日記23回(6)


一ヵ月後……


AM17:00頃 海賊島沖

 海賊島の沖合に、どこからどうみても『軍艦』としか言いようの無い船舶が、多数航行していた。

 その船舶の集団…… 否、艦隊を率いていたのは……


空大佐「念願の一個艦隊を手に入れたぞ〜♪」

 無論、空大佐である。


キンメル「いかがですかな、提督。 かつての『大山猫帝国』が密かにファーイーストの孤島に秘匿してあった秘密艦隊は」

 この艦隊を用意したのは、ウェンディーのキンメル。 過去の機械文明時代の隠し艦隊を、どういうわけか発見していたのである。

空大佐「戦艦4、空母2、重巡洋艦3、軽巡洋艦4、駆逐艦10…… これだけ揃えば、インスッスどもなんか敵じゃないね。

しかも、全艦動力が核融合炉だから、燃料の補給の心配がいらないのもいいね〜」

 空大佐、ご満悦である。


パイレーツの親分「うわ……本当に鉄の船が動いた〜 これでオイラ達も、名実ともに海賊になれるぞ〜」

 そして、これだけの艦隊を動かせるだけのクルー(乗組員)を提供したのは、海賊クエでもおなじみのパイレーツの親分。
(ちなみに、この親分は第4話後編で爆死した親分の後釜。 つまり二代目である)

 彼は大量のフランカーパイレーツやパイレーツボマーをこしらえ(海賊島のパイレーツ系の敵は、親分が夜なべして作ったぬいぐるみ)、

乗組員として空大佐一党に提供したのである。


キンメル「……提督、まずはどこへ向かいましょうか? 一気にインスマウスの本拠地がある、大陸ダンジョン沖を制圧しますか?」

空大佐「いや、いきなり制圧したんじゃ芸が無いよ。 まずは、この辺り一帯の海域からインスッスどもを……」

 と、空大佐が言いかけた時である。


見張りのパイレーツボマー「親分、大将(空大佐)〜、何だかそこの岩礁で、インスッスどもが集まってこっちに文句いってますぜ」


空大佐「早速でてきやがったか…… まあ、文句だけも聞いてやるか。

……キンメル、デッキに出るよ」

キンメル「……御意」




インスマウスA「オレ達はインスマウス憂国騎士団だ! そこの陸の者達! 我々は君達を糾弾する!!

海は我々インスマウスの物!! 陸の者が入る事、オレ達絶対に許さない!!」

インスマウスB「そうだ! 陸の者達は大人しく陸へ帰れ!!」

 岩礁の上で、インスマウス達が口々に、空大佐の艦隊へ向かって文句を言っていった。


空大佐「ふぅん…… 口答えとはいい度胸してるじゃない。魚類ども。

……これがあたしからの返礼だよ! 受け取りな!!」



空大佐「撃てっ!!


SE:ボーーーン!!!

 空大佐艦隊の戦艦に積まれていた、51cm主砲が一斉に火を噴き……


SE:ドーーーン!!!

 そして、インスマウス達がさっきまでいた岩礁は、一瞬にして火の海に包まれた。



キンメル「……岩礁、大破しました。 その上にいたインスマウス達、全員死亡した模様です」


空大佐「よし。奴らへの宣戦布告は、これで完了〜っと。

さて、海の中にいるインスッス達も始末しないと……」


ソナー係のパイレーツボマー「ソナーに反応!! インスッスの群れの模様っす!!!」

空大佐「爆雷投下っ!! 忌々しいインスッスどもを、一匹残らず生かして帰すな!!」



一時間後……


キンメル「水中にいたインスマウス達は全滅した模様。 この辺りの制海権の奪取に、成功しました」

空大佐「そっか…… みんなお疲れ様。 初めて艦を動かしたにしては、みんないい動きだったよ」

 既に辺り一面には大量のインスマウスの死骸が浮かんでいた。 戦いは空大佐艦隊の勝利で幕を閉じたのだ。


パイレーツの親分「やったね。空大佐。 これでもうインスッスどもなんか怖くないぞ〜」

 パイレーツの親分も、とてもご機嫌であった。


空大佐「今日の所はみんな疲れているだろうし、一旦帰港しよ。 また明日から、インスッス狩りで忙しくなるから……

帰ったらみんなゆっくり体を休める事、いいね」

一同「へい!」

 こうして、かつての海軍軍人は、インスッスに対抗できるだけの水上艦隊戦力を手にし……

 そして、今まで名前だけの海賊であったパイレーツ達も、この日を境に本物の『海賊』になったのである……









ジークウルネ「……以上で、空大佐なるネコマタが率いる謎の艦隊…… 通称『空大佐艦隊』に関するレポートを終わります」


フロースヒルデ「……ありがとうジーク。 それにしても、頭が痛いわね……

 まさか空大佐が、こんな短期間の間に艦隊を用意して、インスマウス達と戦端を開くなんて……」


ミュー「まったくだ。 こいつばかりは、あたしも予想外だったな……

で、ウルネ。その後、空大佐の艦隊に関する動きはどうだ?」

ジークウルネ「既に空大佐の艦隊はモーモー草原沖・イストー岬沖・アンデッド城沖と、ファーイースト方面の制海権を次々と奪取しています。

このまま行くと、インスマウスの里のある大陸ダンジョン沖が陥落するのも、時間の問題かもしれませんね」

ミュー「そうか……」


ジークウルネ「で、姉さん…… これは、ニンジャギルド経由の情報なのですが……

騎士団がインスマウス達の要請を無視して、密かに空大佐艦隊に支援を行っているという情報は本当でしょうか?」

フロースヒルデ「う……流石はニンジャギルド…… もうそんな情報まで掴んでいたか……」


フロースヒルデ「騎士団の上の連中はね…… 前々からインスマウス達が海を『自分達の領域』とか言って独占していたのを快く思っていなかったのよ。

今回の一件では空大佐側を支援して自分達の手を汚さずに、インスマウス達から制海権を奪い……

その見返りに、海に眠る各種資源の利権やら、水産資源の漁業権やらを貰う密約を交わしているみたいなのよ」

ジークウルネ「そうですか…… でも、一方的に攻撃されるインスマウスさん達もかわいそうです。

何とか、この『フレイヤ』で彼女らを止めることは出来ないのでしょうか?」

 ジークが、すがるような目をして言った。

フロースヒルデ「……純軍事的には、『フレイヤ』なら空大佐の艦隊を潰す事は可能よ。

可能なのだけど、このフレイヤは南軍の傭兵部隊所属ゆえに、騎士団の意向に逆らうような行動は取れないのよ……

表立ってインスッス達の味方なんかしたら、こっちの立場が危なくなるわ」

ジークウルネ「やっぱり……」

 ジークは残念そうな表情を浮かべる。


藪「いや、ウルネ君。 まだ、空大佐の行動を牽制する手立ては残されているよ」

 それまで黙っていた藪先生が、発言をした。

ジークウルネ「え…… その手立てとは、一体……?」

藪「……簡潔に言えば、他のネタブログの力を借りる事だ。 軍属でないネタブログ…… 有名どころでは『ECO家の一族』辺りなら……

騎士団に逆らう行為をしても何ら問題は無いだろう。

……この長ったらしい上にマニアックな記事をここまで読んでくれたネタブロガー諸兄に、一つ提案がある」

ミュー「……おい藪、唐突にどっち見て喋っているんだ」

 ミューが突っ込みを入れるが、藪先生は無視する。


藪「空大佐一味に関しては、今後煮るなり焼くなり、
好きに『ネタ』にしてくれて構わない。
むしろ、我々としては彼らがネタとなって料理されるのを望む

(※)今は上記の募集については終了しています。あらかじめご了承下さい。

……以上だ」


フロースヒルデ(な、なんて他力本願なオチ…)



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