第二十六話

本日の日記担当:ジークウルネ


2008/2/14(バレンタインデー)前後 アップタウン



ジークウルネ「街中、バレンタインムード一色ですね、茜少佐」

茜少佐「まったく、その通りで」

 バレンタインデーの日、私と茜少佐はマイマイ島での蜂退治の仕事を終え、アップタウンに帰ってきました。

 街中、チョコを販売する露店や、チョコの買取露店などが立ち並び、大変賑わっています。

茜少佐「ウルネ様は、チョコはお作りになられないのですか? 街中の女の子の間でも、チョコ作りが流行っていると聞きましたが……」

ジークウルネ「生憎、私は姉さんよりはマシとはいえ、料理はへたっぴです。

それに……」



ジークウルネ「仮にチョコを作ったとしても、渡す相手がいません……

茜少佐「申し訳ありません……その事をつい失念していました」

 私達フレイヤの乗組員は、人間の要員は弟のノレン以外は全員女性で、その他の乗組員は人間以外のペット達で構成されています。

 唯一の男性乗組員であるノレンは、恋愛沙汰には全く興味が無く…… 従って、フレイヤ内部で恋愛が芽生える余地はありません。

 もっとも、世の中他のネタブログのキャラと恋愛関係になっている方もおられるようですが……

 今の所、他ブログのキャラと恋愛関係になっている人はフレイヤにはいません。



茜少佐「NPCのベリアル殿に、その辺で買った奇跡のチョコレートを投げてみてはいかがでしょう?

去年のデータでは、末端価格300Kの『クリティカルの結晶』を、ホワイトデーの時にお返しとしてくれるとか……」

ジークウルネ「そうですね…… 気が向いたら上げてみます」

 と、私が言ったその時です。

フロースヒルデの声「うぁぁぁぁ……

 唐突に、姉さんの嘆き声が耳に入ってきました。




フロースヒルデ「うう……なんという悲劇……」

元帥「フロースちゃん、落ち込んじゃだめだよ〜 たかがクジくらいで」


ジークウルネ「ね、姉さん…… 一体何やってるんですか?」

 姉さんの悲鳴が聞えた地点まで急行すると、がっくりうなだれた姉さんがいました。

フロースヒルデ「どうしたも何も…… クジで……ECOクジで……」


元帥「……フロースちゃんはご覧の通り発狂寸前だから、代わりにあたしが事情を説明するね。

事の発端は、フロースちゃんが末端価格5000円の『ECOくじ11回セット』を買った事」

ジークウルネ「11回セットですか…… で、結果は?」

元帥「……見事に、がらくたばっかり。 ちなみに、当った品のリストはこれだよ」

 と言うなり、元帥は一枚の紙切れを手渡してくれました。

ECOくじ11回セット フロースヒルデ様の当選内容

アイテムチケット ハートイルミネーション
アイテムチケット ハートの女王さまの杖
アイテムチケット やつあたりかかし
アイテムチケット ハートイルミネーション
アイテムチケット ハートの女王さまの杖
アイテムチケット ハートイルミネーション
アイテムチケット ハートイヤリング
アイテムチケット ハートイルミネーション
アイテムチケット やつあたりかかし
アイテムチケット ハートのチャームバック
アイテムチケット ハートのチャームバック



ジークウルネ「ど、どうでもいいアイテムがずらっと並んでますね…… マシなアイテムはイヤリングくらいですか……」

フロースヒルデ「そう…… でも、そのイヤリングにしても350Kくらい出せば(2/14現在)買えるから、わざわざクジ引かなくても買えるのよ……

ああ、ドレスかバイク、欲しかったのに……えぐえぐ」

 あまりのショックに、とうとう姉さんは泣き出してしまった。

ジークウルネ「ね、姉さん……泣き止んでくださいよ。 イヤリングだって欲しがっている人、いるんですから……

あんまり落ち込んでいると、そういう人たちに失礼ですよ」

フロースヒルデ「分かっているんだけど…… と、そうだ」

 ふと何かを思いついたのか、唐突に姉さんは立ち上がった。

フロースヒルデ「ジーク、一つ頼みがあるんだけど……」

ジークウルネ「頼み? 一体何でしょうか?」

フロースヒルデ「頼みというのは他でもないわ、ジーク……」


フロースヒルデ「貴女のバイブレーションを見せて頂戴!


ジークウルネ「!! やっぱりそうきましたか、姉さん……」

茜少佐「バイブレーション? ウルネ様、艦長の言われるバイブレーションとは一体……?」

ジークウルネ「バイブレーションとは超能力者達の間で使われる専門用語の事で…… 『貴女の超能力を見せて下さい』という意味です。

……要するに私の超能力で、クジ品のレア物を当てろと言いたいんですね、姉さん」

フロースヒルデ「その通り。 出来ればバイクか、ドレスかのどちらかがいいんだけど…… 無理そうだったら、マフラーや大天使セットでもいいわ」


ジークウルネ「まったく姉さんったら…… ECOクジで狙ったレアを当てるのが、熟練のエスパーでも難しいの知っていてそんな事言うんですか?」

フロースヒルデ「? どういう事?ジーク」

ジークウルネ「超能力でレア品を狙う場合、ちょっとでも『あのレア欲しい』と欲を出したら集中が乱されて……

思わぬハズレ品を引いてしまう可能性が高くなってしまうんですよ」

フロースヒルデ「そこをなんとか……お願いできないかしら。 ほら、超能力の訓練だと思えば、不足は無いじゃない」

 なおも食い下がる姉さん。 この分だと、私が何を言っても聞きそうもありません。

 それに……バイクはともかく、ドレスの方は私も着てみたくはありました……

ジークウルネ「……わかりました、姉さん。やればいいんでしょう、やれば……」

フロースヒルデ「ありがとう、ジーク。 くじ代はあと2回分残っているから、それで何とかお願いね」

ジークウルネ「うう…… 2回で当てるのはちょっと辛いかもしれないですね……

でも引き受けてしまった以上、やれるだけやってみます」

フロースヒルデ「お願いね、ジーク。 武運を祈っているわ」




アップタウンECOクジ12弾 福引会場


受付のピエロ「さあ いらはい いらはい。 ECOくじだよ〜

一回500円で引けるよ〜」


ジークウルネ「すみません、ECOクジ2回ほど、引きたいのですが」

ピエロ「ケケケ、またカモが来たな お、いらはい。クジ二回ね。 じゃあ、1000円頂きます」

ジークウルネ「はい。 で、後はその福引マシーン(仮)を回せばいいのですね?」

ピエロ「はいですよ〜 では、どうぞ〜

ククク……この小娘が絶望にくれるシーン、早く拝みたいものだぜ

 何だか受付のピエロさんが失礼な事を呟いているような気がしましたが、聞かない事にします。


ジークウルネ(さて……まず最初は普通にドレスを狙ってみよう。

ドレス……ドレス……ドレス……)

SE:カラカラカラ……


ジークウルネ様の当選内容

アイテムチケット ハートの女王さまの杖


ピエロ「ケケケ、まずは一勝だぜ 当り〜 ハートの女王様の杖だよ〜」



ジークウルネ「うう、やっぱり直接ドレスを超能力で狙うのはダメか……」

 ピエロさんに聞えないように、私は小声で呟きました


茜少佐「そういえばウルネ様。ハズレアイテムの『やつあたりかかし』は、力の結晶や命の結晶並の値段で取引されていると、聞き及んでおります。

ここは一つ、かかしを狙ってみてはどうでしょうか? うまくすれば、狙いが逸れてバイクやドレスが当るやもしれません」

 茜少佐が小声で、私に耳打ちをしてきました。

ジークウルネ「かかしですね…… ダメで元々、やってみましょう」

 そして精神を集中し、再び福引マシーンに手をかける私。

ジークウルネ(やつあたりかかしが欲しい……かかし……かかし……かかし……)


ジークウルネ(かかしよ、来なさい!!

SE:カラカラカラ……






ジークウルネ様の当選内容

アイテムチケット スウィートハートドレス♀



ピエロ「!!





ピエロ「畜生、なんてこったい!!  

大当たり〜 三等のスウィートハートドレス♀だよ〜」


ジークウルネ「イェア!!


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