日記第39話


戦闘城フレイヤII・厨房


アガサ:そくせきちょ~じん~♪ れんたまおー♪ っと


アガサ:できたー!!


ユキ:あ……これは……


ユキ:とても美味しそうなパフェですね。

初めて作ったにしては上手く盛り付けられていますから…… 以前から練習なされていたんですか?

アガサ:そうよ、ユキ。 お料理はれでぃの嗜みだって、前々から聞いていたからね。

アルマになる前から、暇を見てはいつも"とっくん"していたのよ。

ユキ:なるほど……


ミュー:よ、ユキ…… それと、アガサもいたのか。 壊れたオーブン直しに来たぞ。


ユキ:あ、機関長。 早かったですね。連絡してからまだ10分も経っていませんよ。

ミュー:オーブンが直らないと、今日の夕飯を作るのに支障を来たすんだろ?ユキ。

……と。


ミュー:お、うまそうなパフェだな。 ユキ、お前が作ったのか?


アガサ:ざんね~ん。 あたしが作ったのよ、それ。

こう見えても、スイーツ作るのは得意なんだから。


ミュー:なるほどな……

ちょうど小腹も空いていたし……試食していっか?

アガサ:いいわよ。 ちょっと作りすぎちゃったみたいだから……食べてくれる人が現れて助かったわ。



食堂


ミュー:うん。中々いい味だ。 昨日今日料理を始めた奴じゃ出せない味だな。

アガサ:えへへ。ありがと、機関長さん。

モンスターだった頃から、暇を見て練習してたんだ。

自分で食べるお菓子は、やっぱり自分で作るのが一番だと思うからね。

ミュー:なるほどね。

ユキ、そっちの抹茶パフェはどんな感じだ?


ユキ:確かに、素材そのものの味を生かした美味しいパフェだと思います。

あの……アガサさん。 その……

アガサ:? 何、ユキ?

ユキ:アガサさんは、ここに来る前に味覚が真逆になっているアンブレラさん達を全員治してあげたいといっていましたよね。

もしかして……その理由は、自分の作ったお菓子を、全てのアンブレラに食べてもらいたいからですか?


アガサ:それが唯一の理由って訳じゃないけど、大きな理由な事は確かね。


アガサ:間違って味覚が真逆な同族に、あたしの手作りお菓子を食べさせちゃった時は、そりゃもう大変よ。

しかも、あたしは長老の孫娘。つまり、アンブレラ一族のお姫様って立場だから……

相手もご機嫌取りのつもりなのか……明らかに不味そうな顔をしながら、口では『美味しい』だなんて言うのよ!

もう! そんな事されたら余計に腹立つんだから、不味いなら不味いってはっきり言いなさいよ!!


ユキ:す、すみません…… な、何だか嫌な思い出を蒸し返してしまったようで……

アガサ:あ、いいのよ。 ユキは悪くないんだから。


ミュー:ははは。 まあ、アガサが味覚がおかしいアンブレラを根絶したい動機についてはよく分かった。


ミュー:まあ、まずは鴎外の奴を説得するのが第一だな。 あいつはこの城のアンブレラ達の重鎮だから……

あいつの説得に成功すれば、この城の他の連中も、味覚障害の治療に前向きになってくれるんじゃないか?


アガサ:それは、あたしも分かっているけど…… 鴎外のおっちゃん、気弱なように見えてむちゃくちゃ頑固な所があるのよ。

いくらあたしが説得しても、あのおっちゃんは”絶対に嫌なのである”の一点張りだし……

ミュー:まあ、しつこいくらいに説得してみるんだな。 そのうち、何かのきっかけであいつも説得に応じるかも知れないしな。

……と、そうだ。 アガサ、ユキ。

アガサ&ユキ:?


ミュー:お前達、まだこの城の全部署を見て回ってないよな。

どうせ暇だし、この機会にあたしが案内してやるよ。


アガサ:え、いいの? じゃあ、ぜひお願いしようかしら。

ユキ:ええ。僕もお願いします。

あ、機関長。 その前に……

ミュー:その前に?


ユキ:オーブン、直してから案内してください。

オーブンが直らないと、折角仕込んだグラタンの材料が無駄になってしまいますので……


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