日記29話(3)

15:30


藪&杏中将「……」

アナウンサー「さあいよいよ本日のメインレース・第一回母者賞(夏)の出走時間が迫ってまいりました。

最後もう一度、出走表を確認します」


アナウンサー「さて、1番人気は2番『ミスティードーナツ』、次いで3番『クホホレッド』と8番『アンリターンズ』が並んでおります。

そして四番人気が1番『フグウカーテット』となっております。

さて、この8頭の中から記念すべき第一回『母者賞(夏)』を手にするのは、果たしてどの馬でしょうか……」

SE:チャー チャチャチャー チャチャチャー(ファンファーレの音)
(競馬に詳しい方は天皇賞秋もしくは有馬記念のファンファーレをイメージして下さい。
参考サイトはこちら(問題があればただちにリンク解除致します))

アナウンサー「おっと……ファンファーレが鳴り響きました。 皆さん、お待たせしました」


アナウンサー「第一回『母者賞』 まもなく出走です

SE:ワー!!!(観客の歓声)


杏中将「いよいよ、出走ですね……」

藪「ああ。

出走前のファンファーレ…… 競馬を始めて長いが、何度聞いても身震いするよ。

さて、今回はどう転ぶか……」

杏中将「……」



アナウンサー「東西南北のスピード自慢の馬達が、ここ穀倉地帯競馬場に集結しました。

さて、栄冠はどの馬の頭上に輝くのか……

……各馬ゲートイン完了」


SE:ガシャン

アナウンサー「スタートしました。 まずは綺麗なスタート。 さて何からいきますか……

まずはシンガリルドルフが先頭に立ちました。 ついでカモノネギと続きます」



アナウンサー「まず先頭に立ちましたのは4番シンガリルドルフです。 続いて7番カモノネギ。

さらには5番ネコマオルベリエ。 そして3番クホホレッド。 ミスティードーナツはここにいました。

さらに6番ヒフヘオウツズク、その次に8番アンリターンズ、最後方に1番フグウカーテットという態勢です。

先頭からシンガリまでおよそ5馬身差。

もう一度先頭から見てみましょう。 依然として先頭はシンガリルドルフ。 ミスティードーナツは現在四番手。

その後ろにヒフヘオウツズクがぴたりとつけました」


アナウンサー「800Mの標識を通過。 この辺りから後続馬が差を詰めて来ます……

依然として先頭はシンガリルドルフ。 クホホレッド、やや後退。

上がってきましたのは、8番アンリターンズ……

残り600Mを切りました……」


アナウンサー「さあ直線の叩きあい! 先頭はシンガリルドルフ! そしてその後にカモノネギ、ミスティードーナツの二頭!

シンガリルドルフ、まだ粘っている!!」


アナウンサー「おっとここでネコマオルベリエが一気に突っ込んできた!!

ネコマオルベリエ、今一着でゴールイン!!」


アナウンサー「勝ったのはネコマオルベリエです。 二着争いは微妙か。

ネコマオルベリエが、母者賞(夏)を制しました」


杏中将「決着、付きましたね先生。 で、先生。昨日先生がお買いになられた馬券、的中なされたでしょうか?」

藪「……杏君。 唐突に問うが、初代ロマンシング・サガを知っているかね?」

杏中将「ええ、スーファミ版しかやった事はありませんが、一通りプレイした事はあります。

でも、それがどうかしたんですか?」


藪「……今の私の心境とかけて、オービルの町(※)の波止場にいる爺さんととく」

(※)初代ロマンシング・サガに出てくる街の名前


杏中将「……その心は?」


藪「私に構わんでくれ……(※2)

(※2)原典(初代ロマサガ)では『わしにかまわんでくれ……』

杏中将「先生……」


     その様子だと、相当派手に負けてしまったようですね……
杏中将「心中、お察し申し上げます……



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