32話(2)


椿「ではノレン君、改めて……」


椿「しゃれい

 唐突に妙な台詞を口走る椿嬢。


ノレンガルド「しゃれい?」

 流石のノレン少年も、この妙な台詞の前には困惑の表情を浮かべたのである。

椿「ああ、ごめん。 『しゃれい』っていうのはボクの地元の方言で『こんにちわ』っていう意味だよ」

ノレンガルド「へぇ……そうなんだ」

 先ほどの『しゃれい』という台詞はどうも、どこかの地方の方言らしいのである。

 まあそれはそうと……我輩には椿嬢について、一つ気になる事があったのである。


鴎外「あ、椿嬢。 一つ、質問したい事があるのであるが……」

椿「? 何?鴎外君?」

鴎外「ひょっとして親族の中に……『明子』と名乗る人物はいるのであるか?」

 『明子』…… そう、それは我輩らがいつも世話になっているお医者様、Dr・藪先生の下の名前なのである。

 椿嬢も『藪』姓を名乗っているので、ひょっとしたらと思ったのであるが……

?「鴎外君、君の予想は当たりだ」

 が、我輩の質問に対する答えは、椿嬢では無く別の人物から返ってきたのである。


 その人物とは何を隠そう、Dr.藪こと藪明子先生本人だったのである。

藪「彼女……椿は年が離れた妹だ。

もっとも、彼女は養女だから……血のつながりは無いがね」

鴎外「ほうほう……」


椿「実は藪家ってね…… 代々マジックアイテム研究家を輩出している家柄なんだよ。

でも、明姉(あきねぇ)はお医者さんの道に進んじゃったし……

重兄(しげにぃ)の方は、マジックアイテム研究家になるには余りにも偏差値が低すぎたから……

鴎外「……それで、椿嬢が養女として藪家にやってきたという訳であるか」

椿「そ。 もっとも、身寄りが無かったっていう理由もあるんだけどね。

生まれてから藪家に引き取られるまで、ずっと孤児院育ちだったし」

鴎外「なるほど……」


藪「ところで椿。 もうすぐSaga10実装だというのに、こんな所で油を売っていていいのか?

ダウンタウンの研究所では、今新作イリスカードの開発で大忙しと聞いたが……」

椿「今は休憩中だよ。 で、ちょっとアップタウンをお散歩している所だったんだけど……」

??「探しましたよ、椿さん」

椿「!!」

 声のした方向を向くと……


そこには妙な格好をしたハレルヤ殿がいたのである。

この御仁は『夢見のハレルヤ』。ブランクイリスカードを使える形にしてくれる(普通のイリスカードにしてくれる)人?なのである。

夢見のハレルヤ「……休憩時間はとっくに終わっているんですよ、椿さん。

この忙しい時に2時間近くもふらふらしているなんて、何を考えているのですか?」


椿「あ、ごめん。 ちょっとポカリ飲んでた。

今戻るよ」

夢見のハレルヤ「……サボりの言い訳ならもっとマシな事を言ってください。

では、そろそろいきますよ」

椿「は〜い」


椿「じゃあみんな、ボクはそろそろいくね。 またね〜」

ノレンガルド「うん、またね〜」

 椿嬢は夢見のハレルヤに連れられて、ダウンタウンの方へと戻っていったのである。



ノレンガルド「所で藪先生。 今日って、99防具抽選会の日だったよね」

 椿嬢が去った後、ノレン少年は99防具の話題をもちかけてきたのである。

藪「ああ。 正確にはイケメンドラゴン合同討伐会だがね」

鴎外「今回は一体、何が当ったのであるか?」


藪「今回欠片は200個集まったから……抽選の回数は2回。

そのうちの一回は……女性BP系の物を引いてきた」

鴎外「なるほど…… このサイトのBP系の人物は、全員女性であるから……

何を引いても、ハズレを掴まされる事は無いのであるな」

藪「ああ。 で、その結果なんだが……

鍛帝(タタラベ系99防具)でも引いてミュー君を驚かせようと密かに画策していたのだが……」


藪「幸か不幸か、私自身の物が出てきた」


ノレンガルド「おめでとう〜藪先生」

鴎外「おお、おめでとうなのである」

 私とノレン少年は、素直に藪先生に祝辞を述べたのである。

藪「ありがとう、二人とも。 服の方は、実際にLv99になって着てみない事には似合うかどうかはわからないが……」


藪「このカバンの大容量は、私のようなBP系には大変魅力的だ。

これをつける事が出来れば…… 収集の時や、大量の物資を必要とするアイテムの生産時に役に立つよ」

ノレンガルド「へぇ……凄いんだね……

で、藪先生。 抽選のもう一回は、何を引いたの?」

藪「それは……だ……」


藪「まあ帰ってから(次回の)お楽しみ……という事にしておこうか


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