日記22回
今回の日記担当:ノレンガルド

 某月某日 アイアンサウス街道



ノレンガルド「やった〜 JobLvカンストだ〜」

 いきなりだけど僕はとうとう、ウァテスのJobLv50にまでなる事ができた。

 ウァテスの主力攻撃魔法のホーリーライトがどうしようもない豆鉄砲だっため、Lv上げには苦労したけど、

僕の2人のお姉ちゃんやフレイヤのみんな、それに……


鴎外「まずはおめでとうなのである、ノレン少年」

ノレン「うん、ありがとう鴎外」

 僕の大切なペット、アンブレラの鴎外の協力もあって、ようやくここまでこれた。

 転職までの追い込みには、鴎外にシナモンやロックイーター、ギーゴ等を叩いてもらって、僕はホーリーライトで後方支援する……という

やり方で経験値稼ぎをやっていた(ジークお姉ちゃんも鴎外が来てからは、僕単独での狩りを許してくれるようになった)。

 そして、その苦労が実ってようやく、Job50になったわけだ。

鴎外「ノレン少年、とりあえずアクロポリスに戻って、白聖堂の司祭に会うのである。

転職せずに経験値稼ぎをしても、Job経験値の方は無駄になってしまう……らしいのである」

ノレンガルド「そっか……じゃあ、まずは移動しようか」

 僕は時空の鍵を使い、アップタウンへと向かった。



白の聖堂


司祭「ようこそ、白の聖堂へ…… って、ノレンガルドではありませんか。

今日は一体どのようなご用件ですか?」


ノレンガルド「ええと……転職したいんだけど……」

司祭「転職というと……ドルイドへの転職ですね。 わかりました。

今の貴方の魔力であれば、ドルイドになる資格は十分に有ると見ましたが……」

ノレンガルド「?」


司祭「貴方がドルイドについて、どのくらいの事ご存知なのか…… すこし心配でしてね。

特に貴方の場合、『ドルイドって何? それって古代の通貨単位なの?』等と言い出しかねないですし……」


ノレンガルド「僕だって、さすがにそこまでお馬鹿さんじゃないよ〜。 ドルイドがウァテスの上位互換職業だって事くらいは知ってるよ。

でも、それ以上詳しい事はわかんないけど……」

司祭「これは失礼しました。

貴方のおっしゃるとおり、ドルイドはウァテスの上位互換職です。

光の精霊の力を借りるだけでなく、光の精霊・光の場を呼び出す事によってさらに大きな癒しの力を身に付けることができます。

ドルイドは我らウァテスの中でも、特に選ばれた癒しの使徒……」


鴎外「ちょっと待つのである、司祭殿。

『特に選ばれた使徒』とは言うが、実際は街中にも、ダンジョンにもドルイドの方々は溢れかえっているように思えるのである」

 鴎外が唐突に、司祭さんの話に突っ込みを入れた。

司祭「……頼むからそこにだけは突っ込まないで下さい、アンブレラさん。

まあとにかく、ドルイドになる為には、ウァテスギルドの厳しい試験を受ける必要があります。

……試験を受けますか?ノレンガルド?」


ノレンガルド「うん、受けるよ。 で、試験ってどんな事をすればいいの?」

司祭「貴方の癒しの力は、多くの人々を救ってきたはず。

……『ドルイドの刻印』と呼ばれる物があります。 これは高位の癒し手が貴方をドルイドたるに相応しいと認めた証のような物です。

その『ドルイドの刻印』を授かってきてください」

ノレンガルド「わかったよ。 で、その『ドルイドの刻印』って何処でもらえるの?」

司祭「それを探すのも試験のうちです。 ヒントを言えば、『ドルイドの刻印』は感謝の心。

貴方に救われた方は、喜んで貴方を『ドルイド』と認めてくださるでしょう。

……それでは、がんばってくださいね」

ノレンガルド「……うん、わかった。 じゃあ行ってくるね、司祭さん」

 僕は司祭さんに別れを告げると、白の聖堂を後にした。


白の聖堂前


ノレンガルド「さて…… まずはドルイドの刻印を授けられる人をさがさないとね、鴎外。

司祭さんは、『高位の癒し手』から、ドルイドの刻印をもらえるって聞いたけど……」


鴎外「『高位の癒し手』といえば……まず第一に挙げられるのがLv、Jobカンストの廃人ドルイド&バードの方々なのである」

ノレンガルド「そっか…… じゃあまずはその人にお願いして……」

鴎外「いや、司祭殿は『ドルイドの刻印は感謝の印』と言っていたのである。

つまり……廃人ドルイドやバードの方々の傷やバッドステータスを癒し、恩を売らなければ『刻印』はもらえないと、我輩は見たのである。

しかし、実際はその手の廃人ドルイドやバードの方々は……」

ノレンガルド「僕なんかが治療する前に、自分で傷癒しちゃうよね……」

鴎外「その通りなのである。 ……っと、ちょっと思い出したのである。

高位の癒し手で、かつ常に助けを求めている人物に、一人だけ心当たりがあるのである」

ノレンガルド「え? その人は誰?」


鴎外「ティタ殿なのである。 噂ではあの御仁、さる事情で植物人間ならぬ植物天使になってしまい、タイタニアの世界に連れ戻されたそうなのである。

もし彼女の面会が叶い、一瞬だけでも意識を取り戻させる事ができれば……」

ノレンガルド「そっか…… でも、タイタニアの世界、どうやって行こっか?

試練が終わらないうちは、地上にある帰りの転送室、使わせてもらえないんだ……」

鴎外「……光の塔屋上に住む我輩の妹が、さる方法でタイタニアの世界とこの世界を行ったりきたりしていると、昔聞いた事があるのである。

まずは光の塔屋上に赴き、我輩の妹に会ってみるのである。 我輩としても、久方ぶりに妹の顔を見てみたいし……」


ノレン「へぇ…… 鴎外に妹がいたんだ」

鴎外「そうなのである。 もっとも、ここ暫くは会っていないのであるが……」

ノレン「でも、光の塔屋上っていうと、強いアクティブモンスターが沢山いるところだよね。

それに、屋上までの道中にもアクティブモンスターが一杯いるから、一人でいっちゃダメだってジークお姉ちゃんが言っていたよ」

鴎外「大丈夫なのである、ノレン少年。それについての対策はすでに取ってあるのである。

何はともあれ、まずは光の塔を目指すのである」

ノレン「うん……わかった」

僕は鴎外に促されるままに、光の塔へと向かった。


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