日記26回(3)


サウスシティ・大タタラ場


作業員「なんつったって クホホが一番

 私達が大タタラ場に入るなり、いきなり大橋O泉似の作業員さんが、不吉な言葉で出迎えてくれました。

 ちなみに『クホ』とは、精錬に失敗する事を意味します。

 それにしても、私が前に来た時には、この大橋O泉似の作業員さんでは無く……


↑の女の人が出迎えて来ましたので……

どうやら大タタラ場が乗っ取りに遭ったという菫少将の情報は、本当だったようです。

作業員「俺の名前はキョセン作業員っていうんだ。 よろしくな、お嬢様方」

 そして頼みもしないのに、自己紹介するキョセン作業員さん。



藪「早速だがキョセン君。 私は予約をした藪という者だが……準備は出来ているかね?」

キョセン作業員「ああ、こっちは出来てるよ。 そっちも結晶や装備品の準備は出来ているかい?」

藪「ああ、こちらもOKだ」

キョセン作業員「もう知っているかもしれないけど、精錬中に装備品が壊れても、こっちは損害賠償には一切応じないから……

そこんところだけは覚悟して頂戴」

藪「元より、その点については承知の上だ」

ホワイト「あの……藪先生。そろそろ『クホアンルーレット』なるゲームのルールを……」

藪「ああ、了解だ。 では、ルールの説明に先立ち、参加者に有る物を配ろう」

 そういうなり藪先生は、ドレス所有希望者三人に、『お出かけ服(女物)』一着と、力の結晶を6つづつ配りました。



藪「では、これより第一回・ドレス争奪クホアンルーレットのルールを説明しよう

司会進行はこの私、藪 明子が担当させてもらう。

で、ルールの内容については、以下の通りだ」


          第一回クホアンルーレット ルール

   1.参加者は与えられた装備を、規定回数強化する事を目指す。
   今回の強化目標は『6回』。

   2.参加者は決められた順番に、装備品を一回づつ強化していく

   3.途中で装備品が破壊されたら(クホったら)、その時点でその参加者は失格。

   4.目標回数に達してない状態でも、途中で強化を止める事も可能(以下、この事を『降りる』と表記する)。
   しかし一旦降りる事を表明したら、以後再び強化する事は出来ない。
   また、参加者は最低3回は必ず強化をしなければならない。

   5..勝利条件は以下の通り
   A.一番早く目標の強化回数に達する
   B.他の参加者が全員失格になる
   C.(全員降りた場合)、参加者の中で一番強化回数が多い

藪「大体、ルールはこんな感じだ。 何か質問のある者は挙手を」



ホワイト「はい、質問です」

藪「何かな、ホワイト君?」

ホワイト「生き残っている全員が同じ回数で強化を止めた場合、どういう扱いをするのですか?」

藪「その場合、サドンデスとして生き残っている全員がもう一回づつ、強化をしてもらう。

そしてどちらかがクホるまで、強化を続ける事になる。

なおサドンデスに突入した場合、途中で降りるは認めない。 最後の一人になるまで、強化は続けられる事になる」

ホワイト「なるほど……了解です」

藪「他に質問は?」

 藪先生が皆に問いかけたが、他に質問する者はいませんでした。

藪「質問が無いようなので、これよりゲームを開始する。 

キョセン君、済まないが少しの間、ご協力お願いしたい」

キョセン作業員「あいよ〜 あ、何度も言うようだけど、途中で装備品が壊れても俺を怨まないでね〜」

藪「まず最初に、精錬する順番を決めるためにくじ引きを行う。 皆、この3枚の紙から好きなものを引いてくれ」



そしてくじ引きの結果、精錬する順番は以下の通りになりました。

先攻 フロースヒルデ
中堅 C・K・ホワイト
後攻 S・ミュー


藪「では、まずはフロース君から精錬を開始してくれ。 その後ホワイト君、ミュー君の順番で一回づつ精錬するように。

とりあえず、安全精錬圏の3回まで精錬を行ってくれ」


三回目精錬後……

氏名 1回 2回 3回
フロースヒルデ
C・K・ホワイト
S・ミュー

○=精錬成功 ×=精錬失敗 降=精錬ストップ

藪「ふむ……安全精錬圏だから当然といえば当然だが、ここまで脱落者は0か」

キョセン作業員「逆に3回以内でクホったら最高級のネタになったのにな、うっしっし。

だが4回目以降からデンジャーゾーンに突入するぜ。 降りるなら今のうちだぜ、お嬢さん方」

藪「まずはフロース君。 このまま精錬を続けるか、それとも降りるか……」


フロースヒルデ「勿論、続けます」








フロースヒルデ「……よし、まずは四回目」

藪「では、次にホワイト君……」



ホワイト「勿論、ここで降りたりなんかしません。 キョセンさん、精錬お願します」









藪「……最後にミュー君、降りるか、それとも続けるかね?」


ミュー「勿論、続ける」






SE:ぼすっ






藪「決まったようだね。 ミュー君、残念ながら失格だ」



ミュー「うう……まさか四回目でクホるとは……」

藪「では、続いて5回目の精錬に入る。 まずはフロース君、降りるか続けるか、どちらかを選んでくれたまえ」

フロースヒルデ「もちろん続けます、藪先生」






精錬5回目終了後の結果

1回 2回 3回 4回 5回
フロースヒルデ
C・K・ホワイト
S・ミュー ×  

○=精錬成功 ×=精錬失敗 降=精錬ストップ

キョセン作業員「おお、こいつは珍しい。 5回精錬成功者が2人も残っているとはな」

藪「では、最後の6回目だ。フロース君、降りるか?それとも続けるか?」



フロースヒルデ「噂では、6回目精錬成功率は20%という話だから…… ここは降ります、藪先生」

 姉さんは安全策を取って、精錬5回目にて降りてしまいました。

藪「手堅く来たか…… ではホワイト君、精錬するか降りるか、どちらかを選びたまえ。

もっともここで降りた場合はフロース君・ホワイト君とも同点となるから、どちらかが精錬失敗するまで続く『サドンデス』に突入する事になる……」



ホワイト「結局精錬しなくちゃいけないんだかっら…… 精錬成功率の20%に賭けて、ここで勝負を決めちゃいます。

キョセンさん、お願します」

キョセン「あいよ〜 さあ、その選択が吉と出るか凶とでるか…… 楽しみだぜ」












フロースヒルデ「!!!!!!

藪「……20%という低確率に、賭けた甲斐があったね、ホワイト君。

おめでとうホワイト君。 君がこのスゥイートハートドレスの所有者だ」



ホワイト「やった〜♪」



最終結果

1回 2回 3回 4回 5回 6回
フロースヒルデ
C・K・ホワイト
S・ミュー ×  

○=精錬成功 ×=精錬失敗 降=精錬ストップ





藪「ホワイト君。このドレスは、今君が強化したお出かけ服(6回強化済み)と融合してから渡す事にする。

勿論、融合代はこちらが持つが……構わんかね?」

ホワイト「あ、はい。いいですよ〜」

 戦いが終わり、喜ぶホワイトさんと、残念そうな表情をした姉さん、それしてがっくりうなだれたミューさんがいました。

藪「なお、準優勝の商品として、5回力強化済みのお出かけ服はフロース君に進呈しよう。

また高価なワンピースを当てたときにでも、融合用の素材として使ってくれたまえ」


フロースヒルデ「残念だけど、今回は強化済みのお出かけ服が手に入っただけでも、よしとするか……」

藪「残念賞としてミュー君への商品は……タタラ場の廃材置き場にある、元は装備品や結晶だったスクラップの山だ。

新しい機械を作るときの材料として、使ってくれたまえ」

ミュー「スクラップか……♪」

 スクラップが商品として進呈されると聞いて、いままでうなだれていたミューさんが急に復活してきました。


ミュー「そいつはありがたい、藪。 残念賞としては何だか勿体無い気がするぜ。

あたしにとって、スクラップは宝の山と同じだからな」

キョセン作業員「何、いいってことよ。 捨てる場所に困っていたから、引き取ってもらえるとこっちとしても助かるぜ。

それにしても、ドレス一着の為に精錬合戦とは……おまえらも暇だねぇ」

藪「何せ、このドレスは我々が手に入れた最初の、『くじ品レア服』だからね。

フィフスノート商会ヴァレンスレイ家のような資産家の方々ならともかく…… 我々庶民にとっては、この手のドレスは大変な貴重品なのだよ」

キョセン作業員「まあ、その気持ちは俺も分かるんだがよ、分かるんだが……」


キョセン作業員「結晶代3M近く使って精錬合戦をしているお前らだって、
立派な『ぶるじょあ階層』の仲間じゃねぇかよ


藪「……頼むからそこにだけは突っ込まないでくれたまえ、キョセン君」

 キョセン作業員のナイス突っ込みに、さしもの藪先生もそう切り返すしかありませんでした。



数日後……

ホワイトの自室



ホワイト「さて、スウィーハートドレスを融合したお出かけ服(力6回強化済)が届いたわね

じゃあ、早速試着を……」






ホワイト「!! し、しまった……すっかり忘れてた……」




私、まだLv70代前半(※)だったんだ……
(※)お出かけ服を着れるのはLv80以上のキャラのみ


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