日記十一回

本日の日記担当:フロースヒルデ


ソードマンマスター「むぅ……これはいかん。 これはソードマンギルド始まって以来の危機だ……」

 とある日の昼下がり、私の所属するソードマンギルドのマスターは深刻な表情で呟いていた。

SE:トントン(扉ノックする音)

声「マスター、フロースヒルデです」

ソードマンマスター「おお、フロースヒルデか。 わざわざ済まんな。 さ、入れ」

声「失礼します」



フロースヒルデ「ソードマンギルド所属、フロースヒルデ。只今到着しました」

ソードマンマスター「おお、フロースヒルデ。忙しい所わざわざすまんな」

フロースヒルデ「マスター……急に私を呼ぶなんて、一体何の御用しょうか?」

 私、フロースヒルデはファーイースト方面での修行中、唐突にソードマンギルドマスターからWis通信で呼び出しを受け、

遠路はるばるアクロまで戻って来る羽目に陥っていた。

ソードマンマスター「今回の用件なのだが…… まずはこの書類を見てくれ」

フロースヒルデ「あ、はい」

 マスターは私に、2枚の紙切れを手渡しました。

 そして、その書面の一枚目には以下の文面が記載されていました。

ネタ界各ギルドメンバー表 作成 スカウトマスター(ECO家さん(一部改訂))


ギルド名 構成員
ソードマン シャイナ、彩刃、フロースヒルデ、フェーゴ
フェンサー ライ・カーテット、オゲーラ、ジューダス、銀仮面、ジアイナ
スカウト ファイミ、グレ、ほたて、フィー・フィアン、ル・ティシェ
アーチャー 乖柚、優芽、キャリス、エネーリア
スペルユーザー(Wiz) レイニー、シレナ、ジークウルネ、ルベリエ
スペルユーザー(シャーマン) ケイ・フィアン、月麻
白聖堂(ウァテス) ラフレンツェ、霧禍、アマネセール、こい、悠芽、ルヴェリア、レイ、執事。、エル、サイユ
黒聖堂(ウォーロック) 灰裡、闇莉
タタラベ セイジ、S・ミュー、カリス、タム
ファーマー イェルド、ティエーラ、ロニ、母者庭番
レンジャー レイン、ノーシェ、シンフォニア、イズベルガ
マーチャント スマイル、カルパッチョ、エストレラ、璃遠、ラプソディア、シャル・フィアン、シア、スカイラーク、クラファー、黄彩

(転載元:ECO家の一族
(注:敬称は略してあります。 また、転載元同様、原則的にブログ主の持ちキャラのみを掲載してあります)
(注2:基本的にギャンブラーギルド等の二次職系ギルドは、対応する一次職系ギルドに統合してあります)


また、ソードマンマスターから渡された2枚目の紙には、以下のリストが記載されていました。

ネタブログ界ギルドメンバー表(各ブログ別) 作成:ソードマンマスター

キャラ名 所属ギルド 所属ブログ
シャイナ ソードマン 我がECO突き進む日記だ!
カルパッチョ マーチャント
シレナ スペルユーザー(WIZ)
グレ スカウト GRECO〜グレコ〜
執事。 白の聖堂(ウァテス)
庭番 マリオネスト(ファーマー)
ジアイナ フェンサー
ライ・カーテット フェンサー Quartetto!
黄彩 ギャンブラー(マーチャント)
ファイミ スカウト
クラファー マーチャント ECO家の一族
ル・ティシェ スカウト
サイユ 白の聖堂(ウァテス)
イズベルガ レンジャー
銀仮面 フェンサー
母者 ファーマー
ルベリエ スペルユーザー(WIZ) すかいうぉーかー
ルヴェリア 白の聖堂(ウァテス)
キャリス アーチャー
カリス タタラベ
シンフォニア レンジャー
ラブソディア マーチャント
フェーゴ ソードマン からくりぱんだ工房
オゲーラ フェンサー
アマネセール 白の聖堂(ウァテス)
ティエーラ ファーマー
ノーシェ レンジャー
エストレラ マーチャント
灰裡 黒の聖堂(ウォーロック) ふにむにすたいる
霧禍 白の聖堂(ウァテス)
彩刃 ソードマン
フィー・フィアン スカウト フィアン家のフィアン家によるフィアン家のためのECOだ!!
ケイ・フィアン スペルユーザー(シャーマン)
シャル・フィアン マーチャント
ほたて スカウト 特選ECO海鮮丼
こい 白の聖堂(ウァテス)
優芽 アーチャー
ジューダス フェンサー 今日も明日もいつまでも! 毎日ECO日和!!
レイ 白の聖堂(ウァテス)
ロニ ファーマー
乖柚 アーチャー TROUBLE WORKS
闇莉 黒の聖堂(ウォーロック)
璃遠 マーチャント
エル 白の聖堂(ウァテス) 九番目の庵
タム タタラベ
シア マーチャント
レイニー スペルユーザー(WIZ) Little Wish
ラフレンチェ 白の聖堂(ウァテス)
セイジ タタラベ
イェルド ファーマー
レイン レンジャー
スマイル マーチャント
エネーリア アーチャー 愛好会奮闘記
月麻 スペルユーザー(シャーマン)
スカイラーク マーチャント
フロースヒルデ ソードマン 戦闘庭フレイヤの人々(当サイト)
S・ミュー タタラベ
ジークウルネ スペルユーザー(WIZ)




フロースヒルデ「これは……このクローバーワールドの著名ブロガー達の所属ギルド表ですか。 一体、この表が何か?」


ソードマンマスター「実はな。先日、各ギルドの代表が集まって、予算編成会議が行われたのだが……

まあ、これは毎年の事なのだが……、予算配分をめぐって、各ギルドは対立。会議はこじれにこじれてしまった」

フロースヒルデ「まあ、どこのギルドも予算はほしい物ですからね。

……うちのギルド含めて」

ソードマンマスター「むぅ……まあ、否定はせんがな。

で、話を元に戻すが…… 会議を収集するために、スカウトマスターとファーマーマスターが、とある提案をした」

フロースヒルデ「とある提案?」

ソードマンマスター「ああ。各ギルド所属の著名ブロガー達をバトルロイヤル形式で戦わせて、順位の高いギルドがより多くの予算を

分捕るようにしたらどうか……とな。

まあ要するに、各ギルド対抗の演習みたいな物だと思ってもらえればいいだろう」

 予算目当てにバトルロイヤルとは……時代は、そんな所まで来てしまっているようだ。

ソードマンマスター「ちなみにこのバトルロイヤルのルールは、この書類に書いてある通りだ。よくみておいてくれ」

 そういうと、マスターは私に、一冊の冊子を手渡した。

 その冊子には、大まかにこのような記述がなされていた。



    ネタ系ブログ・ギルド対抗予算争奪バトルロイヤル ルール

1.バトルロイヤル参加資格を有する者はネタ系ブログを所有する人物の持ちキャラのみとし、それ以外の者の参加は一切認めないものとする

2.ネタ系ブログの定義は、原則的にキャラ同士の掛け合い、もしくは小説形式でストーリーが進むブログとする

3.本バトルロイヤルは、ギルド毎にチームを組んでのチーム戦とする

4.順位付けは最初に全滅したギルドが最下位とし、最後まで生き残ったギルドが一位とする

5.マリオネストギルド、マシンナリーギルド等の二次職ギルドの構成員は、原則対応する一次職のギルドと同じチームに属する

6.ウィザードとシャーマンは、スペルユーザーギルド代表として同一チームで戦う


フロースヒルデ「なるほどなるほど……」



フロースヒルデ「……で、マスター。その提案、もうすでに認められたんですか?」

ソードマンマスター「ああ。賛成多数で認められた。 提案に反対したギルドは2つあるかないかで、あとはみんな賛成だったよ」

フロースヒルデ「マスターもこの提案には賛成を?」

ソードマンマスター「F系ギルドの代表格である当ギルドとしては、この手の提案には賛成せざるを得んだろう。

下手に反対などしたら、『臆病者』のそしりを受けかねんからな」

フロースヒルデ「なるほど……」

ソードマンマスター「だがな…… 本心を言えば、この提案には正直反対なのだよ」

フロースヒルデ「反対……そのわけは?」

ソードマンマスター「もういちど、先ほど配った一枚目のリストの……ソードマンギルド所属者の所を見てみてくれ。

これを見て、何か気づいた事は無いか?」

フロースヒルデ「ええと…… あ、そういえばソードマンギルド所属者の数……意外と少ないですね」

ソードマンマスター「ああ、その通りだ……」



ソードマンマスター「認めたくは無いが、この四葉ブログ界の中では、ソードマンを目指す若人は決して多数派とは言えんのだ。

かくいう私もこのリストを渡されるまでは、不覚にもこの事実に気づかないでいた……」

フロースヒルデ「確かに、これは意外でしたね……」

 一見すると、街中やダンジョンではソードマンの職服である『夜叉の鎧』や『ハンタースーツ』を着込んだ冒険者の数は多く、

ECOの世界全般では、ソードマン系の職業に就いている人間は多いようだ。

 しかし、今回ネタブロガー達の間ではソードマンという職は意外にも不人気職であった事が判明した事に、マスターはショックを隠せない様子だ。

ソードマンマスター「この事は今回の予算配分バトルロイヤルにおいて、私達ソードマンギルドが動員できる戦力が、他ギルドと比較して

少ない事を意味する。

 何故なら、先のルール表を見れば分かるように……今回のバトルロイヤルの参加資格を持つのは、ブログ所有者の持ちキャラのみで、

我がギルド構成員の大多数を占める、一般冒険者の参加は認められていないからな……」

フロースヒルデ「参りましたね、それは……」

ソードマンマスター「しかも、バトルロイアルに参戦に辺り……もうひとつ、重大な問題がある」

フロースヒルデ「重大な問題……それは?」

ソードマンマスター「我がECO突き進む日記の主人公であるブレイドマスター、シャイナ嬢の事は知っているか?」

フロースヒルデ「ええ。何度か顔をあわせていますし……リンクもフレンド登録もしていますよ、彼女とは」

 シャイナさんは、この四葉ブログ界でも屈指のパワーを誇るブレイドマスター。

 今回、ネタブログ界での人材難が発覚したソードマンギルドにおいて、唯一無二のエースと呼べる存在だ。

ソードマンマスター「そうか…… そのシャイナ嬢は、今諸事情により冒険者活動を休止しておる(2007年3月末現在)。

この度のバトルロイヤル…… このままだと、不動のエースたるシャイナ嬢抜きで戦わねばならないのだ」

 いつになく弱気な声で、マスターは呟いた。



フロースヒルデ「そ、そうでした…… シャイナさんは確か結構前に冒険者としての活動を停止してしまっていたんだ……」

 先のリストを見る限り……ただでさえ、私達ソードマンギルドは動員できる戦力が4名しかいない。

 その4名のうち……不動のエースであり、他ギルドの強豪(例:スカウトギルドのグレさん、ファーマーギルドの母者さん)と

互角以上に渡り合える実力を持ったシャイナさんが参戦不能というのは、正直あまりにも痛すぎる。

ソードマンマスター「事実上、今度のバトルロイヤルに参加できるのは、お前の他にはふにむにすたいる所属の彩刃嬢、

それに、からくりぱんだ工房所属のフェーゴ君の計三人のみなのだ。

しかも、フェーゴ君はまだブレイドマスターへの転職は果たしておらんようだから、二次職なのはお前と彩刃嬢のみという有様だ」

フロースヒルデ「……戦力不足は深刻ですね、マスター。 このままだと、他のF系ギルドはおろか、BP系のギルドにも遅れをとってしまいます」

ソードマンマスター「ああ……。 フロースヒルデ、お前もその年で戦闘庭の艦長を勤める秀才なのならば……

何か、こう妙案は無いのか……」 

フロースヒルデ「妙案……といいましても、急には…… と、ちょっと待ってください」

 その時、なんの前触れもなく、私はある事に気がついた。



フロースヒルデ「このルールの書いてある紙によると…… 

2.ネタ系ブログの定義は、原則的にキャラ同士の掛け合い、もしくは小説形式でストーリーが進むブログとする

……という条文がありますよね」

ソードマンマスター「ああ、そうだが…… それがどうかしたのか?」

フロースヒルデ「最初に配られた資料に載っていない『ネタ系ブログ』とその登場キャラ達を、私はいくつか知っています。

最初にもらったリストに載っていないキャラでも、『ネタ系ブログ』の持ち主のキャラであれば新規参戦は可能ですか?」

ソードマンマスター「ああ、それは問題無いはずだ。 ルールを見る限りでは、『リストに載っていないネタ系ブログのキャラの参戦を禁じる』……

等という条文は無いからな。

フロースヒルデ、すまんが最初にくばった「ネタ界各ギルドメンバー表」に、お前の知っているネタ系ブログのキャラを片っ端から追記してくれないか?」

フロースヒルデ「はい。了解しました」

私はマスターに言われるままに、例のリストに筆を加えた。


ネタ界各ギルドメンバー表 Ver2.0 原文作成:スカウトマスター(ECO家さん) 改訂:フロースヒルデ  


ギルド名 構成員
ソードマン シャイナ、彩刃、フロースヒルデ、フェーゴミナファ
フェンサー ライ・カーテット、オゲーラ、ジューダス、銀仮面、ジアイナウェノア
スカウト ファイミ、グレ、ほたて、フィー・フィアン、ル・ティシェ
アーチャー 乖柚、優芽、キャリス、エネーリアツルギ洗脳探偵
スペルユーザー(Wiz) レイニー、シレナ、ジークウルネ、ルベリエ、マリセルージュ
スペルユーザー(シャーマン) ケイ・フィアン、月麻
白聖堂(ウァテス) ラフレンツェ、霧禍、アマネセール、こい、悠芽、ルヴェリア、レイ、執事。、エル、サイユミァル 麻布椎子(しー)
黒聖堂(ウォーロック) 灰裡、闇莉夜陽
タタラベ セイジ、S・ミュー、カリス、タムフィアノ
ファーマー イェルド、ティエーラ、ロニ、母者庭番
レンジャー レイン、ノーシェ、シンフォニア、イズベルガミアノ
マーチャント スマイル、カルパッチョ、エストレラ、璃遠、ラプソディア、シャル・フィアン、シア、スカイラーク、クラファー、黄彩

(注)追記キャラについては所属ブログごとに色分けして記載しています。
なお、職業が不明・サイト主の持ちキャラかどうか不明なキャラについてはここでは省いております(ご連絡していただければ随時追記します)。

赤字:斬・撃・乱・舞!ミナファ参上 所属キャラ
青字:ECOメンテーター洗脳探偵 所属キャラ
紫字:今宵は月と花と夢語りと 所属キャラ



フロースヒルデ「書けました。 大体こんな所でしょうか」

ソードマンマスター「うむ……どれどれ。 ……お、我がソードマンギルドにも、もう一人ブログ主がいたのか。

確か、ミナファという人物は…… すまぬ、どのような人物だったかな?

このソードマンギルドは何せ大所帯だから、私もメンバー一人一人の名前を完璧に把握しているという訳にもいかぬのだ」

フロースヒルデ「ミナファさんっていう人は、斬・撃・乱・舞!ミナファ参上というブログの主人公である、ドミニオンの女剣士です。

もうすぐレベル70台に達しようかという凄腕の剣士で、対人戦の経験も豊富な方です。

此度のバトルロイヤル、私は彼女を特攻隊長総大将にする事をお勧めします」

 ちなみに、私(フロースヒルデ)はレベルは58で、対人戦の経験は全くありません。


ソードマンマスター「わかった……お前の言うとおり、このバトルロイヤルではミナファを総大将に任ずるとしよう。

そしてフロースヒルデよ。 君には副将となってもらい、ミナファのサポートに回ってもらいたい。 ……やってもらえるかな?」

フロースヒルデ「……他に適任者もいないようですし…… わかりました、やれるだけやりましょう。

但しこのお寒い戦力状況で……過剰な期待をされてもまた困りますが」

ソードマンマスター「ああ、わかった。 引き受けてくれてありがとう、フロースヒルデよ。

ミナファ嬢には、後で私から連絡しておく」

フロースヒルデ「了解です。 で、マスター。 バトルロイヤルの日取りは決まっていますか?」

ソードマンマスター「明後日にアップタウン演習場で行う予定だ。 それまでに修行するなり、作戦を練るなり、万全の対策を取ってもらいたい。

この戦力では優勝は無理としても…… ソードマンギルドのメンツを保つため、最悪でも上位入賞(5位以内)は目指してほしい。

お前達の双肩に、このソードマンギルドの明日がかかっているといってるとも過言ではない。 ……がんばってくれ」

フロースヒルデ「は、はい……」

 いつになく神妙な表情で語りかけるマスターに対し、私はただうなづく事しかできなかった。



アップタウン



フロースヒルデ「しかし、勢いで引き受けちゃったものの……正直私には荷が重いわね。

まさかLv50台の私が、ソードマンギルド代表の副将だなんて……」

?「まあ、引き受けちゃった物は仕方ないでしょ、フロースちゃん」

フロースヒルデ「あ、元帥……」

 私の弱音を聞いたのか、ディバックの中でお昼寝していた元帥が現れた。



元帥「バトルロイヤルの話はディバックの中でゴロ寝しながら聞かせてもらったよ、フロースちゃん。

過ぎた事を今更くよくよしてもしょうがないよ。大事なのは『これからどうするか』だよ、これから」

フロースヒルデ「確かに……そうね。 心配してくれてありがとう、元帥」

元帥「どういたしまして。

さ、早速実務的な事を『フレイヤ』に戻って考えようか。

戦いという物は、準備段階で8割方勝負が決まっちゃうと思って、間違いないね」

フロースヒルデ「そうね…… じゃあ、ちょっと露店みたら、戻りましょうか」

 私は元帥を引き連れ、一路『フレイヤ』の係留してある場所へと移動した。



戦闘庭「フレイヤ」



元帥「さて、戻った所で……作戦会議といきましょうか、フロースちゃん」

フロースヒルデ「ええ、そうしましょう」

 フレイヤの艦橋に戻り、私と元帥は作戦会議を始めた。

元帥「まず、やんなきゃいけない事は……現状把握と問題点の確認だね」

フロースヒルデ「ソードマンギルドの問題点、それはズバリ戦力不足ね」

元帥「そう」


元帥「まずはネタブログ界のソードマンギルドは、正直言って弱小勢力の域を出ないという事を認識すべきだね。

今回のバトルロイヤルでは、ネタブログ主の持ちキャラ以外の参戦は認められていないんだし」

フロースヒルデ「もう、それは言われなくても十分身にしみてわかっているわ、元帥。

で、いまのソードマンギルドの最大の弱点である戦力不足をどうするか……元帥には何か策はあるの?」

元帥「その質問に答える前に、まず今回のバトルロイヤルを、群雄割拠の戦国時代と置き換えて考えてみよう。

乱世において、地方の弱小勢力が誰からの助けも借りずに生き残るなんてのは、まず不可能。

フロースちゃんがもしその弱小勢力の主だったら、生き残るためにどう立ち回る?」



フロースヒルデ「そうね……私なら、近隣の勢力と同盟を結びまくって連合を作るか、さもなくば列強の傘下に入って守ってもらうかするわね。

それが……もっとも堅実な方法だと私は思うけど……どうかしら?」

元帥「よくできました。 要するに、今回のバトルロイヤルでもそれと同じことを実践すればいいだけの事だよ。

始めから他のギルド全てを敵に回すのは、どう考えてもダメダメだからね」

フロースヒルデ「確かに……。 でも、他ギルドとの同盟はルールで禁止されているかも…… 

ちょっとまって。 今、ルールブック見直してみるわ」

元帥「了解」

 私は、ソードマンマスターからもらった、ルールの書かれた冊子を見直してみた。

フロースヒルデ「……確かに『他ギルドと同盟を結んではならない』、なんていう条文はどこにもないわね。

他ギルドとの同盟……法的には問題なさそうね」



元帥「なら、大国の傘下になるのと、中小勢力同士で連合を組むの…… どっちを選ぶ?」

フロースヒルデ「優勝候補の傘下になって弱いチームを潰しまくるというのも、体面が悪いから…… ここは、連合を組む案を採りましょう」

元帥「決まりだね。 じゃあ、早速根回ししにいこうか。

まずは、ミューちゃんの所属しているタタラベギルドから……」

?「うん? あたしがどうかしたか?」

 突如、艦橋の入り口付近から第三者の声がしたと思うと……



そこには私の盟友、ミューの姿があった。

フロースヒルデ「あ、ミュー、おかえりなさい。 貴女もタタラベマスターに呼ばれてたの?」

ミュー「まあ、そんな所だ。 その……例のバトルロイヤルの件でな。

……それよりお前ら、悪いが話は聞かせてもらったよ。 何でも、戦力不足を補うために他ギルドと同盟を組みたいそうだが」



フロースヒルデ「なるほど……聞いていたんなら話は早いわ。

……単刀直入に問うけど、うちのソードマンギルドと組むつもりは無い?」

ミュー「ああ、いいよ」

 私の問いかけに、ミューは拍子抜けするほどあっさり同盟締結を承諾してくれた。

フロースヒルデ「いいの? そんなにあっさり同盟を受け入れちゃって?

それにミュー、そもそもタタラベギルド代表の指揮権は貴女の手にあるの?」



ミュー「ああ、指揮権に関しては問題無い。 マスターは案の定、あたしをリーダーに指名して来たからな。

そして同盟に関してなんだが…… 実はあたしの方から組みたいとすら思っていた所だったんだ」

フロースヒルデ「なるほどね…… お互い、考えている事は一緒、というわけか」

ミュー「そう。 ……というのも、他のギルドでも連合を結成する動きがあったり、賄賂を贈って敵対勢力のエースを参戦させないように試みたりと……

水面下での暗闘がもう始まっている。

だからこっちも対抗上、他のギルドと連合を組む必要があるんだ」

フロースヒルデ「なるほどね……」



ミュー「ただし敵対勢力を全て倒した時点で同盟は無効。 その後はガチンコ勝負させてもらうけどな。

でないと、360度どこからみても立派な八百長になっちまう」

フロースヒルデ「わかったわ。 ……正直な話、ミューとは一度、手合わせしたいと思っていたのよね。

その時はお互い、手加減は抜きでいきましょう」

ミュー「もとより、そのつもりだ。 ……だが、今の時点ではお前とあたしは盟友だ。

フロース、元帥。済まんがその作戦会議、あたしも混ぜてくれ」



元帥「うん、いいよ。 じゃあ、会議を続けようか」


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