日記第30話(2)
遺跡入口
藪「では、バトルに入る前に状況の説明をしよう」
遺跡に入った私と重秀さんは、藪先生から状況の説明を受けました。
藪「事の発端は2時間程前、いつものようにフロース艦長が遺跡嵐退治にでかけた。
ところが彼女が遺跡に入って暫くして、突如して彼女の反応が消えた……
原因は今もって不明。 ただ……」
ホワイト「ただ?」
藪「フロース艦長が消えた場所は、遺跡のかなり奥の方だ。 普段彼女は遺跡の奥深くまで行ってまで狩りをしたりはしないんだが……」
重秀「大方、どこもかしこもワサビ部屋だらけだったんで、気がついたら奥にいた、って所じゃないか?姉貴?」
藪「ああ、私もそう思う」
重秀「遺跡の奥で行方不明になったって言うんなら、早い所助けてやらないとまずいな。
……行方不明になった地点は、正確に把握できてるのか?」
藪「それについては問題は無い。
……先ほども言ったように、今回のバトルは先にフロース艦長が消息を絶った地点にたどり着いた方の勝利だ。
さ、時間が惜しい。 二人とも、スタート地点についてくれ」
藪「……ホワイト君。こっちは憑依完了だ」
藪先生が私の胸アクセサリに憑依し、出発の準備が全て整いました。
ホワイト「じゃあ、誰かカウントダウンを……」
重秀「いや…… 人の命がかかっている以上、カウントダウンしている時間も惜しい」
重秀「今回はレディー・ファーストの精神から、お前さんが好きなタイミングでスタートしてくれ。
こっちはそれにあわせる」
ホワイト「了解。 じゃあ、いきますよ……」
SE:ギョアアアアア!!!
そして私はジニアの馬車のアクセルペダルを踏みつけ、ジニアの馬車を急発進させました。
重秀「ほう……馬車にしてはいい加速だ。 だが……」
重秀「こいつのフルノッチ(※)に、果たしてついてこれるかな?」
(※)フルノッチ:車で言うとアクセル全開、艦艇でいうと機関全速。
ちなみに『ノッチ』とは、車でいうとアクセルみたいな物。
SE:ウウウウウウアアボオオオオオオオーーー
重秀さんが機関車タイニーを発進させると、機関車から耳慣れない音がしてきました。
ホワイト「何だか変わった音がするわね……重秀さんの機関車」
藪「この音……京急1500系の起動音か。
重のやつ……随分マニアックな物を搭載しているな。 読者にも分かり易いように、京急2100形あたりの制御機器(※)を積めばいいものを……」
(※)京急沿線の読者の方なら説明不要な、発車時に「ドレミファソラシド〜」という音が出る例の電車。
私に憑依している藪先生がなにやら呟いています。
私は鉄道に関してはまるっきり素人なので、藪先生の話はあまり理解出来ませんでしたが、
要するに重秀さんは自分の機関車に、電車のエンジンを無理やり組み込んだという事だけはわかりました。
それに……
ホワイト「このスピード…… もうすでに機関車タイニーのそれじゃない……」
そう。重秀さんの機関車は物凄い加速力を発揮し、私の馬車の脇を通り過ぎていきました。
重秀「ストレートでちぎるのは不本意だが、これは人命救助だからな……遠慮はしないぜ
二度とバックミラーに映る事はねぇ……」
そして、私の馬車を抜かす重秀さん。
ホワイト「むす……上等じゃない。
だけど、私だってそう簡単にはやらせないわよ……」
SE:ギョアアアアアアアア!!
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