第40話(2)


ダウンタウン・ジャンク屋前
アルティ「よし、これで欲しい物は全部買えたね」


アルティ「二人が協力してくれたおかげで助かったよ。これで、暫くは材料に困らずに済むね」


ナターシャ「いえいえ、困った時はお互い様です。

とはいえ、荷物を持って帰るまでがお買い物ですから、気を抜かないでくださいね」

フロースヒルデ「ええ」

 と、3人がアップタウン方面へ向かおうとすると……

?「ぐすっ……ぐすっ……」


フロースヒルデ「? 何かしら、この泣き声…… 女の子の声のようだけど……」

ナターシャ「ジャンク屋さんの裏手から聞こえますが……どうしましょうか?」

アルティ「放ってもおけないから、様子を見に行ってみようか。 荷物は……ジャンク屋さんに一旦預かってもらおうか」

他2人「了解~」



ダウンタウン裏路地


紫色の服を着た女の子「ぐすっ……ひっく……」


アルティ「あ、いたいた。 あの子だ」

フロースヒルデ「まだ小さい子ね…… 年頃は、うちのユキくらいかしら……

まあちょっと、事情を聞いてきましょう」


フロースヒルデ「ねえそこの君…… どうしたの?」

女の子「うう……しくしくしく……」

アルティ「ねえ君……名前は? どこから来たの?」

女の子「ぐすっ……ぐすっ……」

フロースヒルデ「むう……困ったわね…… 泣いてばかりいちゃ、事情がわからないわ……」

?「あ、こちらにいらっしゃいましたか、ご主人様」

フロースヒルデ「あ……」


フロースヒルデ「ジークとユキじゃない。 どうしたの?こんな所で」

ジークウルネ「どうしたもこうしたもないわ。 姉さんがお弁当忘れたんで、こうしてユキと一緒に届けに来たのよ」

ユキ「ご主人様、これが忘れていたお弁当です。 はい」

フロースヒルデ「わざわざありがとう、ユキ」

ユキ「いえいえ。 これも、厨房班の勤めの一つですから」

女の子「おなか……すいた…… おべんと……欲しい」

フロースヒルデ&ユキ「えっ……」


女の子「もう三日も……何も食べてないの…… ぐすっ……」

フロースヒルデ「まあ……それは大変……

じゃあ、このお弁当は貴方にあげるから。遠慮なく食べてね」

女の子「え…… でも、お姉さんはいいの? おひるごはんたべなくて……」


フロースヒルデ「今は私のことより、三日も何も食べていない貴方のお昼ご飯を確保するのが大事。

私のお昼ご飯は、また別に確保すればそれでいい事だから」

女の子「そう……」


ユキ「でもご主人様。 ここでお弁当を広げるのはちょっと不衛生かな……と思います。

一旦フレイヤIIに戻ってから、みんなで食事にしませんか?

ああ勿論、白い傘の方と、緑の服の方……お二人にもご馳走しますよ」

アルティ「え……いいの?

私はアルティ。アップタウンで武器工房をやってる見習い武器職人なんだ」


ナターシャ「私はナターシャ=トルストイ。 ノーザンから来たばかりの、しがないおのぼりさんです。

あ、こう見えてもファーマーなので……お食事会をするんでしたらお料理、お手伝いしますよ」

ユキ「助かります……

私はユキ。 ご主人様……フロースヒルデ艦長の下で、厨房のお仕事を任されています。

ところで……」


ユキ「そこの貴女…… そろそろ貴女の名前を、教えてはくれませんか?」

女の子「私……私は……」


女の子「私の名前はファントム…… おうちは……くじら岩なの


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