラン「フロースヒルデさん。 貴女の戦闘庭乗りとしての活躍は、かねがね耳にしておりますよ」

フロースヒルデ「あ、ありがとうございます。ルーランさん」

ルーラン「で、その貴女を見込んで一つ相談があるのだけど……いいかしら?」

フロースヒルデ「私に出来る事なら、構いませんが…… その相談内容は?」

ルーラン「その貴女の能力、あのろくでなしオヤジの南軍長官だけでなく、私の為にも使ってはもらえないかしら?」



元帥「ようするに、フロースちゃんにお仕事依頼したいって訳だね」

ルーラン「そういう事よ。 

聞くところによると、フロースヒルデさんは南軍所属とは言っても、正規軍では無く傭兵部隊の所属らしいわね。

だから南軍の任務中でなければ、部外者である私の仕事を請けても法的には何も問題無いと聞いているわ」

フロースヒルデ「・・・・・・よく、その事をご存知ですね」

ルーラン「私の傘下にある諜報組織『NG』の手にかかれば、このくらいの情報は簡単に手に入るわ」

フロースヒルデ「ルーランさん。 それで……私に一体何をしろと?」

ルーラン「何、そんなに難しい仕事じゃないよ。 南軍内部でもし、評議会に言えないような非合法な行為が行われていたり、不祥事があったりしたら……

逐一、私に報告して欲しいんだよ。

それと、あの能無しひふへ親父の南軍長官が馬鹿な事をしないよう、常に監視する事……

この2点が、貴女に依頼したい事なの」



フロースヒルデ「なるほど…… 要するに、私にルーランさんの手先になれ、と」

ルーラン「……大体、そんな所よ。 あ、もちろん告発した場合でも、貴女の名前は決して表には出さないし、報酬もきちんと出すわよ。

報酬はNGの持つ情報網のそちら側への提供…… という事でどうかしら?」

元帥「中々魅力的な条件ではあるけど……フロースちゃんはどう思う?」

フロースヒルデ「確かにね…… それに、ただでさえ南軍は不祥事の類が多いから……

ここらで襟を正さないといけないとは、前々から思っていたしね」

ルーラン「やはり、フロースヒルデさんもそう思っていたのね」

フロースヒルデ「ええ。 ルーランさんの依頼、請けても構いませんが…… 一つだけ条件があります」

ルーラン「何かしら?」

フロースヒルデ「私も傭兵部隊とは申せ、南軍の一員である事にはかわりません。

故に、不祥事に該当しない軍事機密や捜査情報までは提供できかねますので、そこの所はご了承願います。

それさえお約束いただけるのでしたら…… ルーランさんの依頼、請けても構いません」

ルーラン「ええ、その点は約束させてもらうわ。

私の依頼、請けてくれてどうもありがとう」




フロースヒルデ「……と、言う事なのよ」

ミュー「なるほど…… 要するに今後、あたし達はルーランさんと協力関係になるって訳か。

それはつまり、ルーランさんの組織であるNGと間接的に協力関係になる事を意味する……って事か」

フロースヒルデ「そういう事。 だから、分身つかってこっちの仕事に影響が無いようにしてくれれば……

ジークがNG入りするのに、もう何の問題も無いのよ」

ミュー「そうか……それならいいが……」

フロースヒルデ「? まだ何かあるの?ミュー?」

ミュー「いや、後はNGやルーランさんとあたしらの関係が、南軍の連中にバレないようにしないとな、と思ってな」

フロースヒルデ「確かにね…… 注意しておくに越したことはないと思うけど、そんなに気にする事はないとは思うわね」

ミュー「というと?」

フロースヒルデ「ジークがNGに入った事が上にバレたとしても、『NGに放った密偵』と上に説明すればそれでまず納得するでしょう。

ルーランさんとの接触した件に関しても、私的なクエスト請けたって言えばそれで大丈夫だとは思うし、それに……」

ミュー「それに?」



フロースヒルデ「何より長官自身がひふへだから、ばれる事はまず無いでしょう


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