日記第十一話　後編




元帥「さて、続いては各ギルド毎の戦力分析に入ろうか。

……藍副長、例の資料、出来てる？」


藍副長「はっ。　出来ております。

艦長……それに機関長。　これが今回のバトルロイヤルにおける、各ギルド別の戦力分析図になります。

お読みになられて下さい」

　元帥はどうも私に黙って藍副長に連絡し、各ギルドの戦力分析をさせていたらしい。

　が、口に出しては私もミューも何も言わず、黙って藍副長から資料を受け取った。

藍副長「では……まず一枚目の資料からご覧になられて下さい」

　藍副長に促され、私とミューは一枚目の資料に目を通した。

ソードマンギルド・タタラベギルド連合　メンバーリスト
作成：藍副長　（注）敬称略です

（※）ひふへ要員：被虐、不遇、ヘタレの三要素のうち、どれか一つの要素を所有しているキャラの事。早い話が『ヤラレキャラ』。




ミュー「藍副長……　ソードマンギルドとタタラベギルドが組むって決まったのはついさっきなのに……もうこんなもん作ったのか？」

藍副長「はい。　私の個人的な予想では、フロース艦長がソードマンギルドの副将に就任したと聞いた時点で……

艦長殿と機関長殿が手を組むことは予想の範囲内にありましたゆえ……」

ミュー「つくづく手回しがいいな……　と、まあそんな事はこの際どうでもいいか」

フロースヒルデ「……このリストを見る限り、ＥＣＯ未実装スキル持ちがミューと、すかいうぉーかーのカリスさんか……。

一般的には人が少ないって言われるタタラベギルドだけど……　事、ネタブログ界に関しては例外みたいね」

ミュー「そうだな……」

藍副長「しかし、ソードマンギルドとタタラベギルドのそれぞれに、『ひふへ要員＝ヤラレキャラ』がいるのが、少々気になりますが……」　

　最近はお笑い系のネタブログであれば、最低一人は『被虐』『不遇』『ヘタレ』の三要素をもった人間がいるものだ。

　そして今回のバトルロイヤルにおいて、早い段階でやられてしまう事が予想されるのも、その手の人たちである（失礼）。


ミュー「いや……他所のギルドならともかく、タタラベギルドにおいては『ひふへ要素』を持っている事は、必ずでもマイナスでは無い」

フロースヒルデ「マイナスではない……というと？」

ミュー「あたしらタタラベには、その手の『ひふへ要素』が強い者ほど、高い効果を得られるスキルが存在する。

そのスキルとは……何だと思う？」

フロースヒルデ「そのスキルって……ああ……」



フロースヒルデ「タタラベ最終奥義、『ＤＯＧＡＺＡ』の事ね」

ミュー「ああ、その通りだ。　狩りの都合上、あたしもこれは覚えているが……

正直、いつも突っ張ってるあたしがこれを使うより……　うちのギルドの『ひふへ要員』が使った方が、遥かに高い効果が得られる。

特に……今回のバトルロイヤルのように、人間相手の場合はな」



フロースヒルデ「なるほどね……　しかし、タタラベギルドって『漢の職場』ってイメージがあるのに……

案外、女性の比率が多いのね」

ミュー「……言われてみれば、確かにそうだな。　野朗はセイジさんただ一人だけのハーレム状態か……

でもまあ、そんな事はどうでもいいじゃないか、フロース。　次の議題に移ろうか、次の議題に」

フロースヒルデ「そうね……　藍副長、他に資料はないかしら？」


藍副長「はい。　次に配りますのは、各ギルド毎の戦力解析表です。

ますは、フェンサーギルドから……」

1.フェンサーギルド

フロースヒルデ「大物の『ひふへ要員』が２人もいるなんて……ある意味精鋭ぞろいね、フェンサーギルドって」

ミュー「そうだな……　しかも女性陣も一名を除いて、気合の入った熱血娘が揃ってるな」

フロースヒルデ「ミューだって、人の事はいえないのに……」

ミュー「ん？　何かいったか？フロース」

フロースヒルデ「いや、何も」

ミュー「……しかし、野朗はひふへ、女朗は熱血となると……　唯一まともな斬・撃・乱・舞！ミナファ参上のウェノアが可愛そうだな。

周りの連中がこれじゃあ……」

フロースヒルデ「ミュー、それ以上言うのはよしましょう。　……恐らくこのメンツだと、ジアイナさんかオゲーラさんがリーダーになるのはほぼ確実ね」

ミュー「だな。　仮にライさんや銀仮面さんが立候補したとしても、その次の瞬間に女性陣のだれかに伸されるのは確実だからな。

しかし……」

フロースヒルデ「しかし？」


ミュー「いくらヘタレとは言え、あまりライさんや銀仮面さんを侮らない方がいい。

ライさんはどうも『スタンド使い』らしいし……　銀仮面さんにしても、ＥＣＯ未実装スキルを持っているとか、一族屈指の実力者、イズベルガさんを

追い詰めたとか……　色々な噂があるからな」

フロースヒルデ「その噂、どのくらい信用度があるのかしら？」

ミュー「さあな。　それはあたしのほうが知りたいくらいだ」

フロースヒルデ「まあでも、油断しないに越した事はないわね。

藍副長、次の資料を」

藍副長「はい」

2.スカウトギルド

ミュー「ここは……随分と精鋭が揃っているな」

フロースヒルデ「ええ。　人数こそ5人程度なものの……　そのうち３人が『ＥＣＯ未実装スキル持ち』。

持って無い人にしても、ブログのメインキャラが揃っているわ」

ミュー「そうだな。　もっとも、ＥＣＯ家の一族長姉のル・ティシェさんは新設の『ニンジャギルド』のマスターに就任したから……

このバトルロイヤルに参戦するかどうかは分からん。

まあ、彼女のかわりに白美神さんが出てくる可能性もあるが……」



フロースヒルデ「まあ、彼女が出なくても、グレさんやファイミさんもだけでも十分な脅威ね。

しかも私は居合い型のブレマスだから……　この手のＡＧＩ型の人たちは天敵なのよね」

　居合い系のスキルは一発を外すとかなり痛い。　故に、回避率の高いアサシン等のＡＧＩ型キャラを相手にするには不向きだ。

　特にＡＧＩ特化のグレさん相手に居合い系スキルを使う事は、戦闘機の迎撃に爆撃機をぶつけるような愚行だ。

ミュー「まあ彼らと戦う事になった場合、アタッカー役はうちらタタラベギルドに任せてくれ。

2足歩行ロボのスキルは魔法扱いだから……必中だ。　故に、ＡＧＩ型のキャラに有効なダメージを与えられる」

フロースヒルデ「なるほどね……。　で、今のタタラベギルドで、ロボが使える人はどのくらいいる？」

ミュー「すかいうぉーかーのカリスさん、斬・撃・乱・舞！ミナファ参上のフィアノ、それに……」


ミュー「このあたしの計三名だ。　　残りの2人についてはロボを使用できるかどうか、確認が取れていない」

フロースヒルデ「あ、ミュー……ロボ、やっと出来たのね」

ミュー「ああ。　腕と操縦装置が中々手に入らなくて苦労したよ。　　さ、カル。艦長に挨拶しろ」

　ミューが愛機に話しかける。　すると次の瞬間……

２足歩行ロボ「こんにちわ　フロース。　こんにちわ　みなさん」

　何と、２足歩行ロボが喋った。　私の記憶がたしかなら、２足歩行ロボは喋ったりなんかしないはずだ。

フロースヒルデ「ロボを喋らせるなんて……　流石ミューね。　どういう改造したの？」

ミュー「何。大した改造した訳じゃない。　この間、あたしの基地にお前さん達を案内した時（第８話後編参照）……カルってロボに会ったろ？」

フロースヒルデ「カル……ああ……」



フロースヒルデ「↑の子の事ね」

ミュー「そ。　じつはこいつの記憶メモリーを、叔父さんに頼んでコピーさせてもらったんだ。

そのコピーしたメモリを、このロボに積んでいるって訳だ。

まあ、以後こいつの事は……『Ｈ（ハイパー）・カル』ってよんでくれればいい」

Ｈ・カル（二足歩行ロボ）「よろしく、フロース」

フロースヒルデ「よろしくね、カルちゃん。　さ……スカウトギルドに関してはこのくらいにして、次のギルドの紹介に入りましょう」


3.アーチャーギルド

フロースヒルデ「ここも乖柚さん、キャリスさん、エネーリアさんと……精鋭が揃っているわね」

ミュー「あと洗脳探偵さんも、地味だが一応ベースＬｖカンストしている。　彼も侮らんほうがいい。

ただ、このメンツだと……　なんだかリーダー争いが勃発しそうだな」

フロースヒルデ「そうね……エネーリアさんにしても、乖柚さんにしても、そう簡単にリーダー（主役）の座を譲りそうも無い人だからね

下手したら、バトルロイヤル開始前や、バトルロイヤル中に、リーダーの座をかけた同士撃ちが始まるやも……」

ミュー「だな……　じゃ、副長。次。」

4.スペルユーザーギルド

ミュー「ここは、ウルネの所属しているギルドか……

ここのリーダーは……まあ、まず間違いなく、魔王ルベリエさんになるだろう。

……フロース。試みに問うが……　ウルネをこのまま魔王指揮下にやるつもりか？」


フロースヒルデ「……まさか。　そんな訳ないでしょ。

それに……いまジークはカンカンクエやシナモン狩りを無理してやりすぎたのが祟って、体調崩して寝込んじゃってるのよ。

幸い命に別状は無くて、暫く休めばよくなるとはお医者さん言っていたけど……」

ミュー「そうか……。　でもそれじゃ、とてもバトルロイヤル所じゃないわな」

フロースヒルデ「そうね……　でも、本人が戦える状態では無いにしろ……

私達に対する『人間の盾』として、ルベリエさんがジークを拉致る危険性はあるわね……。

ミュー……いきなりで悪いけど、ジークを３日ほど、貴女の故郷にかくまってもらえないかしら？」

ミュー「ああ、わかった。　流石の魔王も2000光年彼方のあたしの地元までは、追ってはこれんだろう。

叔父さんには、後で話をつけておくよ」

フロースヒルデ「ありがとう、ミュー。　それにしても……」

ミュー「それにしても？」


フロースヒルデ「シャーマンって、ネタブログ界最強の不遇職だったのね」

ミュー「ああ……言われてみれば確かにそうだな。

ソードマン系にしろ、シャーマン系にしろ……どちらも職性能的には恵まれているクラスだ。

どうもネタブログ界では、恵まれている職業っていうのは敬遠される傾向にあるみたいだな」

フロースヒルデ「そうね……　じゃあ、次いきましょう。

藍副長、次の資料を」

藍副長「はい」

5.白の聖堂（ウァテス）

フロースヒルデ「大所帯ね……白の聖堂って。　シャーマンとウィザードを合わせた人数よりも多いってのはどういう事かしら？」

ミュー「あたしに聞くなよ、そんな事。

しかし人数こそ多いが、これだけの人数を統率できるような大物は……見当たらないな」

フロースヒルデ「そうね……　委員長的性格のアマネセールさんくらいかしら？　リーダーやれそうなの」


藍副長「しかし……　これは私見になりますが、彼ら『白の聖堂』組には内紛の火種があると思われます」

　それまでは黙々と資料を渡していた藍副長が、意見してきた。

フロースヒルデ「どういう事かしら？」

藍副長「アマネ殿は今時珍しい、古風なタイタニアの女性（ドミニオン嫌い）と聞き及んでおります。

一方、白の聖堂屈指の実力者である、GRECO〜グレコ〜出身の執事殿は、非常に性的欲求に流されやすい人物と聞き及んでおります。

　その上、この白の聖堂陣は執事殿と、ラフレンチェ殿を除き、あとは全員女性……

これは……内紛が起こらないと考える方が、無理があるかと」

ミュー「なるほどな……　あと、気になるのは『一族』のサイユ嬢だ。

彼女は表立ってリーダーやるタイプには見えないから……　この中の誰かをリーダーに担ぎ上げて、自分は参謀役として実権を握る……

言い換えれば『院政』みたいな事をやる事も考えられる」

フロースヒルデ「サイユさんがその手に打って出るのだったら、この中で唯一の美青年であるラフレンツェさん辺りを担ぎ上げてくる可能性が高いわね。

単に操り易さだけで言うなら執事さんが最適だとは思うけど……　この女所帯の中で彼を担ぎ上げたりしたら、まず間違いなく暴動が起きるわね」

ミュー「……だな。　この女所帯の中で執事さんのような変態オヤジをリーダーに添えたりしたら、組織は空中分解だ。

サイユさんも、そんな事くらいは十分分かっているんじゃないか？」

フロースヒルデ「そうね……

まあ、白の聖堂の話はこのくらいにしましょうか。……藍副長、次の資料を」

6.黒の聖堂（ウォーロック）

ミュー「黒の聖堂陣営も、人数は少ないな。　全11チームの中では人数がもっとも少ない」

フロースヒルデ「だけど彼ら３人とも、かなりの実力者と聞くわ。　灰裡さんと闇莉さんは所属ブログのメーンクラスだし、

夜陽さんもあのシャイナちゃんと互角以上に渡り合ったという記録が残されているしね」

ミュー「少数精鋭って訳か」


元帥「そういえば……黒の聖堂の司教さんが、さっき募集コメントだしてたよ」

フロースヒルデ「え、何って？」

元帥「此度のバトルロイヤルにて、驕り高ぶり、偽善に満ちた『白の聖堂』を共に倒さんとする同志募集……ってね。

白の聖堂とは敵対する事になっちゃうとは思うけど……ここは、彼らと手を組むのも一興かもね。

彼らが今欲しがっているの……　それは紛れもなく、人数だからね」

ミュー「なるほどね……　まあ、検討してみるか。

副長、次だ」


7.ファーマー

藍副長「資料製作した本人がこんな質問をするのも何かと思いますが……」

フロースヒルデ「何かしら？副長」

藍副長「このメンツで百姓一揆を起こしたりしたら、このアクロニア大陸はどうなるのでしょうか？」

ミュー「そりゃ、あれだろう。　次の日の朝刊の一面は……」


ミュー「母者新内閣樹立、で決まりだろう」

フロースヒルデ「……そうね。　母者さんはネタブログ界最強の実力者である事はもはや疑う余地が無いし……

その脇を固める庭番さんやイェルドさんにしても、相当な実力者だしね」

ミュー「……だな。　まあ何にせよ、最初にこことぶつかるのは止めたほうがいいな。

他の強豪ギルドをぶつけて弱らせた所で、始めて攻撃を仕掛けるのがいいだろう。

それでも、このギルドには母者さんがいるから……　楽に勝てるとは、思わないほうがいいな」

フロースヒルデ「そうね……　じゃあ、副長、次」

藍副長「はい」

8.レンジャーギルド

フロースヒルデ「事実上、イズベルガさんのチームね、ここは」

ミュー「いや、彼女もそうだが、Little Wish所属のレインさんの実力も侮れない物がある。

ここは番長＝イズベルガさん、副番＝レインさんでほぼ確定だろう」

フロースヒルデ「そう……。　聞いた話によると、同じ一族でも母者さんとイズベルガさんとは対立関係にあるって聞いているから……

母者さん所属のファーマーギルドとは、激しく対立する事が予想されるわね」

ミュー「まあな。　だが、気がかりなのは、Ｌｖの低い斬・撃・乱・舞！ミナファ参上のミァノさんと、すかいうぉーかーのシンフォニアさんの運命だ。

凶暴（失礼）な首脳陣の元で、彼らはどういう運命を辿るのか……」

フロースヒルデ「まあ、ミァノちゃんは潜入工作っていう一芸があるから、イズさんもレインさんも悪いようにはしないと思うわ。

問題は……シンフォニアさんね。　私が予想するに、彼の辿る運命は……」



1.イェルドさんにバールで袋叩き
2.庭番さんに蜂の巣にされる
3.母者さんに三枚に下ろされる

……の、三つのどれかの運命を辿ると思うわね」

ミュー「いや、フロース。　もう一つ、彼が取ると思われる末路候補があるぞ」

フロースヒルデ「末路候補？それは」


4.内部粛清に遭う

……これを忘れているぞ、フロース」

フロースヒルデ「確かに……

……副長、次を」

藍副長「はい。　次で最後の資料となります」


9.マーチャントギルド

ミュー「ついに最後か……　こうして見ると、マーチャント勢も白の聖堂勢と同じく、人数が多いな」

フロースヒルデ「ええ。　もっとも、白の聖堂勢とは違い、ここはＥＣＯ未実装スキル持ちが2人もいるわね」

ミュー「そうだな……　あとあたしの見る限り、すかいうぉーかーのラプソディアさんなら、このメンツを上手く統率できそうだ。

故に、人数だけ多くて統制の取れそうも無い白の聖堂勢よりも、実力は数段上と見るべきだろう」

フロースヒルデ「そうね……　もっとも……」


フロースヒルデ「どこの誰とは言わないけど、ＥＣＯ家の一族の長男さんって、執事さん並に性的欲求に流されやすいって聞いているから……

変な事して、ラプソディアさんあたりに粛清させそうね」

ミュー「……だな。　もっとも、あの人はキャラこそ濃いが、戦闘能力は大した事ないって聞くから……

本人には失礼かもしれないが、今回のバトルロイヤルにおいては、いてもいなくても同じかもしれんな」

フロースヒルデ「そうね……。　彼よりも警戒すべき相手は、このマーチャントギルドにおいうては他にも……」

声「お取り込み中の所、失礼致します」

　突如、下の居住区の方から女性の声がした。


菫少将「唐突ではありますが、皆様方に至急報告したい事がありまして……」

　声の主は、この艦の情報部門を担当するネコマタ、菫少将であった。

フロースヒルデ「少将……報告したい事って」

菫少将「今入った情報によりますと……　例の予算争奪バトルロイヤル……中止になった模様です」


フロースヒルデ「バトルロイヤルが中止……　一体何故？」

菫少将「何でも今度のバトルロイヤル、評議会議長であるルーラン女史に黙って行われようとしたらしいのです。

で、事情を知ったルーラン女史は激怒。　各ギルドの代表を緊急招集しました」

ミュー「で、ルーランさんは何って」

菫少将「盗聴器からの情報によれば……

『年間のギルド費を15（一次職Ｇの総数+二次職Ｇの総数+新設のニンジャギルド）で割れば事が済む事じゃないのかい？　いてまうぞ！カス！！』

などと、居合わせたギルドマスターを罵倒したそうです。

その気迫に圧倒されたのか……今年の予算は、各ギルド平等に分配する事で決着がつきました」

ミュー「……ったく。平等分配でケリがつくんだったら、始めからそうすりゃいいのに……」

フロースヒルデ「そうね……　って、そうだ、菫少将」

菫少将「はい、何でしょう」

フロースヒルデ「ニンジャギルドマスターのル・ティシェさんも、その場に呼び出されたのかしら？」

菫少将「ええ。　しかも彼女は、ルーラン女史のまん前に座っていたらしく……

頭に血の上ったルーランさんの発する唾を、まともに浴びていた模様です」

　菫少将がそう報告した瞬間、場の温度は10度くらい一気に下がった気がした。


ミュー「…………墓穴を盛大に掘ったな、ルーランの婆さん。

フロース……　これは近々、大規模な厄災が起こるぞ」

フロースヒルデ「そうね……　で、まず私達が取るべき行動は……」


フロースヒルデ「ルーランさんへの香典の用意、しておかなきゃね」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ＢＡＣＫ