日記21回
今回の担当:S・ミュー
某日深夜 戦闘庭フレイヤ艦橋
ミュー「う゛あ…… あたしとした事が、狩りに現を抜かしすぎた……
レポートの提出、今週中だったのすっかり忘れていたぜ」
今、あたしはレポート提出の為、ノートPCと格闘している。
ちなみに、ここで言う『レポート』とはあたしの故郷、マーズ連邦本国に送る為のもので、
あたしの本業である未開惑星調査員は、マーズの暦で毎月一回、提出する事ことになっている。
なっているのだが、ここの所Lv上げに現を抜かしすぎてレポートの提出期限が迫っている事をすっかり失念していた。
その結果、徹夜でのレポート執筆を余儀なくされている訳だ。
ホワイト「ただいま〜 ミュー先輩」
その時、あたしの後輩の『未開惑星調査員』である、ホワイトが帰って来た。
彼女はどうも月の前半にレポートを仕上げてしまったらしく、余裕の表情である。
ホワイト「先輩、何だか大変そうですね…… 手伝いましょうか?」
ミュー「手伝うって言っても、今は特に手伝うような事はないな…… 気持ちだけもらっておくよ、ホワイト」
ホワイト「そうですか……
ところで先輩、一体何のレポート書いているんですか?」
ミュー「ちょっと、タイタニアの世界についてのレポートを書いているんだが…… ちょっと、腑に落ちない点があってな」
ホワイト「腑に落ちない点? それは一体……?」
ミュー「この間、あたしはタイタニアの天使長を名乗る人物に会った事があるんだが……」
ホワイト「タイタニアの天使長…… ああ……」
ホワイト「この、ビーOたけし似の方の事ですね。 前に一度、白聖堂でちらっと見たことありますね」
ミュー「その通りだ。
で、この間サウスの酒屋2号店でバイトしていた時…… 偶然、ティシェさんとサイヨなる人物が密談している現場に遭遇したんだが……」
ホワイト「一族関係者が密談している現場に!? 先輩、一体どんなバイトをしていたんですか?」
ミュー「昨今、各地の酒屋では(見張り用の)隠し部屋の付いた部屋や座敷を用意しているんだ。
それで『何やら怪しい客』や『訳有りの客』と見た客をそこへ案内して、密かに見張って…… 事と次第によっては、お上に通報するシステムになっている」
ホワイト「なるほど…… で、先輩は隠し部屋に隠れて、怪しいお客さんを見張る役目を担っていたと」
ミュー「察しがいいな。 まあ、そんな所だ。
で、話を戻すが…… ティシェさんとサイヨさんとの密談の中に……『超聖紆麈』なる、タイタニアの天使長らしき人物の名前が出てきた」
ホワイト「『超聖紆麈』…… その名前は私も耳にしています、先輩。 何でも、一族にでてきている黒騎士さんの直接の上司だとか……
普通に考えればあのビーOたけし似の天使長さんの本名が、『超聖紆麈』という事になりそうですが……」
ミュー「そう考えられれば話は早いんだがな……」
ミュー「サイヨさんの話を聞く限り、どうもその『超聖紆麈』……この間まで羽を持たずに生まれてきたタイタニア……
通称『羽無し』の人達をを問答無用で捨てさせたりしていたそうじゃないか。
そんな外道な事をする天使長と、あのビーOたけし似の天使長が、同一人物とは考えにくくてな。
あたしの見た限り、あのビーOたけし似の天使長はしょうもない悪戯はいくらでもしそうだが……
差別とか弾圧とか、そういう悪どい事をするような奴には見えなかった」
ホワイト「そうですか…… で、サイヨさんとティシェさんの会談の中身、お店のマスターには報告したんですか?」
ミュー「うんにゃ。 適当に誤魔化しておいたよ。 サイヨさんが『羽無し』の存在を隠したがる理由は、あたしにもよく分かるからな。
正体がばれたら迫害される危険性があるという点では、宇宙人(マーズ人)であるあたしらも一緒だからな」
ホワイト「そうですね……」
ホワイト「先輩、とりあえず天使長様の件については明日にでも、ウルネちゃんか艦長に聞いてみたらどうです?
いくら先輩でも、徹夜のしすぎは良くない…… って、藪先生が言っていましたよ」
ミュー「……わかった、そうしようか。 別に、明日が締め切りという訳でも無いしな」
と、あたしとホワイトが居住区に戻ろうとしたその時である。
フロースヒルデ「あのお気楽な天使長様と、『超聖紆麈』が同一人物な訳無いじゃない」
この艦の艦長、フロースヒルデが帰って来た。
ホワイト「あ、お帰りなさい艦長。 今日は随分、帰りが遅かったですね」
フロースヒルデ「ちょっと南軍長官から『裏クリーンアップキャンペーン』を頼まれてね。
夜中に出没する変質者を10人ばかり『掃除してくれ』って言われたのよ」
ミュー「で、今の今まで、そのクエを消化していたと」
フロースヒルデ「そういう事」
ミュー「で、話を戻すが…… あのビーOたけし似の天使長と『超聖紆麈』さんが同一人物で無いとすると……
この二人、一体どういう関係なんだ?」
フロースヒルデ「それを説明するには……一度タイタニア界の近現代史をさらっておく必要があるわね……
ちょっと説明が長くなりそうだから、説明する前にお夜食にしない?」
ミュー「そうだな……あたしもちょっと、小腹が空いてきたしな。
ホワイト。 居住区に藪がいるはずだから、ちょっと夜食作ってもらってきてくれ」
ホワイト「了解です、先輩」
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