日記十七回(3)
ミュー「……話が盛大に脱線したが、そろそろ本題に戻ろうか。
司祭さんよ…… 何でこんな、ウォーロック転職試験なんか比較にならないような危険な問題を出そうとした!?」
すこしきつめに、あたしは司祭さんを睨んだ。
原本に並べられていたクエは、初心者どころか、下手をすればベースLv90の冒険者でも生きて帰れるか怪しい代物ばかりである。
人の癒しを生業とするウァテスの長が、何ゆえ自殺行為とも言えるクエを強要するのか…… 心の中は怒りで一杯であった。
天使長様「そうだぞ、司祭。 しかも、母者家のガラス割りやウィドウ家の落書きクエは、『器物損壊』っていう立派な犯罪だぜ?
そこんとこ分かって、あんな試験問題作ったのか?」
和服の天使長さんも、援護射撃に回ってくれた。
天使長様「ちなみに、てめぇの黙秘権は今回はみとめねぇからな、司祭。
それ以上だんまりを決め込むようなら、今すぐ司祭の職を下りてもらおうか」
司祭「う……」
司祭さんはすぐにはあたし達の問いには答えなかったが、やがて口を開いた。
司祭「信じてはくれないでしょうが、あの試験問題を考案したのは、私ではありません。 混成騎士団の代表です」
ミュー「混成騎士団の代表!? 何でまた、そんな奴の名前が出てくるんだ?」
司祭「お恥ずかしい事ながら…… この白の聖堂は混成騎士団に借金をしていましてね」
ミュー「混成騎士団から借金? 何でまた、そんなま下手なサラ金業者より遥かにたちの悪いところから借金を……」
司祭「聖堂の修繕費が足りなくて、お金を工面しようとしたのですが…… 銀行はどこも貸してくれませんでしたし……
かといってヤミ金融に手を出す程、愚かな事はしたく無いと思っていた所に…… 混成騎士団代表の使いと名乗る者がやってきましてね。
低金利で修繕費を融資するともちかけられました」
ミュー「で、サラ金から借金するよりは遥かにマシだと思って、金を借りたって訳か」
司祭「はい……
しかし、この白の聖堂の財政状況は厳しく…… 期限までにお金を返す事が出来ませんでした」
天使長様「で、騎士団の代表さんは何って言ってきた?」
司祭「はい…… すこし返済をまって欲しいと願い出ましたら、『お金は返さなくてもいいから、代わりにウァテスの転職試験に
自分の作った問題を採用してくれ』といわれました。
代表の使いには、以前からウァテスの転職試験の改訂を行う予定であるとは話していましたが……まさか、そんな交換条件を持ち出してくるとは……」
ミュー「なるほど…… 察する所、その混成騎士団代表が作った問題が、この原本に書いてある問題って訳だな」
司祭「ええ。 本当は断りたかったのですが、金銭がらみの事ゆえ、断るに断りきれなかったのです……」
司祭さん曰く、ティシェさんをナンパせよといった危険極まりない問題を作ったのは、よりによって混成騎士団代表らしい。
もっとも、何の目的でデンジャラスな試験問題を司祭さんに使わせたのかまでは、現時点では見えてこない。
フロースヒルデ「司祭様、私からも一つよろしいでしょうか?」
それまで成り行きを見守っていたフロースが、司祭さんに質問した。
司祭「どうぞ」
フロースヒルデ「混成騎士団代表に借金をした日と、代表から試験問題を強要された日付は?」
司祭「……借金をした日は先月頭で、例の試験問題を渡されたのが今月の頭になりますが…… それがどうかしましたか?」
フロースヒルデ「そうですか……やはり……」
司祭さんの答えに、フロースは何やら考え込み始めた。
ミュー「? どうしたフロース。 何か、司祭さんの答えに不審な点でもあるのか?」
フロースヒルデ「いや、司祭さんの答え自体に不審な点は無いわ。けど……」
ミュー「けど……何だ?」
フロースヒルデ「混成騎士団の代表は、先々月の末で新任の人に代わっているのよ。
時系列から考えると、司祭さんにお金貸したり、試験問題を強要したりしたのは、その新任の人になるのだけど……」
ミュー「だけど……何だ? その新任の混成騎士団代表に、何か問題があるのか?」
フロースヒルデ「ええ。 新任の混成騎士団代表は『E』という人物なんだけど……
就任以来、一度も騎士団のお偉方の前にさえ姿を現した事が無く……
重要な会議への出席も、代理人とノートパソコンを通じて行っているそうなのよ。
もちろん『E』の本名や経歴は、一切が不明。 一般人には、混成騎士団の代表が変わった事自体、公表されていないわ」
ミュー「そうか…… そいつはあからさまに怪しいな」
デスノートの『L』の如く、重要な会議にさえノートパソコン越しにしか参加しない新任の混成騎士団代表。
そして、自分の経歴はおろか、自分が代表に就任した事さえ隠蔽する『E』。
こいつはいよいよ、怪しくなってきた。
ミュー「……ちょっと、あいつに潜入調査を頼んでみるか」
ここで、あたしは手持ちの鈴を鳴らした。
ホワイト「呼びましたか、先輩〜」
何処に隠れていたのか、あたしの後輩、ホワイトが姿を現した。
フロースヒルデ「あら、誰かと思ったらすかいうぉーかーのカリスさんじゃ無いですか。
始めまして。 『フレイヤ』艦長のフロースヒルデで……」
ミュー「そこっ! 真面目ボケすんな!!
マ シ ン ナ リ ー
すかいうぉーかーのカリスさんはあたしの同業者だから、今目の前の奴が頭につけている『スカウトバンド』は装備できないぞ」
ちなみに、融合で他職の職業服を着る事も不可能である。
ミュー「ホワイトもホワイトだ。 お前、紛らわしい色で髪染めんなよ。
他ブログのキャラの物まねってのは、ただでさえ報復を受けやすいんだから…… さっさと別の色に染め直せ。 いいな」
ホワイト「はあい…… でも、今手持ちのヘアカラ無いですから、後でもいいですか?」
ミュー「まあ、ちょっとくらいなら待ってもいいがな」
ジークウルネ「カリスさんじゃ無いとすると…… ミューさん、その人は一体誰なんですか?」
ミュー「ああ、フロースやウルネにはまだ紹介していなかったな。
こいつはキュリー=K=ホワイト。 あたしの後輩だ」
ホワイト「ミュー先輩の部下のスカウトのキュリー=K=ホワイトと申します。 フロースさん達の事は、前々から先輩から聞き及んでおりました。
ふつつか者ですが、よろしくお願します」
部外者もいるので、MPI調査官……とは彼女は名乗らなかった。
もっとも、『あたしの後輩』と紹介した時点で、彼女の素性はフロースたちには分かるはずであるが。
フロースヒルデ「戦闘庭『フレイヤ』艦長、フロースヒルデです。 こっちのソーサラーの女の子は妹のジークウルネ。
で、こっちの緑髪の男の子が弟のノレンガルドです」
フロースの側も、ホワイトに挨拶をした。
ミュー「で、ホワイト。 早速だが、お前に頼みたい事がある」
ホワイト「頼みたい事といいますと…… 正体不明の新任の混成騎士団代表、『E』の調査ですね」
ミュー「ほう、察しがいいな。 あたしらの話、もしかして聞いていたのか?」
ホワイト「ええ。 自慢ではありませんが、聴力には自信がありますので」
ミュー「……聞いていたんなら話は早い。 『E』の調査、頼めるか?」
ホワイト「ええ、いつでもいけますよ」
ミュー「そうか……。 じゃあ、調査の方、頼んだ」
ジークウルネ「あ、ホワイトさん。 私からも一つ……調査してもらいたい事があるのですが……」
ホワイト「あ、はい。何でしょう?」
ジークウルネ「今度施行された『ひふへ憐れみの令』の事はご存知でしょうか?」
ホワイト「ええ。 知っていますよ。 何でも、ブログ界の重鎮さん達に気づかれないように、極秘裏に審議&強行採決して
成立させた法律と聞いていますが……それが何か?」
ジークウルネ「その『ひふへ憐れみの令』を提出した人物の名前、調査する事はできますか?」
ホワイト「そのくらいならお安い御用ですよ。 『E』の調査のついでに、調べておきます」
ジークウルネ「お願します、ホワイトさん」
ホワイト「それでは、不肖ホワイト、これより任務に入ります」
ミュー「危なくなったら、手遅れにならんうちにウィスパー通信寄越してくれ。 早急に応援を寄越すからな」
ホワイト「ラジャです。 それでは、いってきます〜」
ホワイトは軽い足取りで、白の聖堂を後にした。
その日の夜 トンカ島
ホワイト「ふぃ〜 夏とはいえ、やっぱり夜の海は冷たいねぇ……」
その日の夜、トンカ市内の某所に、水着姿のホワイトの姿を見ることが出来る。
もっとも、今ホワイトが着ている水着は、スカウトスーツ(一体型)との融合品なので、これを着たまま戦闘に入る事も可能だ。
ホワイト「……先輩、ドールズ軍基地敷地内への潜入に成功。 これより、『E』の化けの皮をはがしにかかります」
ミュー「了解。 だが、あんまり無理するなよ」
ホワイト「それにしても、『E』のノートパソコンのセキュリティ、なってなかったわね……
おかげで、拍子抜けするほどあっさり、奴の居場所がわかったし」
ホワイトは実はソフトウェア系の技術に関しては、あたしのそれを上回る物を持っている。
ハッキングやデータの盗み取り等は、お手の物である。
もっとも、この星のソウトウェア技術など、あたしの故郷であるマーズ連邦のそれに比べれば子供だまし以外の何者でも無いので、
ホワイトにしてみればちょっと物足り無いみたいであるが。
ホワイト「……まあ、とりあえず潜入開始といきますか」
ホワイトは手近な窓から、ドールズ軍の施設内へと潜入を開始した。
ドールズ軍施設内部
声「アップタウンの市街戦はまだ継続中です。 ですが、装甲庭部隊も投入したので、イズベルガもじきに投降する事でしょう、『E』様」
エミル「……ご苦労。あんまり手に余るようだったら、殺しても構わないよ、西軍長官。
どのみち、彼女は『ひふへ憐れみの令』違反で死刑は確実だ。 なら、いまこの場で殺っても問題ないと思う」
西軍長官の声「はっ。 仰せのままに。 それでは、一時間後にまた連絡します」
エミル「……吉報を待っているよ。 その間僕はすこし休むからね」
そういうと、『E』事エミルはノートパソコンの電源を落とした。
エミル「……ギンパチ君。喜んで。 君のお兄さんの仇、どうやら取れそうだよ」
エミルは部屋の片隅にいたライギョーに声をかけた。
ギンパチ「ありがとうございます、エミルの旦那。
思えば去年の夏、我が兄カンパチはイズベルガの奴にクラゲを大量に食べさせられて……」
エミル「……もう、憶えている者も少ないネタだろうね。 でも、当事者にとっては、忘れがたい記憶か」
ギンパチ「ええ。……この一年、本当に長かった……
これでやっと、枕を高くして眠れそうです」
エミル「……そういってもらえると、僕も嬉しいよ。
僕としても、イズベルガを始めとした、ネタブログ界の武闘派には随分と痛い目にあってきたしね。
特にLittleWishのレイニーちゃんに声をかけたときなんか、シスコンの兄貴に絡まれて生死の境を彷徨ったし……」
ギンパチ「エミルの旦那も、随分と苦労されているんですねぇ」
エミル「ああ、そうだよ。 最近のアクロニアは、いわゆる『ネタブログ』の連中が跋扈していて……
騎士団や主人公である僕の威厳が落ちていた。
だから各方面に手を回して、騎士団代表に僕を就任させたり、『ひふへ憐れみの令』を作ったりした」
ギンパチ「『ひふへ憐れみの令』……そいうえば、ありゃ一体何のために制定したんでしょうか、エミルの旦那」
エミル「分からないかな、ギンパチ君」
エミル「ネタブログ界の『武闘派』『S担当』といわれる人たちは、放っておいてもいわゆる『ひふへ』を苛める習性がある。
だから、『ひふへ』を苛める事自体を違法行為と認定する事により……
各ブログの主力である『武闘派』や『S担当』を、公然とブタ箱に送るなり、処刑したりする事が出来る。
こうする事により、ネタブログ界の勢力を弱体化させ…… 相対的に、僕や騎士団のみんなの威信を高める事が出来るんだよ」
ギンパチ「なるほど…… あんな生類憐れみの令まがいの法律を強引に成立させたのは…… そんな理由がありましたか」
エミル「ああ、そうだよ。
ちなみに、この間借金のカタに、白の聖堂司祭に各ブログの関係者をナンパしたり、破壊工作したりするクエをやらせるよう指示したのも……
僕の考える『ネタブログ弱体化計画』の一環さ。
ナンパや破壊工作したウァテス志望者を攻撃させる事により、奴らを犯罪者にし…… ブタ箱にぶち込むなり、獄門に送ったりするという狙いがある。
現にイズベルガも、こちらの狙い通り、ウァテス志望者の男の子に絡んで……」
ギンパチ「今、西軍の集団リンチを受ける羽目になったという事ですな」
エミル「そういう事だよ…… もっともイズベルガも、まさかこんなりあっさりと、僕の仕掛けた罠に引っかかるとは思わなかったよ。
……そこで隠れているネズミちゃんも、大体の事情は分かってくれたかな」
ホワイト「!!」
ホワイト「ただの名目だけのヘタレ主人公だとおもったけど…… やるわね、私の隠形術を見破るなんて」
これ以上ハイディングしているのはムダと判断したのか、ホワイトが姿を現した。
エミル「残念だけど、この事を聞いたからには君を生かして帰すわけにはいかないよ。
でも、すぐに殺すは惜しいねぇ…… 折角、そんな水着姿でわざわざきてくれたんだしね。
今晩は僕と……」
エミル君が下賎な笑みを浮かべ、ホワイトに言い寄ろうとした次の瞬間である。
SE:ズバッ!!
エミル「ギョアアアアアアアッ!!!」
頚動脈を深々と割られ、エミル君は絶命した。
ホワイト「……さようなら、エミル君。 色香に惑わされたのが、運の尽きよ」
短剣に付いた血を吹きながら、ホワイトがつぶやいた。
ギンパチ「ひ、卑怯っすよ!水着のねえちゃん!! エミルの旦那が口上を述べている間に斬るなんて!!」
ギンパチと名乗るライギョーが抗議する。
ホワイト「ライギョー君、それは愚問という物よ。
私の短剣術流派、鳴鏡心当流の教えにはこうあるわ。
武士道とは、『死する事と見つけたり』に非ず、『いかなる手段も用いても、相手の隙見逃す事なかれ』と。
いかなる手段を用いてもって事は、これ即ち……」
ホワイト「口上述べている間に斬ったり、色香に惑わされた所を斬ったり
してもOKって事よ。
さ、ギンパチ君。 貴方もエミル君の後を追いたい?」
普段のホワイトからは想像も付かないような怖い目つきで、彼女はギンパチを睨みつけた。
ギンパチ「ひ、ひ〜 お、お助け〜っ!!」
恐れを為したギンパチは、一目散に逃げ出した。
ホワイト「ちっ……逃げ足の速い奴ね。 まあいいわ、どうせ私が手を下さなくても、あのライギョーには一族か誰かの制裁が下るでしょうし。
さて……みつからないうちにエミル君のPCとか、めぼしい物を持ち去るとしますか」
ホワイトは手早くエミルのノートPCを始めとした重要書類を持ち出し、ドールズ軍の建物を後にした。
ようやく警報がなった時には、すでにホワイトの姿はトンカ島のどこにもなかった。
一時間後 アップタウン・アクロニア大聖堂
エミル「ふぅ…… 念のため、『ひふへワクチン』を投与しておいて正解だったよ。
やはり、『ひふへ』が不死身っていうのは、本当みたいだね」
アップタウンの某所に、トンカ島でホワイトに殺されたはずのエミルが、平気な顔をして突っ立っていた。
どうやら、自分が暗殺される事を予期していたらしく、注射をする事により『ひふへ』の肉体を得ていたようだ。
エミル「でも、ここは確かアクロニア大聖堂…… ここには6月のジューンブランドイベントの時しか入れないはず……
もう、ジューンブランドイベントの時期は過ぎたって言うのに……」
声「よお、エミル。 初めて会うな」
唐突に、何も無い空間から声がしたと思うと……
天使長様が姿を現した。
エミル「え……貴方はたしかビーOたけO……」
天使長様「そんな名前じゃねえよ、オイラは。 こう見てもオイラはタイタニア界の天使長だぜ?」
エミル「え…… それで、その天使長様が、僕に何の用?」
天使長様「おめぇ、ウァテスの転職試験に、自分の作った無理難題を無理やり採用させたそうだな。
おかげで白の聖堂の権威は失墜するわ、オイラが犯人じゃねえかって疑われるわ……散々だったんだぞ」
エミル「いあ……これには昨今無法行為を繰り返す、ネタブログ界の奴らの勢力を削ぐという大義名分が……」
天使長様「あー うるせえガキだな。 そんなクソ生意気なガキは、いまこの場でドブスと結婚せてやるよ。
シンシア、来い。 こいつがお前の新しいダーリンだ」
天使長が手招きをすると……
シンシア「ダ〜リン! 愛しているわ〜」
この世の者とは思えない、バケモノとしかいいようのない(失礼)女性が姿をあらわした。
天使長様「ちなみにこのシンシア王女はな。 このアクロニアとは『美的感覚が正反対の島の』絶世の美女だそうだ。
エミル、幸せにしてやってくれよ」
エミル「え、そんな……」
シンシア「あ〜ん!ダーリン!! 逃がさないわよ。 今夜は私と、じっくり『愛』を語り合いましょ」
エミル「はなして……離し……GYAAAAAAA!!!」
天使長様「ほう、中々よさげなカップルだねぇ。 シンシア、そろそろ結婚式の音楽流したいと思うんだが、いいか?」
シンシア「ええ、こちらはいずでもいいわよ、天使長様〜」
その直後、どこからともなくBGMが流れ、エミルとシンシアの門出を祝福した。
もちろん、この時流れたBGMはどこかのRPGの『全滅のテーマ』である事は、言うを待たない。
そして当然のごとく、この後エミル事『E』は、混成騎士団代表の座を追われる事になった。
余談:
この事件の後、あたしら『フレイヤ』の身の回りにいくつか変化があった。
まず、フレイヤに新たな乗組員が2人増えた。
一人目はあたしの後輩、ホワイト。
あの事件の後、『フレイヤ』の情報部門を担当する菫少将から『フレイヤ専任のエージェントとして働いてくれないか』と持ちかけられた。
潜入工作が得意なのは、他に『必殺仕事人』の顔を持つ藪がいるが、彼女は軍医という役職があるため、そうやたらめったら艦を離れる訳にはいかない。
なので菫少将としては、他に潜入工作専用のメンバーが、どうしても欲しかったらしい。
ホワイトの方もこれを受諾。 以後、彼女は『フレイヤ』のエージェントとして、働く事になった。
そして二人目は、希少価値の高い『野朗の天然ボケ』にして、フロースやウルネの弟であるノレンガルド。
意外にも彼は経理関係の資格を持っており、事件後はフロースの推挙で艦の経理・補給担当に就くことになった。
当初、精神年齢が低そうな彼に補給なんぞ担当させるのは恐ろしく不安であったが、いざ就任させてみると、
それまではたびたび発生していた補給関係のトラブルが、彼の就任後は殆ど0になってしまった。
人は見かけによらないとは、良くいった物である。
また、あの後正式にウァテスになったので、軍医である藪の助手も兼務する事になった。
西軍とイズベルガさんとの間で勃発した『戦争ごっこ』の結末であるが、今のところ、こちらでは掴めていない。
ただ、2007/7/14の一族開催のイベントに参加した藪の話では、何食わぬ顔でイベント運営を行うイズベルガさんの姿を見かけたとの事なので、
イズさんの身に限っていえば、それほど心配する必要も無いだろう。
そして最後に……
ミュー「エミル、新婦さんと幸せに、な」
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