小話16話



フロースヒルデ「飛空城が欲しいわね〜」


ミュー「……唐突に何だ。

まあ、空飛ぶ乗り物に目のないお前の事だから、薄々欲しがっているんじゃないかとは思っていたが」

フロースヒルデ「やっぱり分かった?」

ミュー「お前とはこのフレイヤが出来る前からの付き合いだからな。 だから、お前さんの考えそうな事は大体分かるぜ。

で、何でまた飛空城が欲しいだなんて思ったんだ?」


フロースヒルデ「このフレイヤが完成してからから、この記事を書いてる時点(2010年12月10日)もう4年。 

乗組員も増えてきたし、飛空庭一隻のスペースでは色々と手狭になってきたのよ」

ミュー「なるほどね…… たしかにそいつは、あたしも感じてはいたが……」


レイ「……しかし艦長、技師殿。 あの飛空城はリング専用の乗り物だ。

これまでのECOの傾向からして、あれの建造は一筋縄ではいかぬであろう。

ソロで達成できるような代物になるとは、とても思えぬな」

フロースヒルデ「それはわかっているけど…… それでもやるのが、飛空庭スキーってものでしょう」

レイ「……決意は変わらぬ、という訳か。 まあ、余としても艦のスペースが増えることは大歓迎だ。

……まあ、とりあえずアレだ。 飛空城の実装前に、色々と対策を練っておかねばな。

そう…… 運営側がどんな『無理難題』を突きつけてくるか……だ」


ミュー「そうだな…… とりあえず、リングの名声値が関わってくる可能性は極めて高いな。

まあ、これはみんなでクエをこなしていけばどうにかなるだろう」

フロースヒルデ「そうね……

あとは、これをやられると辛い…… という点をピックアップしていきましょうか」

ミュー「ああ。

とりあえず、やられたら致命的にまずい点を思いつく限り箇条書きにしておくと……」

  1.リングマスターが三次職(転生済み)である事

  2.リングマスターがメインストーリー10以降までをクリアしている事

ミュー「この二点だな」


フロースヒルデ「そうね…… まずは1番。

言うまでもないことだけど、今のフレイヤには転生の最低条件であるLv100に達しているキャラはいないからね。

Lv100に近いキャラはいるけど、現状すぐにという訳には行かないし……」

レイ「それに、転生したら大幅に戦闘力が落ちてしまうのは避けられぬ。

しかも転生後の三次職は、Lvの上がりが良くないと聞くゆえ…… 元の戦闘力に戻す為の『リハビリ』も、一筋縄ではいかぬだろう」

フロースヒルデ「そうね……

あともう一点は、メインストーリー10以降まで進めている……という事ね」

ミュー「ああ。 こいつはドミ界まで行ってDEMの親玉を倒さなきゃいけないからな。

だが、そのドミ界という点がネックだ」

フロースヒルデ「ええ。 今の私はドミ界に足を踏み入れた事が無いから……

ドミ界では、文字通りLv1から出直しになっちゃうからね。

ただでさえリアル事情が忙しくて狩りの時間が中々取れないというのに…… これは正直痛すぎるわ」


レイ「しかも、転生すると折角上げたドミ界Lvもすべてパー……というおまけつきだ。

本当に水落の怨念次元転生とは、厄介にも程があるシステムだ」

ミュー「まったくだ。 次元転生といい転生といい、どちらもLv上げやり直しを強要するシステム……としかいいようが無いな。 Lv上げをする方の身にもなってみろ、と言いたいぜ。

まあでも、ドミ界に限って言えばあたしとレイ、ソルの三人はLvは上げてはいるが……

フレイヤの一人リング、もうフロースがマスターという事で登録してしまったんだったよな」

フロースヒルデ「その通りよ。だいぶ前にね。

それにしてもあの次元転生のせいで、110武器に関しても入手の目処が全く立たないし……」

ミュー「そうだな…… まあ、それについてはレイかソルのどちらかが99になれば何とかいけなくは無いが……」

レイ「生憎、こちらもここ最近まともにこなせるEPクエが無くなってしまってな。 Lv99到達までは相当な時間がかかるぞ。

そもそも艦長…… 何ゆえ110武器を欲するのだ? あんなもの、Lv110到達〜転生までの一時しか使えぬ代物でしか無いと思うが……」


ミュー「武神化すりゃいいんじゃないか? 普通のペットとは段違いの強さって聞くが」

レイ「まあ、それはそうだが…… 艦長が欲しているのは110武器は、両手剣のアレか?」

フロースヒルデ「そう。 煌刃・白虎ね。 元となる黒狼は持っているから……」


レイ「……やめておけ、艦長。 剣に限っては黒狼のままにしておいた方がいい」

フロースヒルデ「え…… レイさん、何で?」

レイ「今メインで使っている武器を、Lv110到達〜転生までの一時しか扱えぬ飾り刀にして何になる?

それとも艦長、アレか……?」

フロースヒルデ「?」


レイ「剣に宿りし武神の小僧……カムイに惚れておるのか?

フロースヒルデ「あはははは……」


フロースヒルデ「まさか

レイ「……なら決まりだな。 武神化目当てで110武器を求めるのなら、他の武器にしておけ」

フロースヒルデ「言われてみれば、確かにそうね…… わかったわ、そうするわ」



翌日……


ノーザンプロムナード地下・開路急行電鉄北野女王町駅


西院「あら……」


西院「何でしょうか、これは……」

アナウンス「お客様に申し上げます。

ただ今剣士の転生試験ですが、試験官のカムイ氏が『拙者はボンキュンボンにもてる男を目指すため、再修業の旅に出るでござる』との書置きを残して失踪したため、

現在試験実施を見合わせています。 詳しい事は係員にお尋ね下さい。 繰り返します……」

西院「……」


西院「カムイ君……一体何があったのでしょう……


                           後日談(日記34話へ)

                           Back