第23話(その後)
藪の庭
藪「なるほどな……政治的な問題はこれで解決か。
後は最後のドンパチを待つのみ……」
鴎外「……どうなされたのであるか? 軍医殿」
藪「空大佐とその一党が、艦隊を率いてインスマウス達と戦端を開いたのは聞いているかね?鴎外君」
鴎外「小耳に挟んだ程度には……聞いているのである」
藪「で、その結果、以下の2サイトより反響があった。
まずはこのネタ投げに反応をしてくれたサイトの方々に、中の人に代わって感謝申し上げる」
空大佐一派を扱っているサイト 一覧
碧色の奇跡:身内の不始末は私がつける!(フルボッコ的な意味で)
Happy☆Star:天使のいる図書館
藪「で、ミスティー嬢にたきつけられた南軍長官により、空大佐一派への追討令が発令された。
すでに『フレイヤ』は空大佐艦隊の捜索に向けて出発。 私の飛空庭『葛城(かつらぎ)』もモーグ炭の積み込みが完了し次第、出発する予定だ。
この手の哨戒活動には、飛空庭の頭数がどうしても必要になるから…… 戸籍上は民間庭であるこの庭も、臨時に徴用されたという訳だ」
鴎外「そうであるか…… って、この庭でもし敵に出くわしたとしても、大丈夫なのであるか?」
藪「……フレイヤに追随して行動する事を予期し、軍用の飛空庭エンジンとある程度の武装はこの庭にも搭載してある。
フレイヤに比べれば装甲も火力もあるとは言えないが、敵から身を守る事くらいはできるし……
なにより軽武装だから、重武装のフレイヤより逃げ足は格段に速い」
鴎外「なるほど……」
鴎外「……しかし、彼らを見つけた後がまた問題ですな。 まず間違いなく、大規模な砲撃戦になるでしょうな」
藪「だろうな。 そして、その場所が悪いと巻き込まれる民間人が出てくるだろう。
出来る事なら空大佐達の旗艦に潜入し、首謀者達だけを始末できれば一番いいのだが……」
藪先生がぼやいていた、その時である。
ノレンガルド「藪先生、こんにちわ〜」
藪「おや、ノレン君か。今日は一体どうしたのかね?」
キンメル「お邪魔します…… おや、誰かと思えばいつぞやの医者様ではありませぬか。
あの時はお世話になりました」
そして、渦中の空大佐艦隊の参謀、ウェンディーのキンメルが続いて姿を現した。
鴎外「……」
唐突に入ってきたウェンディーのキンメルに、鴎外は露骨に非好意的な視線を向けた。
口にこそ出さないが、『用が済んだら、お前のようなホモ野朗(※)はとっとと失せるのである』とでも言いたげであった。
(※)ウェンディーは、生物学的には雌雄同体=ホモ・オカマである事が、最近の研究で明らかになってきている。
このため、アンブレラ系Mobの他種族には、彼らウェンディーを嫌う者もいるそうである。
藪「キンメル君か…… 君は今、インスマウス達の戦闘の真っ最中のはずだが……
何故、こんな所にいるのかね?」
そんな鴎外を無視し、藪先生はキンメルに事情を尋ねた。
ノレンガルド「それについては、僕から説明するよ。
早速だけど、この子、診てくれないかな。 僕がいくらアレスやヒーリングやリザレクションかけても、びくともしなくて……」
そういうとノレン君はディバックから、何かを取り出した。
空大佐「うう……」
出てきたのは、空大佐であった。
目が虚ろで、憔悴しきっている様子だ。
とりあえず、ベッドの上に空大佐を寝かせる藪先生。
藪「……ノレン君、彼女は一体どこで拾ったのかね?」
ノレンガルド「アンデッド島でだよ。 幽霊退治のアルバイトに行ったら、座礁した沢山の『鋼鉄の船』が沢山あってね……
で、その船の中から、そこにいるウェンディーさんが出てきて、この子の治療を頼まれたのだけど……」
藪「君では、手に負えなかったという訳か」
ノレンガルド「そうだよ。 ねえ藪先生、何とかならないかな?」
藪「ふむ……」
そういうと、藪は空大佐の診察を開始した。
藪「……間違いない。こいつは『壊血病』だね」
ややあって、藪先生は空大佐の病名を口にした。
ノレンガルド「壊血病?」
藪「長いことビタミンC……ミカンやレモン等の柑橘類を摂取してないと発病する病気だ。
昔の船乗りや飛空庭乗り等に、よく発症した病で…… 放っておくと死に至る。
特にネコマタは……、人間より短期間でこの病気が発症する」
キンメル「げ…… そういえば提督は、現実世界に戻ってから今日まで一度も、その手の柑橘類を口にした事がありませんでした。
それで医者様…… 提督は、助かるのでしょうか?」
藪「何、ビタミンCの投与を行えば治療できる病気だから、その点は安心してもらいたい。
それよりもキンメル君。 治療費についてなんだが……」
キンメル「治療費……でありますか」
藪「……今回の治療費を、私は金銭やアイテムで受け取るつもりは無い。
今回の治療費は、元帥の親族という身でありながらインスマウス達相手に暴れて、結果我々『フレイヤ』の面子を潰した慰謝料も込みで……」
藪「みんなまとめて、体で払ってもらおうか」
キンメル「!!」
鴎外「……あと、古き民の皆様方(インスッス達)にも、ちゃんと賠償金は払え、なのである。
あれだけの規模の艦隊を率いている以上、金が無いとは、言わせないのである」
鴎外も非好意的な表情を緩めることなく、追い討ちを仕掛けた。
後で知った話だが、鴎外にはどういうわけか、大陸D5Fのインスッス達に知り合いが沢山いたらしい。
……結局、空大佐の艦隊はアンデッド島沖でその殆どが座礁し、事実上壊滅。
空大佐やキンメルからインスッス達へは示談金として多額の賠償金が支払われ、結果空大佐一味は無一文に。
そして、空大佐やキンメルは、藪の診療所で強制労働させられる事となった……
空猫の決断〜こんどこそ本当に完〜
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