日記第38話(中篇)
ノレンガルド:わぁ……
ユキ:これは……
白梅:ふむ……
白梅:なかなかの”いけめん”じゃの、鴎外殿。
鴎外(アルマ):ありがとう……なのである。
白梅殿がかけた『古代の秘術』により、我輩は人の姿になったのである。
鴎外(アルマ):しかし、人の姿になったのは良いのであるが…… これからどうやって、艦長殿を勇気付ければ良いのであるか?
白梅:簡単な事なのじゃ。 艦長どのの目の前でその姿に変身すれば良いのじゃ。
さすれば、新しいアルマが来た事実を知った艦長どのは、勇気付けられること間違いないのじゃ。
鴎外(アルマ):そうであるか…… では、早速艦長室へ……
?:その必要はないわ。みんな。
鴎外(アルマ):む……
鴎外:艦長殿…… 大丈夫なのであるか?
ふらりと主計室に現れた艦長殿。
二日も何も食べていないので当然ではあるが、どうみても体調が良いようには見えないのである。
フロースヒルデ:とりあえずは大丈夫…… それよりも鴎外、貴方もアルマ化出来たみたいね。
まずはアルマ化……おめでとう。
鴎外(アルマ):ありがとう、なのである。
……それよりも艦長。 何ゆえここへ?
フロースヒルデ:ユキの泣き声と、鴎外とユキのしゃべり声が聞こえたから……気になってついてきてみたの。
ごめんね、ユキ…… 貴女が作ってくれたご飯を、食べてあげられなくて……
ユキ:い、いえ。とんでもありません、ご主人様。
それでご主人様…… 今からでもご飯、食べられますか?
フロースヒルデ:とりあえず、気持ちの整理はついたから大丈夫。食べられるわ。
と、いうよりこれ以上食べなかったら、冗談抜きで倒れそうだしね。
藪:ふむ…… 自分で自分の体の現状を把握できているのならよし。
ユキ君。 これも何かのついでだ。 インスマウスの長老からもらったカツオが一匹ある。
この機会に、ワラ焼きタタキの作り方を伝授しておこう。
ユキ:久しぶりに新しい料理のレシピを教えてくれるのですね。 ありがとうございます、藪先生。
先ほどの落ち込んだ雰囲気はどこへやら。 元気そうにユキ殿は答えたのである。
藪:そして試食はもちろんフロースヒルデ君、君だ。
フロースヒルデ:は、はい……
鴎外(アルマ):しかし、ユキ殿も大変であるな。 もうこんな時間なのに、また料理とは……
ユキ:いえいえ、とんでもありません。鴎外さん。
ユキ:私たち使い魔はご主人様のお役に立てる事が、何よりもの幸せなんです。
それは『D』の頭文字がつこうがつかまいが、永遠の北限に住んでいるノーマルの『使い魔』でしょうが、変わる事はありません。
鴎外:そうであるか……
所で艦長。 今回入手に失敗した同族のアルマの件であるが…… 我輩から一つ、提案があるのである。
フロースヒルデ:? 何かしら、鴎外。
鴎外(アルマ):明日にでもアクロポリス地下遺跡奥の、アンブレラの里に来て欲しいのである。
もしかしたら、里の同族の中にアルマ化している個体がいるかも知れないのである。
長老に話をつければ、その個体を紹介してもらえるかも……なのである。
フロースヒルデ:でも、結局の所うちに来るかどうかは本人の意思しだいだけど…… 試してみる価値はありそうね。
わかったわ。 明日、一緒にいきましょ。
鴎外(アルマ):了解、なのである。
ノレンガルド:アンブレラの里か……ねえねえ鴎外、久しぶりに一緒に行こうよ。
あの里には大分前の話で行ったきりだったから…… 久しぶりに、長老様やあそこで出来た友達に会いたいな。
ユキ:あ、あの……鴎外さん。 私も一緒に……アンブレラの里に行ってもよろしいでしょうか?
アンブレラの長老様に、前々から聞きたかった事がありますので。
鴎外(アルマ):了解なのであるよ、ノレン少年、ユキ殿。遠慮する事は無いのである。
ユキ:やった♪ じゃあご主人様の夕食を作ったら、明日のお弁当を仕込んでおきますね。
うれしそうな足取りで、ユキ殿は主計室から出て行ったのである。
同日同時刻 アクロポリス地下遺跡深部・アンブレラの里
ちびアンブレラ:おじぃ、何だか人間の世界では『アルマ』や『ロア』の話題で持ちきりだね。
アンブレラの長老:ああ、そうじゃよ。 ちなみに、われらアンブレラ一族からも『アルマ』が出たのじゃよ。
ちびアンブレラ:知ってるよ。 というより、そのアルマ化した子って、アタシの文通友達だし。
アンブレラの長老:そうか…… さ、今日はもう遅いから、早く寝なさい。
ちびアンブレラ:はぁい。 それじゃあお休み、おじぃ。
アンブレラの長老:ああ、お休み。
1時間後……
ちびアンブレラの声:おじぃ……おじぃ……
アンブレラの長老:? どうしたのじゃ? 寝たのではなかったのか?
ちびアンブレラの声:それどころじゃないの…… 急に、飛べなくなっちゃったの……
体も、なんだか重いし……
アンブレラの長老:飛べなくなった……!? って……
アンブレラの長老:なんとぉーーーー!!!
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