日記第23回(1)

今回の日記担当:フロースヒルデ

(※)今回の日記には、ネコマタ(空)入手イベントのネタバレを含んでいます。予め、ご了承下さい。


某月某日 アクロポリス・アップタウン


フロースヒルデ「ああ、ここの所退屈で退屈でしょうがいないわね……」

 とある日の昼下がり、いつものように遺跡荒し退治を終わらせた私は、とても刺激に餓えていた。

 というのもここ最近、毎日のように単調な海賊退治や遺跡荒し退治が続いており、いいかげん飽きが来ていた為である。

元帥「フロースちゃん。 まだ募集コメントっていう手があるじゃない。 適当なPTに入ってみようよ」

 私の長年の相棒、元帥がアドバイスをしてくれるが……



フロースヒルデ「うあ……見事に遺跡荒し募集PTばっかり…… 遺跡荒しはもう間に合っているのに……」

 予想通り、募集コメントは見事に遺跡荒し募集PTばかりであった。

 しかも、遺跡荒し以外の数少ない募集PTも、それは見事なまでに『羽もち$(ドルイド)さんのみ募集』の表示が踊っているとうオマケまで付いている。

元帥「むう……募集コメントもダメだとなると…… っと」


 ふと、元帥の目に『お仕事依頼掲示板』の姿が目にとまった。

元帥「ねえフロースちゃん。 あそこの『お仕事依頼掲示板』でも見てみようよ。

面白そうなクエストがのっているかもしれないし」

フロースヒルデ「そうね……そうしましょう」



フロースヒルデ「ええと……何々。

『戦闘庭フレイヤ関係者の方へ  奇妙な本を手に入れたので調査してください。 ウテナ湖畔・貸本屋店主』」

 そのお仕事依頼掲示板には、何と私達フレイヤ乗組員ご指名の依頼が貼り付けてあった。

フロースヒルデ「私達ご指名の依頼とはね…… なんで本の調査を私達なんかに頼むのかは分からないけど……

元帥「でも、話だけでも聞いてみようよ。 どうせフロースちゃん、暇なんでしょ?」

フロースヒルデ「そうね。そうしましょう。

……とそうだ。 他のメンバーが同時にこの仕事を引き受けないように……」

『この依頼、フロースヒルデが請負せり』

フロースヒルデ「……こう書いておけば、他の人達が二重のこの依頼を請ける事はなくなるでしょう」

元帥「え……請負せりって、フロースちゃん。 まだ話も聞いていないのに、請けるつもりなの?この依頼?」

フロースヒルデ「もちろん、そのつもりよ。 わざわざ私達ご指名の依頼だもの……

ああ勿論、内容によっては他のメンバーの協力も仰ぐつもりだけどね」


元帥「そっか…… でも話聞いてみてあまりやばそうな依頼だったら、素直に断ったほうがいいよ、フロースちゃん」

フロースヒルデ「わかったわ。 ……じゃあ、あまり依頼人を待たせるといけないし、依頼人の所にいきましょ」

 私は元帥を引き連れ、一路ウテナ湖畔へと向かった。



?「……作戦第一段階は完了のようですね」


謎のウェンディー「提督。 我、良き対戦相手発見せり……」




ウテナ湖畔 貸し本屋

フロースヒルデ「おじゃまします〜 戦闘庭『フレイヤ』艦長、フロースヒルデです」

声「ああ、フロースさんね。待っていたわ。 入って頂戴」

フロースヒルデ「失礼します」


貸本屋店主「よく来てましたね。 私はこの貸本屋を経営していますマーサと申します」


フロースヒルデ「フロースヒルデです。 早速ですが、依頼の内容をお伺いしたいのですが……」

貸本屋店主「まずは、この本を見てくれないかしら?」

 そういうと、マーサお婆さんは一冊の古い本を差し出した。

貸本屋店主「知り合いの行商人から、古代アクロニア王国時代の古い本を手に入れたって連絡があったのよ。

古代アクロニア王国の資料というのは、殆どが戦争で焼けちゃってね。

わずかに残されている資料は、ノーザンの図書館に残されているのみと言われています」

フロースヒルデ「なるほど…… つまり、それだけ貴重な本だという事ですね」

貸本屋店主「その通りよ。 私、いてもたってもいられなくて……大枚はたいてこの本を買ったのよ。

でも、購入した甲斐がありました。 当時の衣装や、王族の生活など様々な事が書いてあって!!」

フロースヒルデ「は、はぁ……」

貸本屋店主「おや、失礼。 私、本の話になるととまらなくて……

依頼の話でしたよね。

この本を読んだその日の晩から、不思議な夢を見るようになったんです。 毎晩毎晩、同じ夢を……」

フロースヒルデ「同じ夢……ですか」

貸本屋店主「ええ。 自分が本の世界の主人公になった夢。

悪い魔法使いにさらわれた可愛そうな可愛そうなお姫様を救う、若い旅人の冒険談なのよ」

フロースヒルデ「なるほど……」

 要するにマーサお婆ちゃんは、ありがちな『勇者様が魔王にさらわれたお姫様を救う』といった内容の夢を何度もみさせられている、という事らしい。

貸本屋店主「だけど、私こんなおばあちゃんだから、中々話が進められなくてね……

だから、私の代わりに貴女に夢を見てもらいたいのよ」


フロースヒルデ「なるほど…… 要するに夢に出てくるお話の続きが知りたいと仰られる訳ですね」

貸本屋店主「ええ、その通りよ。 お願いできるかしら?」

フロースヒルデ「依頼の件、確かに承りました。 ですが、一点だけ質問させて下さい」

貸本屋店主「何かしら?」

フロースヒルデ「何故……我々フレイヤ関係者を指名されたのでしょうか? 冒険者としては、他に力量が高い方々は沢山いますのに……」

貸本屋店主「その理由は簡単よ、フロースさん」


貸本屋店主「私がこの『戦闘庭フレイヤの人々』のファンだから。
それ以上の理由は無いわ



フロースヒルデ「!!

 マーサお婆さんの一言に、私と元帥は一瞬びっくりせざる得なかった。

 が、すぐに持ち直し……

フロースヒルデ「いつも私のつたない日記を見て頂き、ありがとうございます、マーサさん。

……それでは、私は早速依頼を遂行したいと思います。 例の本、2〜3日ほどお借りしてもよろしいでしょうか?」

貸本屋店主「ええ、どうぞ。 それじゃあ、お願いするわね」

 私はマーサお婆さんに見送られ、貸本屋を後にした



数分後・貸本屋内部

?「彼女は無事に、依頼を請けたようですな」


貸本屋「ええ。ちゃんと請けてくれたわ。 これでいいのかしら?ウェンディーさん」


謎のウェンディー「ええ。 我が提督もさぞ、お喜びになる事でしょう。

これはほんのお礼です。 受け取ってください」

貸本屋「まあ……強力磁石が沢山…… 全部売れば当分家賃に困らずに済むわ。

でも、貴方は何故、ここまで彼女達にこだわるのですか?」

謎のウェンディー「我が提督も、私キンメルも、『あるゲーム』の好敵手を求めておりました。

戦闘庭フレイヤの乗組員こそ、我らが相手に相応しいと思いましてな」

貸本屋「でも……戦闘庭の関係者だったら、他に戦闘庭はるかぜ関係者もいると思うけど……」

キンメル(ウェンディー)「彼らは戦闘庭こそ持ってはいるが、肝心の軍事知識に精通しているとは到底思えなかったのですよ。

我々が行おうしている『あるゲーム』には、軍事に関する知識が必要なのです。

『フレイヤ』のメンバーであれば、その点についても問題無いと思われますゆえ」

貸本屋「そう……。 それにしても貴方も、貴方の上司も色々と物好きね。

たかがゲームくらいで、ここまでの策謀をめぐらすなんて……」


キンメル「ははは。何。 『伊達と酔狂』こそが、我々の生き甲斐なので……

さて、私はそろそろ夢の世界へ戻るとします。 では……」

貸本屋「またね、ウェンディーさん」

 次の瞬間にはウェンディーのキンメルの姿は、空間に吸い込まれるように消えていった……


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