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                戦闘庭フレイヤの人々 30話達成記念企画

                 






某月某日 戦闘庭フレイヤ居住区


ホワイト「さて、遺跡嵐クエも終わったし…… TVでもみよっと」




ウェンディー「皆さん、お早うございます。 本日も『カサネットたけだ』の時間がやってまいりました。

今日の商品紹介担当も、『カサネットたけだ』代表取締役社長の、『武田』がお送りします。

本日の商品は……」


武田社長「ジニアの馬車です

この『ジニアの馬車』はいわゆる『騎乗ペット』の一種ですが…… このジニアの馬車、ただの騎乗ペットとは一味もふた味も違うんです。

このジニアの馬車、馬車とは言っても動力は馬では無く……」


武田社長「なんと自動車のエンジンを使っているんです!!

自動車のエンジンを使っているという事は……

つまり、己の筋肉だけで移動するドラゴ等の騎乗ペットとは、比較にならないほど早い速度で移動する事が出来ます。

もっとも、市販されているジニアの馬車のエンジンは旧型の貧弱な物を積んでいる為、ドラゴと大して変わらない速度しか出せません。

しかし、今回ご紹介するジニアの馬車には、最初から150馬力のエンジンが積まれている為……ブーストを超える速度で移動が可能となっています。

勿論、もっと高性能なエンジンに積み替える事も可能です。

このエンジンを積み替えた『ジニアの馬車』を、我々『カサネットたけだ』は……」


武田社長「10台限定で、3Mにてご提供します!!


武田社長「皆さん、もう一度いいますよ。

この改造したジニアの馬車が、市場価格(2008年8月の四葉鯖で7M前後)の半値以下の3Mで買えるんですよ。

ですが台数は10台限定ですので、お求めになりたい方は、お早めにお電話を……」

ホワイト(ごくり……)



数日後 アップタウン


ホワイト「結局、買っちゃった……

貯金は全額飛んじゃったけど…… この喜びには変えられないわね……」

 私は結局、『カサネットたけだ』から3Mにて『ジニアの馬車』を買ってしまいました。

愛車の運転席に座って感慨にひたっていますと……




馬車の妖精さん「始めまして、マスター。 私はこの馬車に住む妖精『スプリンター=トレノ』と申します。

以後、私の事は『トレノ』とお呼び下さい」

 どこから現れたのか妖精さんが現れて、私に挨拶ををしてくれました。

ホワイト「あれ……この馬車って、妖精さんが住んでいたんだ……」

妖精トレノ「この馬車だけでなく、世の中に出回っている『ジニアの馬車』には一台に必ず一名、私のような妖精が乗務する事になっております。

この馬車のオペレーション各種、並びに敵との戦闘(※)は、私にお任せ下さい」
(※)ジニアの馬車は敵を攻撃する時、妖精さんが攻撃してくれます(馬車で轢く事はできそうでできません)。

ホワイト「始めまして、トレノさん。 私はキュリー=K=ホワイト。

以後、私の事はホワイトって呼んで頂戴ね、トレノさん」

妖精トレノ「こちらこそ宜しくお願いします、ホワイト様。

さて、早速ですがこれからどうなさいましょう? 試運転なさいますか?」
                    マシン
ホワイト「そうね…… 早速この馬車の性能見てみたいから、ちょっとビー峠で走ってみましょう。

その後で……」

声「おーい!ホワイトー!」

ホワイト「あ、その声は……」

 
ホワイト「ミュー先輩、こんな所で会うなんて奇遇ですね。 どうしたんですか?こんなところで?」

ミュー「いや、何。 タタラベギルドの寄合があるんで、これから出張る所だ。

って、ホワイトお前……」


        マシン
ミュー「その馬車、一体どうした?」

ホワイト「どうしたも何も、買ったんですよ。 遺跡荒らし退治でコツコツ貯めたお金を全額出して」

ミュー「貯金全額ねぇ…… いくら出したのかはあえて聞かないが、なんでまたそんな物を買ったんだ?」

ホワイト「そりゃ、これを買った理由は……一つしかないですよ」


             マシン
ホワイト「この馬車で、キラービー峠を攻める為に決ってるじゃないですか


妖精トレノ「!!

私がそう宣言すると、トレノさんは一瞬凍りつきました。

妖精トレノ「と、峠を攻めるって……もしかしてホワイト様、『走り屋』さんですか?

『峠を攻める』なんて言葉を使う人なんて、『走り屋』さん以外考えられませんが……」

 なんだか不安そうに、トレノさんは私に問いかけてきました。

ホワイト「そうよ。 もっとも、さる事情で現役から引いて久しかったんだけど……

この度、現役復帰する事にしました」


妖精トレノ(げげんちょ!!

 そして、あからさまに『不安的中!』といった表情を浮かべるトレノさん。


ミュー「……そういや思い出した、ホワイト。 

お前、実家の家督を継ぐ条件の一つに……『いっぱしの走り屋』になるってのがあったよな」

 一方の先輩は事情を把握しているため、大して驚いていません。

ホワイト「ええ、その通りです」

 先輩の言う『実家の家督』とは、言うまでも無く私の二つ名である『怪盗キュリアコット』の襲名です。

 実家の教えには『怪盗たる者、カーチェイスでパトカーに遅れをとるようでは話にならない』という物があり、

代々の『怪盗キュリアコット』は、走り屋としての技能を高める事を求められています。

 それもちょっと峠を走れる程度ではダメで、ある程度走り屋として有名にならなと、襲名は認められないという掟があります。


                           マシン
ホワイト「それでは先輩、私はちょっとこの馬車試運転しに行ってきますね。

……それと先輩。帰ったらこのマシンのチューン、お願いします」

ミュー「……チューンするのは構わん。 構わんが……」

ホワイト「??」


ミュー「これだけは言っておく。ビー峠を攻める事だけは止めろ

 唐突に、先輩は私のビー峠攻めにダメ出しをしてきました。

ホワイト「え〜 何でですか!?」

ミュー「お前なぁ……ビー峠にはバウやベアみたいな雑魚しかいないとはいえ、アクティブMobが沢山いるんだぞ?

そんな所でその馬車爆走させたら、ほぼ間違いなくトレイン行為で通報されるぞ」

ホワイト「う……言われてみれば……」

ミュー「それに、あそこはあたしらタタラベ系職の者にとっては粘土が一番効率よく採掘できる場所なんだぞ。

そんな所を暴走されたら、粘土掘りの同業者にも大迷惑だろうが」

ホワイト「うう、そうか……これじゃあ、ビー峠攻めは諦めざるを得ないか……」

 残念ではありますが人の迷惑になる以上、こればかりは諦めざるを得ません。

ミュー「……と、もうこんな時間か。 じゃあ、あたしはタタラベギルドまで行ってくる。

試運転するなら、アクティブMobがいない所にしておけ。 じゃあな」

 それだけ言い残すと、ミュー先輩はギルド元宮の方へ去っていきました。


ホワイト「……さて、ここでボーっとしているのも何だし、とりあえずアクロポリスの外に出ましょうか。

トレノさん、済みませんがナビお願いしますね」


妖精トレノ「了解しました、ホワイト様。

あ、ホワイト様、走る前に、その……」

ホワイト「……心配しなくても、車をぶつけたりなんかしないわよ、トレノさん。

自分の分身である愛車をしょっちゅうぶつけるような人は、走り屋としては三流もいい所だからね」

妖精トレノ「は、はい……」

ホワイト「もっとも……」


ホワイト「場合によってはスピード出したり、ドリフトしたりする事があるから……

その辺は了解して頂戴ね、トレノさん」

妖精トレノ「は、はい……(恐ろしく不安)」




西アクロニア平原


ホワイト「さて……この車、どこで試運転しようかな……

歩行者が少なくて、かつアクティブモンスターがいない所……どこかないかなぁ」

 西平原に出た私は、どこで馬車を試運転させるか迷っていました。

ホワイト「……と、そうだ。 走り屋さんがよく出没する所を探してみましょう。

すみません〜 ちょっとよろしいですか?」


通行人「? 何か?」

ホワイト「この世界で、走り屋さん達に人気のスポットって……どこかないでしょうか?」

通行人「……これはまた、随分と唐突な質問だな」

ホワイト「ええ……」

 そのくらいの事は自分でも承知していますが、調査の基本はまずは聞き込み……と、誰かから聞いた事があります。

 もっとも唐突な質問なので、そうすんなり走り屋さんに人気のスポットが突き止められるとは思っていませんでしたが……


通行人「走り屋に人気のスポットといえば……近場ではこの先のビー峠だな。

他にも鉄火山、東海岸(の大陸洞窟入り口近辺)といった高低差があるMAPなら、どこにでも走り屋はいるぜ」

 通行人の男性は、あっさり私の求める答えを出してきました。

ホワイト「へぇ……随分いろんな所にいるんですね……走り屋さんって。

でも、ビー峠みたいなアクティブMobがいる所だと、トレイン行為で通報されるんじゃ……」

通行人「騎士団との協定で、走り屋が走るのは人の殆ど居ない平日夜2時過ぎ〜午前10時か、またはメンテ中と決っているんだ。

その時間内であれば、いくら飛ばしても取り締まりの対象にならないんだぜ。

それに……バウやギーゴにぴったり付けられるような間抜けは、走り屋業界にはまず存在しない。

そんな奴が存在したとしたら、そいつ走り屋としては相当なヘタレだろうな」

ホワイト「へぇ……そうなんですか」


ホワイト「貴方……走り屋の事に随分と詳しいんですね。 失礼ですが、もしかして貴方、現役の『走り屋』さんでしょうか?」

通行人「……ああ、そのとおりだ」

 私の予想通り、目の前の男の人は『走り屋』さんでした。

通行人「かくいうお前さんの方こそ、随分と走り屋に興味があるみたいだが……

ひょっとして、お前さんも走り屋か?」

ホワイト「はい。 さる事情で現役を退いていたのですが…… 今度、現役復帰する事にしたんですよ」

通行人「なるほどな……」


通行人「……俺の名前は藪 重秀(しげひで)。 『鉄火山レッドサンズ』っていう、走り屋リングの一員だ。

なお、俺はECO内では別の名前を名乗っているから……もし、ECO・クローバー鯖内で『藪重秀』さんを見かけても、それは俺じゃない。

だから、声をかけたりしないでくれ」

ホワイト「重秀さんですか…… 私は戦闘庭フレイヤに乗務しているキュリー=K=ホワイトといいます。

コレも何かの縁。 一つ、よろしくお願いしますね」

重秀「ホワイトか……その名、覚えておこう。

さて、早速だが…… もうすぐAM2時(走り屋行為解禁時刻)も回る事だし……これからこの西平原の上りで勝負といかないか?

お前さんの実力……見てみたくなった」

ホワイト「勝負ですか……私は構いませんが、重秀さんにも予定があるんじゃないんですか?」

重秀「ビー峠で軽く流すつもりだったが、気が変わった。

さ、時間が勿体無いから早い所マシン準備しようぜ」





数分後……


重秀「ルールは簡単。 先にビー峠へのワープポイントを通った方の勝ちだ」


ホワイト「了解。 じゃあ、早速いきましょうか」

重秀「OK。 じゃあ、早速カウントダウンを……」

 重秀さんがそう言いかけたその時……

女性の声「二人とも、盛り上がっている所済まんが……そのバトル、待った」

 突如として、背後から第三者の声がしました。

ホワイト「この声、もしかして……」


ホワイト「藪先生……」

 いつのまにか、私達の背後に藪先生の姿がありました。

 もっとも、藪先生がいつの間にか背後にいる事は日常茶飯事なので、驚くような事でもありませんでしたが……


重秀「なっ……姉貴!! なんでこんな所に!?」

 藪先生の登場にびっくりしていたのは、他ならぬ重秀さんでした。

 もっとも、私は重秀さんの苗字が『藪』である事から、藪先生の親族では無いかと予想はしていましたが。

 どうやら重秀さんは、藪先生の弟さんのようです。

藪「久しいな、重(シゲ)。 エミル界にはいつ来た?」

 対する藪先生は、いつもどおり平静さを保ったまま答えてきました。


重秀「1ヶ月程前だ……って、そんな事はどうでもいい!

折角のバトル、邪魔しないでくれよ姉貴…… 走り屋に『走るな』って言う行為がどれだけ無粋な事か、姉貴だって分かっているだろうが」

 いかにも迷惑そうに、重秀さんは言いました。

藪「……言い方がまずかったな。 別に私は、そんな野暮な事を言うつもりは無いよ。

ただ、こっちとしてはバトルする場所を変えて貰えると、非常に助かる……それだけの事だ」

重秀「? どういう事だ?姉貴」


藪「実は遺跡の奥深くで、私の知り合いが消息を絶ってしまった。

そこでだ。 どうせバトルするのであれば、その人物が消息を絶った地点までバトルしてもらいたいのだ。

単独で走るより、2台で速度を競い合った方が……より早く目的地に到達できると思うからね」


重秀「要するに、また人を救急車代わりに使いたい訳か……」

 うんざりするような表情で、重秀さんは藪先生に言いました。

 どうやら、重秀さんは藪先生に、過去幾度と無く救急車代わりに走らされていたようです。

 しかし、それはさておき……私には一つ、気になる事がありました。

ホワイト「ええと、藪先生…… その、行方不明になった知り合いって、どなたですか?」

藪「それなんだが……」

藪先生は深刻な表情を浮かべると、次の瞬間にはこう言いました。


藪「遺跡で消息を絶ったという私の知り合い…… それは他ならぬ、我らがフロースヒルデ艦長だ」


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