29話(2)
AM11:00
SE:パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ……(馬の走る音)
TVの中のベイヤール「ヒヒーン!」
ナレーション「暴れん坊 長官」
BGM:ジャジャジャー チャーチャーチャーチャー♪
鴎外(ちょ、長官……いつの間に銀幕デビューを……)
ノレンガルド「ねーねー鴎外。 ちょっと頼みがあるんだけど……」
鴎外「? 何なのであるか?ノレン少年」
ノレンガルド「今からお昼寝するから、チャンバラ始まりそうになったら起こしてね」
鴎外「うぉい!」
ノレンガルド「ZZZ…………」
鴎外「……って、もう寝てしまったのである」
鴎外「……まあいいのである。 ノレン少年が寝ている間に我輩は南軍長官の熱演ぶりを、じっくり堪能させてもらうのである」
11:45頃
鴎外「……ノレン少年、起きるのである。 もうすぐチャンバラが始まるのである」
ノレンガルド「うん……わかった。 起こしてくれてありがとうね、鴎外」
悪人「これで何もかも思った通り…… さて、この調子で偽ブーストを売って儲けるぞ。
そしてそれで得た資金でガンホーやヘッドロック首脳陣を買収して、俺が主人公に……」
声(エコーつき)「その金、地獄まではもっていけぬぞ」
悪人「何奴!!」
南軍長官「元南軍第二銃士隊長、一条仲根陀。 そのほう、本物そっくりに偽造したブーストを露店ゴーレムにて大量販売し……
罪もなき一般人から金品を巻き上げた。 その罪、断じて許すわけにはいかぬ」
悪人「ええい……ただの素浪人の分際で何を偉そうに……」
南軍長官「たわけ。 私の顔を見忘れたか」
悪人「え……」
SE:コーン!!
悪人「ちょ、長官…… ははーっ!!(土下座)」
南軍長官「……貴様の悪事、南軍の長とて断じて許すわけには行かぬ。
貴様も元は南軍の軍人であるならば、罪を償うため、潔くこの場で腹を切れ」
悪人「ぬう…おのれ……」
悪人「長官とて構わぬ!! 者ども、であえであえ!!」
悪人の部下たち「殿!!何事ですか!?」
悪人「こやつは長官を名乗る曲者だ! 斬れ!斬れ!」
南軍長官「……」
SE:シャキン!!(剣を抜く音)
部下A「でやああああっ!!」
SE:ズバッ
部下A「のああああっ……(南軍長官風情にやられるなどとは……無念)」
TVからの音「ワー! ワー! Gyaaaa!!」
ノレンガルド&鴎外「……」
部下B「ぎゃああああ……(俺が……よもやへなちょ(『へたれ南軍長官』の略)に負けるなんて……)」
悪人「なっ…… 長官、命だけは……」
南軍長官「成敗!」
悪人「GYAAAAAAAA!!!」
ノレンガルド「中々かっこよかったね、長官さん。 鴎外もそう思わない?」
鴎外「我輩の目からみれば、演技に雑な所が多々あったように見えるが…… まあ、素人にしては良くやった方だと思うのである」
ノレンガルド「へぇ…… 随分辛口なんだね、鴎外って」
鴎外「我輩はこう見ても、時代劇にはうるさい方なのである。
しかし、長官は前の話でもTVにゲスト出演していたようであるが…… TV出演ばかりしていて、本業の方に支障は無いのであるかな?」
ノレンガルド「さあ……」
フロースヒルデ「ただいま〜」
ノレンガルド「あ、フロースお姉ちゃんお帰りなさい〜 今日は随分早かったね」
フロースヒルデ「ノレン。早速だけど今、ジークはいるかしら?」
ノレンガルド「いや、いないよ。 9時頃に『超能力の稽古しにいく』って言って、出ていっちゃった。
夕方頃には戻るって話してたけど…… それがどうかしたの?」
フロースヒルデ「ちょっと、ジークの超能力を使って居場所を知りたい人がいるのよ」
ノレンガルド「居場所を知りたい人?」
フロースヒルデ「その人の名は『南軍長官』。 今日の10時過ぎ、未決済の書類を大量に残して逐電したのよ。
で今、その時南軍詰め所にいた人間全員で彼の行方を追っている所」
鴎外「それは……ご苦労様なのである、艦長殿」
ノレンガルド「あ、フロースお姉ちゃん。 最近南軍長官さんはTVに良く出ているみたいだから……
ジークお姉ちゃんが帰ってくるまで、NHKとかカサパーとか、各地のTV局を当ってみたらどうかな?」
フロースヒルデ「なるほど……そうね。分かったわ、ちょっと当ってくるわ。
フレイヤ
ノレン、それに鴎外。 もし南軍長官が こ こ に現れたら、何か理由つけて拘束しておいてくれないかしら?
ついでに、その時は私にウィスパー頂戴ね」
ノレンガルド「うん。わかったよ。 じゃあここは任せて、気をつけていってらっしゃい〜」
フロースヒルデ「じゃあ、いってくるわね」
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ノレンガルド「お仕事に支障、思いっきり出ているみたいだね、長官さん」
鴎外「そのようであるな……」
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