日記第三回
今回の日記担当:ジークウルネ
某月某日 西平原学校(兼・クイズ会場)
司会「さて、最後まで残ったのはたった一人、タイタニアのウィザード、ジークウルネさんとその助手、藍副長さんです」
いきなりですが、私は今、西平原学校で開催されているクイズイベントに参加しています((※)実際にこんなイベントは開催されていません)
全30問あるクイズを全て解けば生き残った人全員にレアアイテムがもらえるという催し物です。
が、そのあまりの難易度……というよりECOと関係ない難問の多さに脱落者が続出。
29問目を終わって、最後まで生き残ったのは私一人になってしまいました。
司会「さて最後の問題です。ジークウルネさん」
司会さんが私に問いかけます。
ジークウルネ「は、はい」
司会「次の言葉をエミル語(日本語)に訳して下さい」
ジークウルネ「はい」
司会「では、ここからが問題の本文です……。
『ほちけたも すわえなこ゜うにな゜ むちけやにうを!』」
藍副長「な、何ですか、この意味不明な言葉は……!!」
司会が発した意味不明な言葉にややヒステリックに反応する藍副長。
司会「……藍副長、静かにしてください」
藍副長「も、申し訳ありません」
司会「では、続けます。『こ゜うはにうゆてぬひ うくとよけきつき゜にう』」
と、ここで司会は何故は一呼吸おきました。そして次の瞬間には……
司会「ふんてこわ!!」
藍副長「ひゃっ!!」
司会が何故か一喝。同時に藍副長もびっくりしています。
司会「もう一度、問題文を読み上げます。
ほちけたも すわえなこ゜うにな゜ むちけやにうを!
こ゜うはにうゆてぬひ うくとよけきつき゜にう
ふんてこわ!!
・・・・・・以上の文章をジークウルネさん、30秒以内に一字一句誤りなく訳して下さい」
藍副長「ぬ、ヌシ様……」
あまりの難問にうろたえる藍副長。しかし、私にはこの一見だたの文字の羅列に思える言葉には聞き覚えがありました。
ジークウルネ「司会さん。答えを読み上げます」
司会「はい、どうぞ」
ジークウルネ「では・・・・・・
下手糞め 素人芸など みたくもないわ!
芸のないやつには 生きてゆく価値がない
火をつけろ!!
……以上でよろしいでしょうか?」
私の問いかけに対し、司会は一瞬沈黙しました。
そして次の瞬間・・・・・・
司会「おめでとうございます!正解です!!
それにしてもジークウルネさん、『ひんたぼ語』などというアクロニア大陸ではドマイナーな言語、よくご存知でしたね」
ひんたぼ語というのは、アクロニア大陸の遥か南の島の原住民達が使っているとされる言語です。
文法としてはただエミル語のひらがなの文をある規則によって変換した代物です。
たとえば、エミル語で「あ」だったらエミル語では「い」といった風に、50音表を参照してエミル語の1つ先の文字になります。
濁点の場合、゛(濁点)→゜(半濁点)といった風な特殊な変換をします。
まあ、書くだけなら非常にマスターしやすい言語なのですが・・・・・・・
先の問題文から見て分かりますとおり、変な所で半濁点がついているおかげで、発音の方は困難を極めます。
ジークウルネ「タイタニアの世界にいた頃に、親の命令で習っていたんですよ。『エミルの世界に降りた時、『ひんたぼ語』をマスターしてないと
恥をかく』だと言われまして・・・・・・
ああ、これでも私、ひんたぼ語検定一級の資格持っているんですよ」
でもいざエミルの世界に下りてみると、ひんたぼ語を話す人はおろか、その言語の存在すら知らない人が大多数を占めていました。
私はこの「ひんたぼ語」以外にも、アーヴ語やルルイエ語なんかも習得しているのですが・・・・・・
この二つの言語も、この大陸で使っている人は少ないと言うか・・・・・・ほとんど皆無です。
・・・・・・あまりこんな事を言うのも何ですが、今となっては親に騙された・・・・・・としかいいようがありません。
まあもっとも、親の無駄な教育のおかげで、今回のクイズイベントに優勝できたのもまた事実ですが。
司会「では、優勝しましたジークウルネさんには、賞品としてこの『レアアイテムの詰め箱』をプレゼントします」
ジークウルネ「箱・・・・・・」
箱という単語を聞いて、私はどうも嫌な予感がしました。
ECOを長くプレイしている人なら説明不要かと思いますが、箱系のアイテムからゴミアイテムが出る確率は、ざっと見積もっても9割を超えています。
司会「ご安心下さい。この箱はそこらに落ちている木箱や宝箱と違い、本当に100%レアアイテムが詰まっている箱なので。
じゃあジークウルネさん。賞品をお受け取り下さい」
ジークウルネ「はい」
まあ、ただで物がもらえるのなら、もらっておいた方が得というものです。
私は司会さんから賞品を受け取ると、西平原学校を後にしました。
ダウンタウン・シアター前
ミュー「あ゛〜〜。まじでつまんねぇ映画だった・・・・・・」
山吹中佐「本当や……。まえまえからあの映画はつまらんという話を聞いていたが……まさかあそこまでつまらんとは思わなかったで。
120分も延々とヤクザ同士の喧嘩見させられているこっちの身にもなってみぃ……」
帰り際にダウンタウンのシアター前に差し掛かると、そこにはミューさんがげんなりした表情でたたずんでました。
と、次の瞬間、ミューさんはこちらに気づいて
ミュー「お、ウルネじゃないか。クイズ大会の成果はって……」
ミュー「……聞くまでもないようだな」
ジークウルネ「ええ。おかげさまで、見事優勝してレアアイテムがっぽりもらっちゃいました」
ジークウルネ「他にも想い出の桜の木とか、ティタ様が着ていたレア物のドレスとか……色々ともらいました」
ミュー「なるほどねぇ……。ま、何にせよおめでとう、ウルネ
機関車はお前さん達が移動に使うからいいとして……ドレスとかは金にかえれば、当分資金の面で困る事はないか。
もっとも、お前さんがドレス着たいっていうんなら取っておいてもいいが」
ジークウルネ「売ってしまっていいですよ、ミューさん。そもそも私達SUの職業服には、かわいらしいデザインの物が多いので……
高いお金だしてドレス買わなくても、それなりにおしゃれできますから」
ミュー「確かになぁ……。あたしは女っぽい格好は苦手だし、フロースはフロースでドレスなんか趣味じゃないと前々から言ってるしな」
山吹中佐「ああ、ウルネちゃん。うちら、これから狩りにいくさかい。早速やけどその機関車、貸してもらえへんか?」
ジークウルネ「ええ、構いませんよ」
ミュー「お、おい山吹……。まさかあたしにあの機関車乗れっていうんじゃないだろうな?」
何故かうろたえるミューさん。
山吹中佐「何やミュー。機関車乗るの嫌なんか?」
ミュー「フロースやウルネはともかく、あたしが街中でこんな子供っぽい物の乗り回すのは……」
山吹中佐「恥ずかしいやと?そんなの暫くのってれば慣れるで。
さ、恥ずかしがらずに乗った乗った」
ミュー「お、押すなよ山吹……わかった、乗ればいいんだろ?乗れば……
じゃあウルネ、また後でな」
ジークウルネ「はい。では、いってらっしゃいませ」
ミューさんは赤面しながら機関車に乗り、その場を後にして行きました。
その後……
ミュー「しっかし、よりによってあたしがこんな子供向けの機関車に騎乗する羽目になるとは……
あ゛あ゛……周囲の視線が痛い……」
山吹中佐(機関車内に乗っています)「まだそんなに恥ずかしがってるんかい。要な慣れや、慣れ。
ほら、いつまでもぼやいてないで、さっさと狩場にいくで」
ミュー「へいへい……(あ゛あ゛……、早くマシンナリーになって二足歩行ロボに乗りたい(※)……)」
(※)二足歩行ロボは乗るとドラゴや機関車並の移動速度が出るそうです
が、しばらくすると……
イストー岬にて……
ミュー「鶏の分際でたかってくるんじゃねぇよ!!この下等生物がっ!!」
コッコー「こっご〜〜〜(訳:ぎゃーーーーーひとごろしーーーーー)」
キラービー峠にて……
ミュー「人の採掘の邪魔たぁ、いい度胸してるじゃねぇか。ええ?バウさんよ……
そんなしつけのなってないワン公は、こうしてやるよ」
チュゲシ!!(バウを踏みつける音)
……とまあ、各地でアクティブモンスターの皆様を機関車で轢きまくっていたそうです。
でもミューさん。あえて苦言を呈するなら、人前で動物達を轢きまくるのは程ほどにしてください。
なぜなら、私、ジークウルネの艦内での部署は通信手(オペレーター)。
つまるところ、動物愛護団体からの抗議の矢面に立たされるのは……
他ならぬ、私だからです……
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