日記40話(2)


戦闘城フレイヤII 食堂

ユキ:所でアガサ……もう一つ、質問いいですか?

アガサ:? 何かしら?


ユキ:アガサのご祖父様は、アンブレラ一族の長老ですよね。

その…… アガサのご祖父様とコウオウ様って……どちらが偉いのでしょうか?


アガサ:それはずばりコウオウ様よ、ユキ。

おじぃはあくまで、アンブレラ一族の長にすぎないのよ。


アガサ:一方のコウオウ様は、他の部族…… リリカル族やウェンディー族その他もろもろを含めた、アンブレラ系モンスター全体を統括する立場なの。

噂じゃアンブレラ系モンスターだけじゃなく、ウィスプ系モンスターも傘下に治めているっていう噂もあるけど……

はっきりした事は、アタシにも分からないわ。

ユキ:そうですか……


ユキ:あっ!!

アガサ:!? どうしたの?


ユキ:ご主人様…… お弁当忘れていってます……

今すぐににでも届けないと……


ジークウルネ:今日姉さんはアップタウンで通年イベントをこなすっていってたから、アクロポリスからは出ていないはずよ。

私も一緒にいくから、早く届けてあげましょ。

ユキ:あ、ありがとうございます、ウルネさん。

あと、アガサ…… その……


アガサ:お昼ごはんの準備でしょ、分かっているわよ。

ここはアタシに任せて、ユキとウルネさんは早く艦長さんに忘れ物届けてあげて。

ユキ:すみません……

こっちも、なるべく早く戻ってきますので。



一方、その頃……



アップタウン・黒の聖堂前

白傘の女性:申し遅れましたが……


白傘の女性:私はナターシャ=トルストイ。 今日ノーザンからアクロポリスに出てきたばかりの、おのぼりさんです。

以後、私の事はナターシャとお呼びください。


フロースヒルデ:ナターシャさん……ですね。

私はフロースヒルデ=リュッチェンス。 こう見ても南軍所属の武装飛空城の城主なんですよ。

以後、宜しくお願いしますね。

ナターシャ:はい。

それにしても、貴女が私達の世界では有名な、あの飛空城の主さんですか……

フロースヒルデ:?


ナターシャ:いえ、何でもありません。

それよりも『みたまイベント』を始められる所まで……案内して頂けませんか?

フロースヒルデ:ええ、わかりました。 じゃあ、こっちです。



アップタウン上空 アルティの工房

フロースヒルデ:お邪魔します~

?:あら、いらっしゃい。


ル・フェイ:上級者に優しいピンクな工房、Alty’s Studio(アルティの工房)へ。

フロースヒルデ&ナターシャ:えっ……


アルティ:ちょっと…… いくらなんでもだめだよ、そのキャッチコピーは……

まるで、子供は入っちゃいけないお店みたい……

ル・フェイ:あら……残念ね。 お姉さん、良いキャッチコピーだと思ったんだけどね。

最近ダウンタウンに出来たって噂の、『初心者に優しい闇の銀行』をもじって付けたんだけど……

アルティ:まだ『闇の』の方がマシだよ……

とにかく、キャッチコピーだけは、この工房の主として絶対に許可できないよ。いいね。


ル・フェイ:残念だけど仕方が無いわね……

ところで……フロースヒルデさん……だっけ。 そこの白い衣装の方は? 


フロースヒルデ:ああ、この人はナターシャ=トルストイさん。

今日、ノーザンから出てきたばかりの人なのよ。


ナターシャ:ナターシャ=トルストイです。よろしくお願いします。

あの…… ここが、『みたまイベント』を始められる場所……なのでしょうか?

アルティ:ここの工房の主、アルティよ。 よろしくね。

それにしても、『みたまイベント』って……いきなり随分とメタな……

ナターシャ:?

アルティ:いや、なんでもないよ。


アルティ:確かに、ここは今年の通年イベント……ナターシャさんの言う、『みたまイベント』の始まりの地。

じゃあまずは……ナターシャさん、『御霊(みたま)』については、どのくらい知っているのかな?

ナターシャ:何でも、武器になれる人の事……もしくは人の姿になれる武器のどちらか……と、聞き及んでいます。

そして、市場での末端価格は3000Mを超えるとも……

ああ、別に御霊さん達を捕まえて売ろう……とは思っていませんよ。 人間の通貨を、必要以上に得ようとは思っていませんので……


アルティ:……とりあえず、ナターシャさんは御霊たちに危害を加えるつもりはなさそうだね。

常連であるフロースヒルデさんの紹介もある事だし…… とりあえずは、ナターシャさんは信頼できそうだね。


ナターシャ:ありがとうございます、アルティさん。

それにしても、私を最初疑ってかかった所をみると…… 何か、よからぬ事件でもあったのですか?

アルティ:うん、あったんだ。

実は私の工房で御霊達の何人かを保護しているんだけど…… 先月、御霊を誘拐しよう……っていう輩が現れてね。

こっちも御霊たちを守らないといけないという立場あるから…… 今の所は、信頼できそうな人だけこの工房に出入りを許可しているんだ。

ナターシャ:そうですか…… そういう事情があるのであれば、仕方がありませんね。


アルティ:ああっ!!


フロースヒルデ:? どうしたんですか? アルティさん。

アルティ:忘れてた…… 今日、ジャンク屋のバーゲンの日だった……

フロースさん、すまないけど荷物持ち……頼めるかな? 報酬は少ないけど払うから……

フロースヒルデ:ええ、いいわよ。


ナターシャ:アルティさん、フロースさん。私にも手伝いをさせてください。 

アルティ:えっ? いいの? 今回は重量のある物を沢山仕入れるから……結構な力仕事になるよ?

ナターシャ:大丈夫ですよ、アルティさん。

私はこう見えても……


ナターシャ:趣味でファーマーをやっていますから、腕力には自信がありますよ♪


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